見出し画像

ピースマインド研修講師インタビューvol.1~臨床心理士・中村 洸太さんの「はたらくをよくする®」研修とは?


こんにちは。
ピースマインド広報の末木です。

コロナ禍で感染抑止のために加速したテレワークは、ニューノーマルな働き方として定着しつつあります。ピースマインドがお取引先に提供する研修も、従来の集合研修実施が難しい状況下で、オンライン研修のニーズがますます高まっています。
ピースマインドには、変化が大きな中でも柔軟に、それぞれの専門性を活かした研修で評判の研修講師がたくさんいます。

今回は、ピースマインドのワーキングベターラボ主任研究員で臨床心理士の中村洸太さんにインタビューし、中村さんが心理の専門家としての経験を踏まえて実施してきた研修の工夫や、モチベーションに感じる事、特に印象に残っている研修事例などを伺いました。

中村講師プロフィール-2

臨床心理士になったきっかけ

末木
中村さんとピースマインドとの関りは、歴史が長いですよね。

中村
そうですね。大学院卒業後の2009年に、現在も理事として関わっているNPO法人日本オンラインカウンセリング協会(以下、JOCA)のお仕事を始めたことがきっかけです。

末木
中村さんはピースマインドでカウンセラーとして相談対応をし、講師として研修も実施する心理の専門家ですが、そもそも何故、臨床心理士になったのですか?

中村
実は、大学入学の時点で初めからカウンセラーになろうと思っていた訳ではないんです。高校生の頃は心理テストみたいなものが娯楽として面白かったり、人の心が読めるんじゃないかなんて思って、漠然と心理学に興味を持っていました。そのほかに、漫画とかで読んだプロファイリングなどの犯罪心理学や、人の行動の背景に興味もあったので心理学を専攻することとしました。その後、カウンセラーになるつもりもなく大学生活を送っていたのですが、大学4年生の時、教育実習に行った学校で、年齢が近いこともあってか、子どもたちが相談してくれることなどがあったんですね。でも4年間心理学部にいたのに、こんなにも気の利いた返答ができないのか・・・と思ったんですよね。
就職活動中も、せっかく心理を学んだので、「個人にどう寄与できるのか?」「どう個人のプラスになれるか」を念頭に置いていたのですが、それなら、一般企業に就職するのではなく、心理の勉強をさらに深めて、「個」に関わる仕事をしようと思い、内定の出ていた企業には入らず、大学院への進学を決めました。

末木
教育実習が大きな転機になったのですね。

中村
そうですね。「実際に人と関わっていく中で何かできる事があるのではないか」と考えるきっかけになりました。

心理の専門家が実施する研修のメリット

末木
研修講師のお仕事はいつ頃から始めたのですか?

中村
大学院卒業後、先述のJOCAの仕事とクリニックや大学病院でのカウンセリングの仕事を並行して行っている中で、講義や講話などを行う機会はあったのですが、ピースマインドでの研修講師デビューは、2011年に外資系企業で実施した介護研修でした。「仕事と介護の両立」が社会課題として注目され始めた時期で、特に外資系企業のお客様からのニーズが高まっていました。
以前、大学病院で高齢者の認知症の検査などを行なっていて、実際に検査対応やご家族への説明などもしていたので、現状に即した介護の話ができる講師としてオファーされました。介護制度の話だけでなく、介護に関わる方々の心理的な側面や介護の実態を盛り込んだ研修を行ないました。

末木
心理職としての経験を踏まえた研修は、中村さんならではの特長ですよね。
中村さんには昨年、ピースマインドの「LGBTとハラスメント」セミナーにも登壇していただきました。「LGBTと多様性」も中村さんの専門分野ですが、このテーマでの研修ニーズは増えているのでしょうか?

中村
2013年に東京オリンピックの開催が決まって以降、オリンピック憲章に沿って、ダイバーシティ&インクルージョンに力を入れる企業が増えました。CSR活動の一環として取り組んでいる企業も増え、ピースマインドへの研修ニーズも少しずつ高まっています。

末木
心理の専門家は、人の行動の背景にどういうことがあるのか、働きにくくなっているとしたらどんなことが起こっている可能性があるのか、働きやすく、多くの人がハッピーになるにはどうしたらよいのか、など理論に基づいた知識をお持ちだと思います。でも、専門的な内容をそのまま参加者に話しても伝わりにくいと思うのですが、研修の中で参加者に「ああそうか!」と納得していただけるような工夫はどのようにしていますか?

