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ヤナと二つの異世界~『シブヤで目覚めて』をめぐる知的冒険~
アンナ・ツィマ作『シブヤで目覚めて』(阿部賢一・須藤輝彦訳、河出書房新社 2021年)には、主人公である大学院生ヤナが暮らす現代のプラハのほかに、時空を隔てた二つの世界が登場する。一つ目は現在から数年遡った渋谷。そして二つ目は大正時代の日本である。
一つ目の“異世界”である渋谷には、旅行者として来日中の17歳のヤナから分裂した彼女の「思い」が閉じ込められている。ヤナは日本に恋い焦がれるあまり
アンナ・ツィマ作『シブヤで目覚めて』(阿部賢一・須藤輝彦訳、河出書房新社 2021年)には、主人公である大学院生ヤナが暮らす現代のプラハのほかに、時空を隔てた二つの世界が登場する。一つ目は現在から数年遡った渋谷。そして二つ目は大正時代の日本である。
一つ目の“異世界”である渋谷には、旅行者として来日中の17歳のヤナから分裂した彼女の「思い」が閉じ込められている。ヤナは日本に恋い焦がれるあまり