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新たな災害-生物災害-

※この作品は2020/4/18現在、日本国政府が実施している緊急事態宣言等の新型コロナウイルス対策とは無関係の架空の物語です。予めご了承ください。  

2019年冬。
日本はパンデミックという新たな災害を経験しました。この時政府は、経済補償も医療救済もままならない状況で、様子見につぐ様子見を続け、経済活動の自粛のお願い、要請、指示と段階的に法的拘束力のない強制をし続けました。
そして、国民や地方自治体の強い要望を受け、緊急事態宣言を発出しましたが、それでも市民を助ける政策も打てず、大きな批判を受けました。

これは政治家、政策、国民性、仕組みの点でいくつかの原因があったと考えられます。大きなものとして、
政治家の一般市民の生活感の欠如
我慢強く、大人しい国民性に甘えた政策
要請と禁止を曖昧にした緊急事態宣言
感染拡大の段階別、医療体制の移行措置、国民の行動統制の仕組みと、指揮系統の欠如
経済活動の段階的縮退とそれに比例する補償の欠如

といったものがあったと考えます。一方で災害やパンデミックのような、平時にはありえない状況下での政治の舵取りはとても難しく、何が最善かは、政治家でも分からないことはあります。その意味では、当時の政権運営でも困難な状況があったことは理解しているつもりです。
特に、この災害は発災直後の被害はゆっくりで、どのくらい影響するか分かりにくい。そして気づいた時には一気に拡大し、混乱を招きます。

しかし、国を率いるものとして、日本の政治を引き継ぐ首相として同じ立場に身を置くものとして、みなさんにお詫びしなければならないと思います。

ただこの問題は今後も起き得ます。
この課題をいかに今後に活かすか、それが今ある政権でも考えていく必要があると思います。
そのため、起きた時どのような行動とるか、その指針と具体的な法制度、それに基づく運用体制を検討したいと思います。

感染症拡大-災害と捉える-

まず、パンデミックは自然災害であると捉え、災害対策基本法の枠組みの中で、感染症対策として位置付けたいと思います。

ただ、従来の本法律は、豪雨、地震、津波、火山ような、気象や地学、また特例として、原子力発電事故による人工災害を対象としており、具体的に生物による災害を定義していませんでました。
そのため発災時の初動が遅れました。
そこでウイルスや細菌によるパンデミックは、生物学的自然現象による災害である、と定義することで、まず認識を持ち、そこから体制、初期行動、災害対応を考えることで、より機動的に対策を取れるのではないか、と考えました。

それに加え、インフルエンザの拡大感染に関するガイドラインなどを加え、医療の視点も加え、人命救済の視点で検討します。
そして最後に通常の経済政策に向けた、経済復旧、経済復興の視点を加え、災害、医療、経済の観点から対策を進めていく方針です。

災害の特徴

この災害の特徴には以下のものがあります。

物理的な破壊による災害ではなく、経済破綻を起こす災害であること。
人自体が災害のトリガーであること。
被災者を無差別に罹患させ死に追いやる点で、放射能と似ていること。
局所的な従来の洪水や地震被害と違い、世界中が被災する広域性があること。
拡大のスピードは指数関数的であること。
季節性または通年性があること
発災から収束までの期間が長いこと。
抗体を持つまで、実質被害は続くこと
などです。

これらを見て分かるように、従来の災害と明らかに異なる特徴を持ちます。そのため対策も変えなければなりません。
そこで、以下のような形で、パンデミックに対応する仕組みを検討したいと思います。

感染症対策検討骨子

感染症災害はとても広域性があり、長期にわたり、健康と経済に影響を与えます。
そこでまず、先に述べた災害、医療、経済に加えもう一つ、海外の4つの視点から議論をするため、以下の内容について検討していきたいと思います。

1. 発生段階の設定と検討事項
 (1)平時 災害監視体制
 (2)発災初期 警戒体制と情報収集体制
 (3)国内感染確認段階以降の防衛体制

2. 平時
(1)の平時の取り組みとして、公共機関、民間事業者、非営利団体、市民それぞれの立場で以下について、できることを行います。
ウィルスの調査研究
海外の対策事例、新種の情報取集
治療薬の研究
検査キットの開発
感染症監視
緊急時対応マニュアルの策定、運用、改善
救急法などによる公衆衛生に関する市民意識の啓発向上。
専門医・自衛隊 医療部隊の訓練・一般医療の教育啓発
市民への啓発

3.発災初期
 未知の感染症が確認された場合、それが海外か、国内か、で対応が変わります。

 新型感染症は海外での発生源が多く、国内で初観測され、海外に感染拡大した事例はありません。しかし、グローバル社会となった現代において、どの国もパンデミックの発生源となりうる可能性があります。
 そこで国際社会の一員として、新型感染症という事象の発生が観測された場合の対応、情報開示、連携も考慮する必要があります。
 発災初期から国内発症確認以降の対応は、段階を追って連続的に行われるため、以下でまとめて、骨子を説明します。

4. 感染確認以降の対応  

(2)、(3)について、初期感染段階、クラスターレベル、アウトブレイク、パンデミックといった被害の段階に対応し、体制の強化、縮小を調整します。

4.1 疫学的措置
国内の段階的隔離措置
罹患者数と発症地域に基づく、ゾーニングと段階的措置
海外からの渡航者対策
各国の渡航者規制状況、感染者数、国連の対策に基づく国別、段階的な規制

4.2 医療的措置
患者の症状に基づく段階的医療措置とトリアージ
緊急医療体制 医療レベルに基づく医療体制の構築
緊急検査体制 早期発見のための検査体制の構築
自衛隊 医療部隊による現場指揮

4.3 防衛体制
医療従事者、ライフライン従事者の健康維持
各国と連携した国境管理体制の構築
交通網管理
緊急時インターネット通信体制の確立
仮設救護施設の構築
仮設遺体安置所の構築

4.4 経済的措置
4.4.1 民間人行動制限
自習要請、自粛指示、行動規制、自宅待機

4.4.2 法人活動規制
業種別事業活動の自粛要請、業務停止命令
時差事業活動、テレワークなど事業活動の縮退運用の指示
融資返済、納期延期等によるサプライチェーンの一時凍結

4.4.3 生活支援
食料品、日用品等備蓄支援、買い占め防止策

4.4.4 経済補償
個人にたいする収入別補償
法人に対する収入別補償、無償融資

4.5 情報開示
国内で発症が確認された場合における、
国内への情報公開体制の確立
海外へのアラートの発信と情報公開体制の確立

4.6 主管部署 日本版CDC(JCDC)

4.6.1 位置付け
内閣府傘下の機関として設置
緊急時には独立して指揮を行う。

4.6.2 役割
ウィルスの調査研究
海外の対策事例、新種の情報取集
治療薬の研究
検査キットの開発
感染症監視
緊急時対応マニュアルの策定、運用、改善
緊急時の指揮対策

4.6.3 体制
医師、看護士、介護士、赤十字、医療関係の非営利団体、薬品メーカー、医療機器メーカー、医学研究者、生物学者等医療介護従事者、政策担当者、省庁担当官、自治体担当官など。

4.6.4 責任者
内閣総理大臣 代行 副総理大臣
JCDC所長 代行 副所長

以上が骨子となります。
これらを叩き台とし、関係各省庁と議論を重ね、体制強化を図りたいと思います。


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