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【南房総インタビューvol.1】二拠点居住から考える災害ボランティア~ヤマナハウス 永森昌志さん~

今回は、千葉県南房総地域で二拠点居住促進の活動をしていられる永森昌志さんに、2019年の台風時の被害状況やボランティアについてお聞きしました。

永森さんのプロフィール

東京都武蔵野市出身。合同会社HAPON共同創設者。シェアオフィス運営のほかウェブプロデュース、地域プロモーションも手掛ける。東京での勤務をしている中で、仲間とシェアハウスを運営しながら、週末に南房総での二拠点居住を始める。現在は南房総に完全移住しており、シェア里山「ヤマナハウス」を運営している。

ーーーーインタビューを始めさせていただきます。よろしくお願いします。今回は9月にあった台風以降の二地域居住の在り方と、災害時の二地域居住の可能をテーマにして進めていこうと思っています。まず本題の前に、永森さんの現在の南房総での生活や、コロナウイルスの影響についてお聞きしてもよろしいでしょうか?ーーーー

永森さん:僕は今南房総で生活をしているんですけど、今は南房総へ移住していて、新宿でコワーキングスペースを運営しているので、東京に週一回行くという、逆二拠点生活をしているんですけど、僕自身の生活においてはコロナウイルスにおいても影響はほとんどないですね。
3密っていう状況がこっちは人口密度が低くて起きないのであまり変わらないです。こっちにいて申し訳ないくらいです。
ただ、仕事は南房総の行政の仕事もしているんだけど、それに関しては延期したり中止したりって言う影響が出ていますね。

ーーーーコワーキングスペースの運営とかには影響はあるんでしょうか?ーーーー

永森さん:ありますね。やっぱり新宿は人が集まる場所なので、ワンデイビジターの方はお断りしていて、会員さんも何社かは退会をされていますね。

ーーーー僕らも南房総を訪れたいと思っているんですけど、学校の方で活動の許可が出ていないので行けない状態なんです。南房総の方が危険じゃないという状況があるのかもしれないですね。ーーーー

永森さん:そうですね。ただ皆さんの方が無症状確率が高いじゃないですか。だから、皆さんが移す側になってしまう可能性が高いですよね。2拠点生活の人も、その辺がジレンマみたいです。

ーーーー今、永森さんは二拠点生活者の中でも、いわゆる逆二拠点生活というタイプに入ると思うんですけど、どういうタイプの方が他にいらっしゃいますか?ーーーー

永森さん:1番多いのは別荘が進化したパターン。通常都心に暮らして都心で仕事をして、週末南房総に来て生活をするパターンが1番多いです。あとは、僕みたいに二拠点生活をしているうちに南房総に住むようになって、仕事の為に週に何回か東京に行くっていう人は知り合いの中でも何名かいますね。あとは、ヤマナハウスみたいなところにリピーターとしてコミュニティーに参画して活動をしたり、リモートの人とかの場所に遊びに行ったりするタイプの人。いろんな言い方あるけどリピーターとかコミュニティ型ですね。

ーーーーありがとうございます。これから台風19号に関しての本題に入らせていただきたいと思います。まず初めに、台風による永森さんのご自宅への被害等は何かありましたか?ーーーー

永森さん:そうですね。自宅はヤマナハウスと違うところに住んでいるんですけれども、そこもかなり里山で、日本家屋なので屋根が飛んじゃいました。あとは木の倒木で翌朝家から出られない状態になったりしました。

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ーーーー行政としての活動もしてらっしゃると思うんですけど、そういうところにも影響はありましたか?ーーーー

永森さん:そうですね。1番あったのはトライアルステイの事業をお手伝いしていて、移住希望者が南房総で数日間生活をしてみるという話がちょうど始まる時だったんですけど、延期になっちゃいました。こっちは15号が1番ひどかったんですけど、その後も19号があったりして。1ヶ月以上ですかね、延期になってしまいましたね。

ーーーー当時から2地域居住のあり方というと、週1回東京に行くというスタイルはそのまま継続できたんですか?ーーーー

永森さん:しばらく東京に行けなかったですね。自分の家もそうだけど、周りが結構大変だったので、そこのお手伝いとか情報交換をしたりとかしてましたね。自分の家も停電してたりして。

