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診断に対する考え方①

めまいは繰り返すもので、、、なんともつらいものです。
ぼちぼち続けますので、お付き合いください、、、

さて、インフルエンザが流行してきているのは先日お伝えしたとおりです。

インフルエンザの診断と治療の考え方を、お話ししようと思っていたのですが、そういえば、その前提になるお話しを全くしていなかったことに気づき、いわゆる内科診断学の一部をお話ししておこうと思います。

医学生・研修医の先生方で感度・特異度と聞くとアレルギーが出る方もいらっしゃると思いますが、スッキリ簡単に理解してみましょう。

そもそも何故病歴や身体所見をとり、検査をするのか?

ものすごく根本的な質問ですが、そもそも何故医師は病歴を聞き、身体所見をとり、検査をするのでしょうか?

煎じ詰めれば、「診断をする」という行為は、病歴・診察・検査などによってある疾患の可能性を高めたり、下げたりしながら、できる限り「確率的に」より正しいと思われる判断を行うということです。

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感度・特異度って何だっけ?

ある病歴・所見・検査(簡単のため以後「検査」と書きます)が陽性か陰性かと、疾患の有無で四分割表を作ったときに、

感度 =「疾患有り」のうち検査が陽性の割合
特異度 = 「疾患無し」のうち検査が陰性の割合

ということになります。

医学生・研修医の方は、たくさんの数字と分数にまみれ、このあたりで嫌になるのですが、上のように「言葉」で理解しておくことが有用です。

さて、これをどのように診断に応用していくか?ということですが、、

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上図の上側を見て下さい。

疾患有り(ピンクの四角)のうち検査が陽性(青の四角)の割合が感度です。感度が高い検査を選ぶと、疾患有り×検査陰性の部分(つまりピンクの四角の中で青く囲まれて "いない" 部分)の割合が少ないことになります。

検査側から考えると、感度が高い検査を行って、その検査が陰性だった場合、オレンジの破線のうち、色が付いていない部分が非常に少なくなるわけで、つまり、「疾患無し(オレンジの色が付いた四角)」可能性が高くなります。

次に、上図の下側を見て下さい。

疾患なし(ピンクの四角)のうち、検査が陰性(青の四角)の割合を特異度といいます。感度の場合と同様に考えると、特異度が高い検査を行い、検査が陽性であれば、「疾患有り(オレンジの色が付いた四角)」の可能性が高くなる。ということになります。

つまり、ある疾患の可能性を考えたときに

疾患の可能性を高めるためには、特異度が高い検査が陽性であること
疾患の可能性を下げるためには、感度が高い検査が陰性であること

をそれぞれ確認することになります。

感度 sensitivity
特異度 specificity

といいます。specificity は rule in、sensitivity はrule out に用いるという特徴を略して、

SpIN,SnOUT

といったりします。

まとめると下図のようになります。

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小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン