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バスの中で見た女性/Sの記憶


      2003     8月30日


バスの中で見た女性



その1;朝9時過ぎ

大人の女性・・多分40代、これからお仕事かな。
一生懸命お化粧している。わたしのまん前で堂々としてるので、ついつい見いってしまう。

眉毛を描き、マスカラ・・塗り塗り、何度も重ね付け。アイシャドウは白っぽい色を・・・・
ああ、そんなに幅広く塗って。。

スティックごと、口紅をぐりぐり。
最後に上目ずかいで仕上がりチェック。

電車やバスなどでの、お化粧は
若い子だけのものじゃないのね。。


  *       *       *



その2;午後3時ごろのバス

化粧してない私服の女の子。
ジーンズ・スニーカー。
デニム地の、ずるずるっとしたバッグを肩に。
高校生?中学生かな?分厚い洋書を読んでいる

表紙が見えた。ハリーポッターだ。
読み始めたばかり?・・38P。
時々、電子辞書を出し、単語を調べながら。。

なんだか、かっこいいなあ。。
原書のまま読むなんて

ん?本を閉じた。耳にしていたイヤホンを片方外し。。何するんだろう


バッグから何か取り出した!
「チュッパチャップス」だ(笑)口にする。
子供のような顔つきはもしかして、小学生?
よくわからないな。。

そして、また読み始めた。


手首には銀のブレスレット


・・・年齢不詳


 

「バスの中で見た女性」は、お終い。
 次は「Sの記憶」です

懐かしい記憶  S


   S の記憶 


    2004.9.4



わたしはひどく疲れきっていたので、
電車のシートに腰掛けたとたん目をつむってしまった

「 まま~ てがいたいの~   ここ 」 

という りょうたんの声で目を開けた。
ささくれのようだけど、大丈夫そう・・・

「 いたかったのね  だいじょうぶよ 」と
手をさすりながら顔を上げ、ふと斜め前を見て目が合った。 

    「 S? 」



  *       *       *


「 S 」…学生時代付きあっていた人。
当時、わたしは体育会のボウリング部にいた。

大会で見かけたSの、痩せ型の長身から投げ出される力強いストレートボールは印象的で、
ストライクが決まった時のガッツポーズと笑顔にわたしは胸キュンだった

Sの卒業と同時に2人は自然消滅・・・
お互いにそれほど好きでもなかったのかもしれない



  *       *       *

 

まさかね・・・ 
でもよく似ている

 「 Sさん? 」(彼はわたしより二歳上)と
下りぎわ声をかけたい衝動にかられた。
(かけてどうする?!別人かも?)  

わたしの降りる駅まであと2つ
ああ、もっと早く気付いていれば、 
もっと見れたのに


そのまま見ていたら、もう一度目が合った…
  …  向こうも見ていた(目の錯覚か)


ああ、やっぱり似ている



  *       *       *



駅についた

・・わたしはりょうたんを左腕に抱っこし彼の横を無言で通りすぎた 。多分、もう二度とSに似た男性を見かけることはないだろう





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