ーーーー周りの二地域居住をされている方とかも、台風によって、南房総に訪れる頻度に変化はあったんですかね?ーーーー

永森さん:台風に関しては人によるんですけど、ボランティア活動に積極的に参加している方もいらっしゃいましたね。最初のほうは道路がふさがってたりして、物理的に来れなかったんですけど、それ以降はむしろ高速道路が安くなったりして来やすくなったので、結構ボランティアをしている人がいましたね。全員じゃないですけど。

ーーーー人によるって感じなんですね。具体的にそのボランティア活動というのはどういうことをされていたんですか?ーーーー

永森さん:いくつかあるんですけど、里山の方だと倒木の処理、あとははかなり危険ではあるんですけど、河原の修復・修繕のお手伝いとか、屋根瓦にブルーシートをかけるのは結構やっていましたね。あとは、瓦礫処理とか、食料とかブルーシート物資の支給をしていましたね。あとは、南房総リパブリックとかでも行っている、ビニールハウスの解体とかもボランティアではかなりやってましたね。それが結構大変で、人手が必要だったので、ボランティアの中での大きなものの1つに挙がってました。倒木処理とかと違って女性とかでもできましたし。

南房総台風被害 瓦はがれ 作業

ーーーーなるほど。WEBのファインダーズで永森さんが書かれている、台風被害に関しての記事を読ませていただいて、ブルーシートや職人の方が足りないという記事を目にしたんですけど、被災地のボランティア支援は正直行き届いてはいなかったんでしょうか?ーーーー

永森さん:食料に関しては、割とインフラは破壊されていなかったのであったんですけど、ブルーシートは正直足りなくて、想定以上に屋根が飛んだりしたので。あとは土嚢袋とかも足りてなかったりして、そこが1番不足していましたね。

ーーーーボランティアをしてくれる方の人数はどうでしたか?ーーーー

永森さん:地域によって別れたんじゃないですかね。館山の西岬っていう所は、団体が入って結構まわってたりしたけど、鋸南町とかはあまり行き届いてなかったかもしれないですね。

ーーーー台風被害で現在も影響が残っている事はあるんですかね?ーーーー

永森さん:いくつか観点があるんだけど、屋根瓦が治ってないとかブルーシートが残っているところは結構多いですね。

ーーーーじゃあ、完全に復興するまでには時間がかかるっていうことですかね?ーーーー

永森さん:瓦に関してもやっぱり職人が足りてなくて、外から呼んでるんですよね。時代的に瓦を使わなくなっている状態で、元々職人が少ないところで起きたからというのと、あとはコロナでとまっているって言う話は聞いたことがあります。あとは多分経済的な話。コロナもそうですけど、台風でも観光と宿泊が大打撃を食らっている影響は、今でもいきているんじゃないですかね。

ーーーーそうですよね。ボランティア支援することによって地域の人たちとのつながりが新しく生まれるとか、そういうポジティブな面はあったりしましたか?ーーーー

永森さん:ありましたよ。ヤマナハウスに関していうと、3回くらいオフィシャルで在住のメンバーと都心のメンバーが来て、何箇所かボランティアに行ったんですよ。その時に、会ったことない都心の人の受け皿になれました。あとは、布良とかあまり行ったことない所で交流が生まれましたね。

ーーーーなるほど。今日1番お聞きしたかった事が、二地域居住する方が災害時の復興支援とかで、別の都心部だったりの架け橋のような、ポジティブな存在になれるんじゃないかっていうことなんですけど、そのあたりはどう思っていますか?ーーーー

永森さん:基本的にはポジティブだと思います。第二の住居なので、普通の観光客よりも地域への想いが強いし、いいと思っています。それと同時に、少し話が戻りますけど、二地域居住と言う言葉を聞くと、50/50な感じに聞こえるけどそういうわけじゃないので、二地域居住っていう言葉は細分化した方がいい。メインが都心にいるので、地方の状況が非常時にどの程度わかっているのかというのは正直疑問。何が言いたいかっていうと、都心の人たちはボランティアに来てくれる大事な存在だけど、南房総にいる人たちとどう結びつけるかがポイントだと思っている。そこがうまくつながって連携を取れるかっていうのがすごい大事。

ーーーーそういう役割をする団体、仕組みはできているんですか?ーーーー

永森さん:今はないです。急遽工務店が基地になってみたり、ボランティアチームが住み込みで来たり、とりあえずいくつかできたっていう状態。台風とか災害の頻度が増えていくと言われている中で、ある程度仕組み化していくのは大事だと思っています。

