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メンバー紹介③


はじめまして、プラットフォームデザインlabの中村友美です。
舞台芸術の場では舞台美術の仕事をしながら、最近はたまに展示や撮影関係の美術・装飾の仕事をしています。
人の話を聴くのは好きなのですが、あまりこうして自分の話をするのは少し気恥ずかしいところもあり散文なところもあるかと思いますがどうぞ宜しくお願いします。

現在小学2年生の娘と日々を過ごしております。
パートナーは舞台監督や演出部の仕事をしています。

最近は健康づくりと落ちた体力を取り戻すため、少しの時間ですがランニングをするのが日々の楽しみです。読書も好きです。おすすめがあったら知りたいです。


これまでと出産までについて~保育園申請~

私は子供を授かって出産したのはもう8年前になるのですが、妊娠がわかってすぐ当時はちょうど「保育園落ちた日本○ね!!!」の報道が話題になったタイミングでした。
この時子供を持っても仕事を続けていけるのは当たり前のことであると楽観的に捉えていたばかりに、思いもよらぬところでジャブを受けたような気持ちを覚えています。そしてそのジャブはこの後ボディーブローのようにじわじわと味わうこととなりました。

そこからありがたいことに周囲の理解もあり、出産ギリギリまで仕事を続けることができました。そして保育園の0歳児入園の際の申請が出産前でした。
そして例の報道のこともあってか、私の当時住んでいた区は都内でも倍率が高く保育園の入園窓口はピリピリしているような印象でした。加えて当時のフリーランスでの申請もかなり時間を要したのを覚えています。(今は改善されてきていると思います)たまたま運悪く当たってしまった窓口の方から何度も書類の書き直しと、担当者のたらい回しを受けたりなど(泣)一次募集で落ち、二次募集で補欠でなんとか通った保育園は2駅も先の場所にありました。
(※苦労話みたいになってしまいすいません、不勉強で臨んだというのがまずあるのでこちらの問題も今思うとあったかと、、でもとにかく情報がなくて、、あの頃に比べて今はいろんなところで改善されてると思います!)

区役所での保育園申請の時に、何も知らなかった自分にとって当たり前だと思っていた舞台業界での仕事の在り方や業界のスタイル、そして社会の目、みたいなものが「あれ、あれあれ」とそのギャップのようなものが日々積もっていくような感覚でした。
それは私もパートナーも20代でキャリアも知識も浅く、共に駆け出しのフリーランスだったこともあった気がします。
業界の周りに相談したり頼れる人が少なく、子育てについて「話しづらさ」、目上の方に相談する「気まずさ」というのもあったと思います。

子供を連れていきまくった未就学児時代

とにかく、仕事を続けたいという想いから産後1ヶ月で復帰。我が家には身内に頼れる環境がなく、保育園の時間外はベビーシッターや認可外の託児施設、行政のショートステイ・トワイライト、ファミリーサポートなどありとあらゆるサービスを利用しました。仕事場が固定ではないこの業界の仕事では都内・地方などいろんな場所の託児施設の利用がかなり増え、私の収入分は働いてもほぼ保育費に全てが消えていくことも何度かありました。認可外に預けて夜中の24時超えて迎えに行くなんてこともありました。
どうしても託児が叶わない場面の中、子供を連れて現場参加を受け入れてくれる現場もたくさんありました。嬉しかったし、そのことの積み重ねが今私が仕事を続けていける勇気とエネルギーにもなっています。
ただスタッフ作業現場では危険を伴う作業もあり、危険な作業には集中力も要ります。そのことと子供の現場同行と託児の課題も個人的に考えたいところです。

