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ワクチン開発の気になることが、丸ごとわかる。全541ページ、年末年始に読みたいノンフィクション大作 『ワクチン・レース』

イギリス、アメリカで新型コロナワクチンの供給、接種が開始されました。「日本はいつから?」と期待を抱くとともに、疑問や気がかりを持つ方もいるのではないでしょうか?

「ワクチン接種が始まれば、もう安心してよいのだろうか?」
「COVID-19のワクチンは、なぜ画期的といわれるのか?」
「一体どうやって、
ワクチンは作られているのか?」etc.

今回ご紹介する本『ワクチン・レース』。非常にタイムリーなタイトルですが、じつを言うとは、新型コロナウイルス感染拡大後に、急きょ発行を決めたわけではありません。一昨年2018年から、長らく発売に向けて準備を進めていました。

「20代~30代のみなさん、風疹の予防接種を受けましょう」ここ数年広く啓蒙されていましたが、日本ではまだ先天性風疹症候群(CRS)が報告されています。風疹にはワクチン、しかも一掃できるほど効果の高いワクチンがあるにもかかわらず! 本書には、世界中で使用されている「風疹ワクチン」の誕生秘話が描かれます。この事実は、多くの人が知っておくべき内容だと考えていたのです。

偶然にも、コロナワクチンの開発レースが加速するこのタイミングに発行が重なったことに、大きな巡り合わせを感じてしまいます。

全541ページ。決して気軽に読み終えるボリュームではありませんが、ワクチンについて、私たちがいま知っておくべきことが丁寧に書かれています。本書『ワクチン・レース』が多くの人に届き、ワクチンについての理解がますます深まることを願っています。

2020年、読まずに年は越せない。
 ワクチン開発について、気になることがわかる本。
全541ページ、ノンフィクション大作。

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『ワクチン・レース 〜ウイルス感染症と戦った、科学者、政治家、そして犠牲者たち』
メレディス・ワッドマン/著 佐藤由樹子/翻訳
解説:岩田健太郎



■内容紹介

『ワクチン・レース』は、ウイルス感染に対抗するワクチンが開発されるまでの事実を描いたノンフィクションです。
1960年代、風疹(先天性風疹症候群)を一掃するワクチンが生まれるまでに、紆余曲折(と科学の躍進)がありました。そこにかかわった知られざる人々(科学者、政治家、犠牲者)に焦点が当てられています。
全世界がCOVID-19制圧に立ち向かう今、医療従事者でも科学者でもない私たちが知っておくべきことは、何でしょうか?


本書解説は、医師の岩田健太郎先生!

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読者の方より寄せられたレビューや、SNSに投稿された感想のリンクなどをご紹介します。

「この本を読むと理解出来る」
コロナ感染の心配が付き纏う毎日を過ごす中で全世界でワクチンの開発を待ち望んでいる訳だが、安全で有効なワクチンを提供出来るまでは想像もつかない程の時間とお金、努力と犠牲が伴うという事がこの本を読むと理解出来る。

本作品はコロナワクチンではないし、時代も今とは違う。ワクチンの実験には動物だけではなく、堕胎された赤ちゃんや、知的障害を持つ子供達、兵士や囚人などにも実施され、多くの犠牲があって当時は死病とされていた病の危険が無い今日に至る。

科学者でも無い一般人の私には何が出来るのだろうと考えずにはいられない。(レビュアー)
「私が考える副作用と言う言葉がいかに薄っぺらな認識であるのかを痛切に感じさせられた」
今、コロナ19のワクチン開発について、各国がしのぎを削っている。そんなに急いで副作用の心配はないのだろうかと私はちょっと心配になる。でもこの本を読んで、私が考える副作用と言う言葉がいかに薄っぺらな認識であるのかを痛切に感じさせられた。

細菌を培養する培地を選び成育させること、ウィルスを感染させない領域まで弱めること、小さな生物から人間に至るまでの治験ーワクチンが実用化されるまでの長い長い過程が多くの研究者たちの検証の歩みとともに綴られ、それらがいかに困難であるのか(あったのか)を私たちに伝えてくれる。

子どものころ、ワクチン接種の始まりはジェンナーが自分の息子に接種したのが始まりだと本で読んだのを覚えている。しかし現実に治験の対象となってきたのは、「ボランティア」と呼ばれる知的障碍者や家庭的事情のある病院や施設に入居する人々であったことがわかっている。自分の家族を犠牲にしたという研究者の美談は嘘とは言えないまでも不十分な説明にしか過ぎない。

更に一番の驚きは、世界に大きな役割を果たしたポリオ、風疹と言ったワクチンの培地のほとんどがたったひとりの中絶胎児の細胞から作られたものだったということだ。それを可能にした有能な研究者の存在もさることながら、「命の重み」と言う言葉の軽さを心に刻んで人間が安全に暮らすということ、私たちの自由な行動と平安をもたらす学問や技術の進歩ということを見つめていかなければと思う。

ここではヘイフリックと言う一人の生物学者を中心にこのワクチンを生み出した歴史を「レース」という言葉を使って書かれている。研究の成果は誰のものなのか―今でも古びない問いかけはますます大きな課題となっているが、私たちが研究の陰にこの本に書かれた多くの事実と様々な立場の人々がいたことを忘れないでいなくてはいけない。或る時は利害で、あるときは学者の良心で行動した研究者たちのこと、また救われた人の立場、救うことができなかった人の生きた歩みは、このコロナ19の世界を生きる私たちにとって大きな教訓にもなるのではないかとも思う。(レビュアー)
「大変面白く読めます」
製薬会社や学術研究者が、ワクチンの開発競争においてどのような思惑を持ち、また翻弄されるのか、非常に生き生きと、また明確な視点から書かれていて大変面白く読めます。

現在まさに世界的にワクチンの開発競争が激烈に行われている事について、開発者からの視点を得る事ができるように思います。(教育関係者)
「ノンフィクション大作」
新薬・ワクチン開発をめぐる名誉、商業利益、研究倫理、薬事行政、宗教・生命倫理が錯綜する人間ドラマ。

長期間に及ぶ綿密な取材にも関わらず、最後までまとわりつく「羅生門」的な当事者のストーリーの間の不一致。

生物学における研究成果が商業化されていく過渡期を生きた研究者たちのライバル関係と友情。

癒着、私欲、私怨。社会公共利益と安全性確立のためのリスクと犠牲。

世界のトップレベルの研究者たちを描くノンフィクション大作です。(教育関係者)

↓ アマゾンの長文レビューも是非チェック!

著者プロフィール
■著者 メレディス・ワッドマン(Meredith Wadman)

ワシントンDCで生命科学・医学研究に関する政治問題を20年にわたって取材。『サイエンス』誌のスタッフ。これまで『ネイチャー』誌、『フォーチュン』誌、『ニューヨーク・タイムズ』誌、『ウォール・ストリート・ジャーナル』誌などに書いてきた。スタンフォード大学とコロンビア大学を卒業、ブリティッシュ・コロンビア大学で医学を学び、ローズ奨学生としてオックスフォード大学の医学部を卒業した。

→ PEAKbooksレーベルサイト

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