中村
心理の専門家は、いいものを作ろう、正確に伝えようとして、難しく発信してしまう事が少なくありません。それはプロフェショナルな営みではあるけれど、受け手側にはよくわからない、敷居が高くなってしまうということもあります。研修は、専門性と一般の方を繋ぐ場なので、分かりやすい例えを交えながら伝える工夫をしています。どんなに良い事例でも伝わらないことには意味がないので、心理学・行動科学の理論に基づいた知識やこれまでの臨床経験をベースに、背景理論を一般化して参加者の方々に分かりやすいようにお伝えし、納得してもらえるように考えています。

末木
中村さんの研修は、柔らかく入っていきやすいと定評がありますよね。

中村
自分が心理職であることを活かして、いわゆる「研修講師」=「先生」という感じで話さない様に、なるべく体験ベースの平易な話し方で、入っていきやすい言葉を選択をすることを意識しています。一方的に知識をインプットする講義ではなく、どう届けるか?を大事にしています。

研修実施時の工夫

末木
ここからは、具体的な研修の進行について伺います。
研修の準備をする過程で大事にしている事などあれば聞かせてください。

中村
「その企業のその回の研修で何が期待されているのか?」を掘り下げるために、ピースマインドの研修部メンバーや営業担当と打合せをし、ご要望・必要に応じて、取引先ご担当者とのミーティングにも参加して、顧客ニーズを拾うようにしています。
例えば、「介護研修」というテーマがあった場合、どのような背景・ニーズがあって研修のオファーがあったのかによってアプローチは変わります。企業内の実情に沿った話をエピソードに盛り込みたいので、ピースマインドの研修部メンバーや営業担当と連携して、顧客ニーズを把握し、例えば「介護世代が増えてきた」という課題がある場合には、その世代の方々が仕事と介護の両立時に直面する課題などを入れる様にしています。

末木
同じタイトルの研修だとしても、研修のテンプレートを繰り返すだけではなく、ニーズに沿った要素を盛り込んで進行する工夫をされているのですね。

中村
そうですね。あとは、資料を作成する場合には、研修後に読んでも分かるものに仕上げています。当日、話を聞いていたら何となく分かるけど、後で見たらよくわからない資料ではなく、介護だったら「こんなサービスがあるよ」など、お役立ち情報を含める等、参加者の方が研修後にも使える資料にしています。

末木
コロナ禍でこの1年半の間に、働き方が大きく変わり、ピースマインドの研修もほどんどが対面の集合研修からオンラインに切り替わりました。変化する中で、工夫されていることなどありますか?

中村
対面の集合とオンライン研修は、それぞれの良さがあって、別のものだという大前提で構成しています。対面の研修をそのままオンラインで実施しても上手くいかないと思ったので、オンラインの良さを活かした構成を意識しています。
例えば、対面の集合研修では、参加者の方々に意見を求める場面でシーンとしてしまうこともあるのですが、オンライン研修だとチャットで意見を書いてくださる方が増えたり、中には全体公開ではなく講師へのダイレクトメッセージであればコメントをくださる方もいます。そこには、オンラインならではの距離感やインタラクティブさがあります。

末木
オンラインだからこその難しさもありますか?

中村
対面の集合研修にある空気感・一体感をつくることには課題があると思います。
自分がオンラインで研修を受ける立場の時に感じるのですが、何となく聞き流してしまうとか、集中力が持続しない時もありますよね。
集中力を維持してもらうことは、講師側が工夫しなければいけないポイントで、「何となく画面の向こう側で行なわれている研修」ではなく、「参加している」という感覚を持ってもらえるように意識しています。

末木
集中力を維持してもらう、参加感・臨場感を高めるために工夫していることはありますか?

