お姫様抱っこをされた日の記憶

4月に、星月りずむさんの記事を読んだ。

永瀬廉くんと、目黒蓮くんのどちらが良いかというお話で、彼氏だったら…結婚相手だったらどうか…と盛り上がる。どちらも魅力的で甲乙つけがたい。。

そんななか、より高身長の目黒蓮くんならお姫様抱っこをしてくれそう…と、蓮くんに軍配が上がるが（わたしも、目黒蓮くんの方が好み）

結論は【彼氏→永瀬 廉、結婚相手→目黒 蓮】
かな…というガールズトークであった。

目黒蓮くんなら してくれそうの…
【お姫様抱っこ】この言葉がいいじゃないですか。お姫様ですよ、お姫様。

お姫様抱っこ、過去に付き合ったひとに、されたことがあったかも…と、ぼーっと目を細める。ハッキリと覚えてない。お姫様抱っこされたとしてもベッドに運ばれるまでの短い時間。数秒、距離にして2mくらい。忘れても仕方ない。

　

あれは、小学校の卒業式のこと。卒業式と言っても、わたしは五年生で送る側。振り返ると幼稚園や小学校は、本番までに式の練習が何度もあったように思う。良い式にする為に先生達は必死だ。

そんな卒園式、卒業式の盛り上がりポイントの【呼びかけ】。送る側と、送られる側があって、以下の文はネットで調べた［送る側］の文例。

※（　　）には、割り当てられた児童の名前

（　　）６年生の　みなさん
（　　）ご卒業おめでとうございます

（全員）　おめでとうございます

（　　）初めての委員会では
（　　）やさしく教えてくださいました
（　　）いっしょにがんばった
（　　）クラブ活動

（　　）すばらしかった６年生の組体操
（　　）みんなの

（全員）　忘れられない思い出
　

一人ずつ短いセリフがあって、学校行事や勉強、友達、先生への感謝を言う。セリフは当然先生方の考えたものであるが、それを児童達に割振り、一言言わせる。ところどころ、全員が言う。

自分の卒業式で泣いた記憶はただの一度もないのに、親になって、こういうものを聞かされると 涙してしまう。涙腺がすっかり弱くなった。

（お姫様抱っこと関係ない話が続きますが、
　　もう少しお付き合いください。）

…

　
全ての児童が自分のセリフも全体のセリフもちゃんと言えるように、練習は繰り返された。なんたって卒業式最大の盛り上がりポイントである。クライマックスでは『仰げば尊し』を歌う。

幼稚園なら『みんな、ともだち』
園児達の けなげで元気一杯な歌声に泣く親多数。

わたしのセリフは、最後の方。学級委員だったので、ちょっと大事なセリフを言う事になっていたのだ。卒業する六年生も、このセリフを聞かなければ安心して卒業できない（六年生たちが、実際にそう思うとは思えないが）、そんな言葉。

そうして卒業式当日を迎えた。
　

ところで、わたしは、始業式や朝礼などでよく見かける具合の悪くなる“ 弱よわな子 “だった。真っ青な顔をしてバターンと倒れたり、しゃがみ込んだりする子。いましたよね。

あの日も、イマイチ体調が悪かった。呼びかけが始まると、気持ちが悪くてしかたない。生あくびが出て、目の前がチカチカしてきた。あ〜また貧血だ。

でも、なんとしてでも言わねばと、頑張って立っていたが、見た目にもフラフラしてたと思う。そして ようやく、自分の番になった。すでに目の前は真っ暗で何も見えないが、なんとか声をしぼりだす。

　　
　『 あとは、わたし達に お任せください ！』

そう言い終え、力尽きた わたしは椅子に座った。座ったつもりだったのだけど、倒れたように見えたのか、抱えられて運ばれたのだった。担任の男の先生、スリーピースを着こなす人気の先生、当時30代に。

多分、わたしは「大丈夫です。座ってれば治ります」とかなんとか言ったはずだが、先生はそれには答えずに体育館を出て、渡り廊下を歩き保健室まで運んでくれた。
（きゃぁ　恥ずかしい）

あれが記憶に残る、『お姫様抱っこ』である。

その時の、宙に浮いて ぶらぶらとした手足、フワフワとした浮遊感、着ていた お気に入りの赤いタータンチェックのスカートの柄さえも はっきりと覚えている。

大人の男性に初めて抱きかかえられ、そのことを意識してしまった、あの日 11歳の春。少女のわたしは つかの間、お姫様になった ⁇ のだった。

それにしても『お姫様抱っこ』
なんて夢のある言葉なんでしょうね。