ーーーー仕組みの1つで言うと、社会福祉協議会からボランティアを派遣するみたいな事は布良で行われていたらしいのですが、そういうのは1回きりでおしまいで、ボランティアの方が地域に愛着を持っていたりとか関係なく、システマティックに配属されるというのは伺ったのですが、そこを二地域居住によって、もう少し地域に根ざした持続的なボランティアにできるんじゃないかと思っているんですけど。ーーーー

永森さん:あり得ると思います。もし二地域居住者が地域に根ざした感じで、有機的にやっていくのだとしたら、もっと自治体より小さい地域に出て、草刈りだったり、総会だったりの活動をして、災害時に二地域居住者が何かできるかを話したり、彼らの仲間を連れてきたりすると、二地域居住者が地域の方に認められるっていうことが生まれてくると思うので、そういうことを日ごろからやっていく。さらに、災害時にそういうところに声かけをしていくということが、それを実現させるには大事になってくると思います。

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ーーーーありがとうございます。これから二地域居住やリピーターの人々を広げていくにはどうしていくことが必要だと思いますか?ーーーー

永森さん:ヤマナハウスはそういう役割を担っていて、それは個人的には地域に興味を持っていて、自ら訪れるという形になっているが、それは個人が対象のものなので、もっと法人や企業にアプローチしていくことが必要になってくるのかなと思っています。法人の会社員も個人なので、そこにアプローチしていくのが、残された裾野だと思う。例えば今、ワーケーションという言葉があるんですけど、地方に個人的に足を運ぶっていう仕掛けとか仕組み、プロジェクトが生まれつつある。それがもっと増えてくると、リモートワークとかで、企業に勤めながら南房総に移住するということが可能になってくる。なので、個人のマーケットはもう広がっているので、企業や法人が地方とどのように関わっていき、その流れでニ地域居住者がどう増えていくかが重要ですね。国もワーケーションを推進しているんですよ。今流入が個人だけなので、法人が増えれば平日にも来ることができるんですよね。

ーーーーたしかに、企業単位で動くとかなり変わるかもしれないですね。ーーーー

永森さん:もちろんそれによるネガティブな影響もあるかもしれないですけど、そこはまた考えながら。ただ、昔に企業が地方に来るときに大きい工場を作っていたりしたんですよ。

ーーーー町一つが工場城下町になるみたいな感じですよね。ーーーー

永森さん:そうそう。でもそういうのじゃなくて、二地域居住的に企業が南房総とかに来るみたいな感じ。例えば、企業の社員がワーケーションでこっちに来て、地方を気に入った企業がサテライトオフィスを建てるってなったら、企業も従業員をこっちに送り込んでいきますよね。そうなったら、台風の時にも寄付とかしてくれるだろうし、そういう流れができたらいいなと思って、自分の活動もしています。
基本的には、二拠点生活って自分で色々やるというイメージがありますよね。僕も昔、2拠点生活をしていたんですけど、経済的にも時間的にも労力的にも大変でした。だから、企業の中で、二拠点生活ができたら、経済的な意味でも来やすいんではないかと感じています。

ーーーーありがとうございました。余談なんですけど、次回に、館山信用金庫の溝口さんにインタビューしようと考えているんですけど。ーーーー

永森さん:よく知っていますよ。溝口くんはより地域経済への影響のことをダイレクトに知っているので、それは聞いておくと良いかと思います。そういう影響のことは、人が来てないという以上の情報は、僕もあまりわからないので。

ーーーーありがとうございます。インタビューは以上になります。二地域居住者の災害時の可能性や、今後の二地域居住拡大の必要性、台風時のボランティア活動の実態などの幅広いお話を聞くことができ、大変有意義なインタビューさせていただけました。台風などの災害時に、二地域居住者の存在がカギになるには、逆二地域居住者のような、地域に根付いた形をはやらせることが必要になってくるのかなど、新しい考えを生み出す機会にすることができました。ーーーー

永森さん:ありがとうございました。ヤマナハウスにも来てください。自然の中で体を動かすの気持ちいいので。

ーーーーぜひ伺わせてください。ありがとうございました。ーーーー

永森さんが運営しているヤマナハウスのHPです。

ぜひ、遊びに行ってみてください!!



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