血便が出て、両親に健康であることを感謝した話
真っ赤に染まる便器。血便が出た。
私は大学3年生の夏、ミャンマーに研修旅行に来ていた。
研修は佳境を迎え、引率の教授の発案で山道を1泊2日の11時間かけてトレッキングした。
それがめちゃくちゃ辛かった。雨季でぬかるむ道、粘土のようにまとわりつく泥、しんどかった。
ペースの速い教授、なぜか岩を持って歩く男子、もうわけわからなかった。
でも、研修旅行では、ここが一番思い出に残っている。
そんなこんなで無事に終え、宿についた。
宿についたとたん、今までの疲れがどっと出て私は熱を出してしまった。
疲れによるものだろうと、寝て治すことにした。
数時間して、私は起きた。外は暗くなっていた。
少し寝るとだいぶ楽になった。水分をとってトイレに行った。
血便が出た。
私の中で、血便+熱+発展途上国は「死」を意味していた。
真っ赤に染まる便器を見て、冷汗が止まらなかった。
誰かに相談しなくちゃ。そう思ったけれど、寝ている間に、一緒に来ていた後輩や先輩は夕ご飯を食べに行っていなかった。
どうしようと、泣きながら両親に電話した。
両親は冷静に、どのくらい熱はあるのか、食欲はあるのか、どんな便だったのかを聞いた。
両親の診断は、「過労による下痢からの痔」
私の両親はただの会社員と保育士なので医学的知識はない。
「ゆっくり寝て、明日ご飯を食べれるだけ食べて、お水飲んだら大丈夫」
誰にでもわかるようなことを言われた。
でも、久しぶりに両親と話し、安心し、また寝た。
翌朝起きるとかなり体調が良い。あれだけ睡眠を取ったからだろう。
ただ、血便はまだ出ていた。
昨日は、初めて血便を見て、びっくりして、信じられなくて、信じたくなくてすぐに流してしまった。
でも、今回はよく見てみた。
よく見ると、黒い粒々が混ざっていることに気がついた。
これ、ドラゴンフルーツじゃん。
一昨日、ドラゴンフルーツを食べた。
人生で初めてのドラゴンフルーツに興奮してもりもり食べた。
それがそのまま出てきたのだ。
私は、拍子抜けしたと同時に安心した。
あと、情けなくて少し泣いた。
そして、外国に来てもお通じが日本と変わらずある健康な体をくれた両親に、心の中で感謝した。
恥ずかしくて帰国後にも言えなくて、痔だったことにした。
今考えると、痔とドラゴンフルーツだったことってどっちが恥ずかしいのだろう。
以上、ドラゴンフルーツ食べたときはトイレでびっくりしなくても良いですよってお話でした。
あと、ドラゴンフルーツは美味しいので食べてみてください。
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