中村
チャットや反応のボタンを使ったアイスブレイクを冒頭に入れて、通信環境の確認やチャットの使い方練習をしながら、参加者とプレゼンスを共有する作業も行なっています。そういうところで、参加している感を自然と作っていくことが大事かなと思います。

末木
少し和んでから研修スタートできるのは良いですね。

中村
コール&レスポンスで、講師も話しやすくなります。パソコンに向かって一人で話していると、ちゃんと聞こえているのかな?とか、音声途切れていないかな?と不安になることもあるので、反応があると講師側も一体になっていると感じられます。

末木
コロナ禍で働き方が大きく変わって、オンライン会議がとても増えました。
普段のミーティングなどでも、少し長い時間の場合は冒頭にアイスブレイクを入れるのは良いかもしれませんね。

中村
「反応がないと不安になる」のは、オンラインあるあるなので、場づくりは大事ですよね。

ピースマインドの研修講師のやりがい

末木
これまでに行ったピースマインドの研修で印象的だったエピソードを聞かせてください。

中村
外資系企業では、「ダイバーシティ&インクルージョン週間」等、テーマを設けたイベントを実施される企業も多いのですが、そういった場でお客様と共に「研修を一緒につくりあげた」のは特に楽しさとやりがいを感じました。講師として呼ばれて話すだけではなく、事前にイベントや研修の目的の意識合わせから入り、企業のメッセージを先方のご担当者と一丸となって参加者の方々に一緒に届け、共創させていただいた達成感がありました。
臨床的な側面でも、研修を受けた事がきっかけで、参加者の方がEAPの相談を利用してみようという気持ちになって、実際に利用していただくこともありました。研修実施がきっかけで、一次・二次予防に貢献できたと感じられると嬉しいですよね。

末木
研修実施後、参加者の方からの質問などはよくあるのですか?

中村
会場の都合等もあるので、それほど長い時間ではないのですが、可能な限り、研修実施後も少し会場に残って、質疑応答できる様にしています。
自然と参加者の方から話に来てくれるケースは少なくありません。

末木
研修講師として、中村さんご自身がモチベーションに感じる事は何ですか?

中村
インタラクティブなところですね。研修は講演ではなく、総合的なものにしたいと考えています。はじめに笑いがとれるか?とか・・・

末木
笑いですか?(笑)

中村
導入時にリアクションがもらえると参加者の方々とコミットできたと感じるんですよね。
会場と自分が繋がれたという感覚を取りに行こうという意味での笑いです。
いろんな研修スタイルの講師がいますが、きっちり伝えるべきことはお伝えしますが、僕は一方的なインプットではない「話し言葉」「伝わりやすさ」を大事にしています。内容・参加者・自分がどう調和していくのか、ハーモニーを奏でるか、研修のライブ感が面白さであり、やりがいです。

末木
ハラスメント防止研修を実施する際の、ハラスメント6類型の説明など、提議の確認が必要な場面はきっちりインプットし、他の場面では「参加者も講師も一体となって会場のみんなで作り上げていく」のが、中村さんの研修スタイルなのですね。

中村
そうですね。あとは「なにか持って帰ってほしい」と思っています。
研修を実施する数時間の間に聞いたことをその場で全部覚えるのは難しいと思うので、なにか一つでも覚えていてもらえると良いなと思って、持ち帰ってもらいたいメッセージは決めているかもしれないですね。それがきっかけとなって、EAPの利用に繋がるなど、参加者の方のウェルビーイングが高まると嬉しいです。

「はたらくをよくする®」とは

末木
最後の質問です。
中村さんにとって、「はたらくをよくする®」とは、どんなことですか?

中村
はたらくをよくするは、「生きるをよくする」なのかなと思います。
多くの人にとって、働く時間は人生の中でも多くの時間を占めているものなので、それを良くしていくことは、生きやすくなることに繋がると思います。
仕事が生きがいという方もいれば、仕事はあくまでプライベートを充実させるためのお金を稼ぐ手段という方もいるかもしれません。どんなスタンスでも、物理的に時間を取られるものなので、悪くない方が良いですよね。
キャリアデザインの話になってくるのですが、僕の仕事は研修やカウンセリングを受ける方々が、「自分の生き方をデザインすること」に関わる仕事で、その人の人生に関わることができる仕事なのかなと思います。

末木
人の数だけいろいろなデザインがあって、そこに伴走していくということですね。

中村
そうですね。働き方が変わってきている時代真っただ中なので、これまでのような正規雇用のフルタイム勤務が全てではなくなっています。時代がかわる中で、いろんな働き方の実現を受け入れる・支援することも、「はたらくをよくする®」だと思います。

末木
ありがとうございました!

参考情報

◆ピースマインドの研修メニュー

◆ピースマインドのカウンセリングサービス紹介動画

◆中村洸太 監修記事

:)  :)  :)  :)  :) 

ピースマインドでは、「はたらくをよくする®」に共感し、共創してくれるメンバーを募集しています。ご興味のある方はぜひ以下をご覧ください。

:)  :)  :)  :)  :) 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?