トライアンドエラーもありつつ、一緒にいろんな都市や場所に移動したし、仕事でも観劇でも子供と過ごした劇場での思い出は私の中で大切な時間になり続けています。

これでいいのかな?とも自問する日々 

毎回一つのプロジェクトを終える度にこれでよかったのかなと今でも思います。

父母双方で仕事に出て、夜遅くの迎えをする日が続く度に罪悪感もあります。

明日も保育園があるのに、早く寝かせてあげることのできない日もたくさんありました。子の成長とともに、子供と過ごす時間と仕事とのバランスに常に揺らぎを感じています。もしかしたら違うやり方や、仕事の関わり方もあったかもしれない。

「事前に相談するべきだったかも」
「家庭の都合を仕事場に持ち込むことはどうなのか」

物理的に継続が難しく仕事を離れてしまう人もいます。
私は本当に、たまたま、周囲の協力やサポートがあって今の仕事を続けられてるだけだと思います。 
それでもいつも、悩み続けます。

観客としての自分、創り手側としての自分

もともと観劇が好きなので、出産後も見たい作品は極力見に行くようにしています。ありがたいことによく利用させていただいた劇場や美術館での観劇託児のサービス、子供との鑑賞サポートは自分たちや子供を"観客"として受け入れてくれるような気持ちにさせてくれて安心します。
しかしながらサービスがありながらもまだまだ観劇のハードルの高さは目立ちます。(それは人それぞれ、事情があると思います)
当事者になりはじめて気づきましたが、舞台芸術やアート鑑賞にだけでなく、子連れで参加できる機会や場が自分が思った以上に限定されているということがわかりました。(ベビーカー移動をするとより実感しますよね、、エレベーターがあってもラビリンスです)子育てをはじめてから毎日の移動も、街の形も見え方が変わるような不思議な感覚でした。そして利用する側になってはじめて劇場の椅子や高さ一つとっても意識が変わりました。
そしてこの課題はもしかしたら『子育てに関わる人たち』に限った話ではないのかもしれません。

周りのサポートへの感謝、そしてゆるやかな繋がりを広げたい

仕事と育児のバランスの日々のとても悩んでいるとき、ちょうど3年前くらいに歴史学者 藤原辰史さんの『縁食論: 孤食と共食のあいだ』に出会いました。

藤原さんの言葉は当時コロナ禍の育児に仕事にいっぱいいっぱいになっている私の心身に染み入るような感覚になりました。

この本にあるような弱目的性(目的に縛られすぎない)ゆるやかな繋がりや関係性づくりを舞台芸術の子育ての場でもいろんな人と考えることはできないだろうかと思うようになりました。

そんなタイミングでこのチームのみなさんと出会いがありました。
もしかしたらそれが業界の観客や創作環境の風通しをととのえながら、呼吸しやすい場やネットワークづくりの一歩にならないかと思っています。

舞台芸術で呼吸がしやすい子育ての環境を考え続けていきたい

今までの座談会でも話題に上がりましたが、いろんな家庭の形や子育てのあり方、考え方のグラデーションがあります。でもとてもそれは大事なグラデーションでもあると思います。

自分と誰かが違うように、自分の子供と誰かの子供ももちろん違います。
ただそのグラデーションを大切にする創作や仕事の仕組みを考えたり、少しでも舞台芸術に観客として、参加者として、創手として関われる在り方の可能性を探りたいと考えています。

定期的に座談会を開く意味も、誰かの声や話を聞いてそのグラデーションを知り、気づきをもつことで自分自身や子育てについて再発見があるような気がいつもします。そしてもっとこうだといいねの形を増やしていきたいです。
私も知りたいです。

舞台芸術では組織やプロジェクトごと、団体によって方針がさまざまある中でそのいいねの形をもっと隔たりなくシェアでき、横のつながりができればいろんなアイディアが生まれる気がします。

私個人だけではとても難しいですが、プラットフォームデザインlabの力強いみなさんと、そして活動に参加したり応援してくださる方と一緒に考えていきたいです。

私の次回担当記事ははいろんな劇場で利用した鑑賞託児やサポートについてまとめてみようかと思います。
(そしてまだまだ準備中です💦ひえ〜)

どうぞよろしくお願いします☺️


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