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呼吸が悪いとはどういうことか?

「治療介入」その前に、、、

前回、評価→判定→介入のサイクルを回す重要性についてお話ししました。今日はこの点をもう少し深めてみたいと思います。

「呼吸が悪い」「意識が悪い」「循環が悪い」、、、、救急の現場では日常的に聞かれる「判定」です。救急・集中治療のトレーニングに入られる先生で、まじめな先生ほど、一生懸命、どうやって介入したらいいか?つまり酸素を投与した方がいいのか、挿管(人工呼吸をするための管を入れること)した方がいいのか、、、など、判断の後の「介入」方法を一生懸命学ぼうとされますし、そこを勉強したくてトレーニングに入られる方が殆どです。

すごく挿管が難しそうな患者さん、状態が悪い患者さんにスパッと挿管をし状態を見事に立ち上げていくことは、誤解を恐れずにいえば、医師の醍醐味のひとつで、「手技」としても獲得に時間もかかり、わかりやすく彼我の差を感じるところではあります。

一方で、当然のことながら、「呼吸が悪い」と判断し、介入すべきだというスイッチが押されなければ、「治療介入」という行動は行われません

治療介入をするには、「呼吸が悪い」と判断する必要があり、呼吸かどうかを「観察」して、「評価」する必要があります。

なにを当たり前なことを、と言われそうですが、実際トレーニングに入られた方々とお話をしていると、

「呼吸は悪いのか?」
「それは何を観察してどうだったからそう判断したのか?」

とお聞きすると、答えに詰まる方が多いことに気がつきます。

呼吸が悪いとはどういうことか?

この問いに答えるために、以後数回にわたって、考えていきたいと思います。


小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン