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インタビュー企画 宇宙法を学ぶインターン生・鈴木さん

はじめに

宇宙ハウスメンバーのミノウラです。

宇宙機開発に取り組むPDエアロスペースに、インターン生・鈴木さんがやって来ました。現在大学4年生の鈴木さんは、「宇宙法」と呼ばれる、宇宙に関する法律を学んでいます。

宇宙に関する法律があったとは・・。
そんな驚きから、今回のインタビュー企画は始まりました。

そもそも宇宙法とは
宇宙法とは、条約や国連決議、宣言や取り決めによって定められた、宇宙に関するルールや原則、基準の総称です。(実際に、宇宙法という法律がある訳ではありません)

国と国との間で取り決められる国際法と、日本国内でのみ適用される国内法とがあり、基本的に国内法は、国際法に準じて作成、改正が行われます。

鈴木さんへのインタビュー

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宇宙業界の発展を公正で豊かなものにするためには、日本国内だけでなく、世界に通じた法律の整備が必要とされます。つまり、日本だけに収まらず、世界へ通じた視野を持つことが重要になります。

エンジニアや天文学とはまた違った視点から宇宙開発を促進させる法律家。今まで知らなかった宇宙との関わり方を、鈴木さんの話を通して知りました。

―「宇宙法」を知った経緯を教えてください。

「宇宙法」の存在を知ったのは大学1年生の時です。

授業で貧困や教育といった世界の問題を学んだ際に、「宇宙ゴミ」についてのレポートを書いたことがきっかけになりました。そこで初めて宇宙に法律があることを知りました。

―昔から、宇宙に興味を持っていたのですか?

家に大きな図鑑があって、よく眺めていました。図鑑に載っていた惑星のスケール表を見て、太陽の大きさに驚いたり、地球ってこんなに小さいんだ・・と、子供ながらに楽しんでいたのを覚えています。

でも、子供の頃は、パン屋さんになりたいとか、他の職種に憧れていました。

働く仕事としてきちんと考え始めた時も、はじめは建築家になりたいと思っていました。その後、色々心変わりして、法律家や弁護士になることを考えたこともありました。

大学は、国際関係や海外の政治に興味を持っていたので、それが学べる学校として、現在の大学を選びました。

入学当初は国際関係の中でも、特にアメリカの歴史に興味があり、北アメリカ地域を専攻していたんです。
・・ただ、実際に学び始めてみると、あまり自分の興味にリンクするところがないことに気が付きました。

―宇宙法を学ぼうと思ったのはなぜですか?

●これから発展の余地、つまり未来がある。
●いかに上手に法律を制定し、国同士の協力関係を深めて宇宙活動をより発展させていけるか考えていくことが面白い。

この2点には惹かれ、宇宙法を学び始めました。

宇宙法はまだまだ発展途上で、本格的に取り扱われるようになってから、まだ50年ほどの新しい分野です。

宇宙開発は大きく発展しているにも関わらず、宇宙法は1950年代ごろから全く改正されていません。つまり、法の秩序が、開発の現場に追いついていない状態なんです。

じゃあ、早く法律を変えたり作ったりすれば良いじゃないかと思うかもしれませんが、そこには国と国との対立などがあって、なかなか策定が進みません。国際法には利害関係が絡むため、成立させることが容易ではないんです。

でも、それを難しいからと放置しないで、どうしたらいいのかと考えていくところが、「宇宙法」を学んでいて面白いなと感じるところです。

―昨年オランダのライデン大学へ1年間留学し、最先端の宇宙法研究に触れられたそうですね。

留学したライデン大学は、国際法で有名な大学です。特に航空宇宙法ではトップだと言われています。

私の大学での宇宙法の取り扱いは、国際法の授業の中でほんの少し触れられる程度でしたが、ライデン大学には「宇宙法」という授業がちゃんと設けられていました。そして、国連のアドバイザーを務めるなど実際に国や国連に提言をしている人たちが教授となり、宇宙法を教えてくれます。

オランダに留学して最先端の環境で宇宙法が学べたことで、新しい発見や知見を得ることが出来たと思います。

―留学したオランダはどんなところでしたか?

オランダは多様性を重視して、「自由」というものを、とても大切に考えています。自分のやりたいことを認め、尊重してくれる環境は、すごく居心地がよかったです。同調圧力などなくて、自分は自分で良いんだという、自己肯定感が持てる国だと感じました。

あえて良くなかった点をあげろと言われると・・、料理がおいしくなかったですね。唯一おいしかったのは、ワッフルかな。

―オランダと日本と宇宙産業の取り組み方に違いを感じましたか?

ビジネス分野では分かりませんが、研究分野に関しては、オランダは進んでいると思います。

日本は、伝統的な慣習や規制に縛られている部分が多くあり、宇宙業界から置いていかれているように感じます。

新しいことを始めるには、慣習などを飛び越える必要があります。日本は伝統を重んじているところが大きく、そういう点では、宇宙産業をやるのに適した環境だとは言いにくいです。

でも一方で、日本の個人や会社が持つ技術は非常に高度です。物づくりの国と言われるだけのものを持っています。そうした技術が活かせる環境を作っていくことが、今後の日本の課題であると思います。

―インターン活動では、どのようなことをされているのですか?

日本では、有人宇宙飛行を規定した法律がありません。将来、国内で有人サブオービタル宇宙旅行を実施する場合、法律面で捉えると、どういったところに課題が出てくるのか、その整理をしています。

インターンでは、これから新しい法律を作ろうね、ではなくて、ないから今ある法律をどう使おうかと考えていかなければならないと感じました。法整備によってビジネスを妨げることがないよう、どのように法的課題を乗り越えていくか、その道筋をつくっていくことが重要なんです。

―卒論は、どんなテーマで書かれるのですか?

「スペースデブリ」について書こうと思っています。

スペースデブリというのは、ロケットを打ち上げた時に切り離した部品や寿命を終えた衛星など、いわゆる宇宙のゴミのことを言います。

聞いた話なので本当かどうか分かりませんが、宇宙で撮影を行なった際に使われた、ゴルフボールなんかも浮いていたりするそうです。

宇宙法が作られた当時は、デブリの問題については全く想定されていませんでした。そして現在も、スペースデブリについて具体的な国家間の規制はなく、様々な国際機関が自発的にデブリを減らすためのガイドラインを作成するのみです。(ガイドラインというのは、自発的行動を促しているだけで、法的な拘束力がありません)

そのガイドラインが実際どのようにデブリの問題の解決に役立っているのか、これまでに果たしてきた役割について書きたいと思っています。

そして卒業後は、留学したライデン大学の修士課程に進んで、さらに深く宇宙法を学んでいこうと考えています。

―国際的に活躍する上で、大切なことはなんでしょうか?

多文化理解と協調が重要だと思います。まずは、考え方が違うんだということを理解し、認めることが大切です。

無意識のうちに自分が正しいと感じて、そのまま行動してしまうことが多くあると思いますが、一旦それは脇に置き、あなたの考えとは違う、じゃあ、違うからどうすれば良いのかと探っていくことが重要だと思います。

―最後に、宇宙旅行には行きたいですか?

リスクを考えないと・・、とは思いますが、最終的には行きたいです。

宇宙に行くのはやっぱり危険なことですから、色々なリスクを踏まえて自分で安全だと納得出来てから出発すると思います。

でも死ぬ前に、1度は青い地球を見てみたい。青い地球を見て、物思いに耽りたいな・・。

おわりに

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どこまでも続く宇宙・・、そこに関わる人の想いも広大です。

境界線も何もない宇宙をどうやったら守っていけるのか、鈴木さんへのインタビューに触発されて、ゆっくり考えてみたくなりました。

<おまけ:鈴木さんってこんな人>
●高校生の時からサッカーをやっています。オランダに留学した際も、オランダの女子チームに所属し、プレーを楽みました。オランダの方は2mほどの大柄な人が多いので、ヘディングが全く通用しなかったそうです。
●お菓子を作るのが好き。中でも濃厚なガトーショコラが得意で、今度作ってくれると言ってもらいました。


PDエアロスペース株式会社
https://pdas.co.jp/

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