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VTuberの提訴に対して色々と。

私の身近な友人が、メタバース業界に入ったのでバーチャルアバターに関する法律に注目していた。
バーチャルに対する人格や表現に対しての誹謗中傷は、製作者に対してその救済があるべきでないか、ということを思っていた。

東京地裁/大阪地裁の判断を支持する

「表現に対する誹謗中傷」でもあった

 最近、また新たな判決の一例が報道された。
 アバターを用いた表現行為をしていることに対して、アバターに対する侮辱が実質的にアバターで活動している本人へ向けられていると判断して、名誉感情侵害をうけていることを判断し提訴したVTuber管理者の提訴を認めたというものだった。
 提訴に付随して、プロバイダー側に情報開示請求を行うこともできたとも報じられている。

 この判決は、様々な表現を行う表現者に対して、「表現に対する侮辱」であることを判断して、表現者に対してその表現を保証するという契機ができたともいえるので、VTuberで活動している人の人格や表現を保証するということにつながる賢明な地裁の判断だと思い、地裁へ大きい賛同と支持の念を伝える。

この問題でさらに浮かんだ問題「シェイミング」と防犯

「シェイミング」とは、ある人に対して「恥じらい」によりネガティブな感情や変えられない属性などに対して自分のアイデンティティに罪の意識を植え付けさせるなどして、人格否定につながるようなハラスメントの一形態である。
 あらゆる表現や人格に対する誹謗中傷の形態がまさに「シェイミング」であるため、今回のVtuberに対する名誉の毀損とつながる問題でもあるし、現実の人間にも向けられる中傷の刃でもあったりする。

1.ボディシェイミング

 人の外見や体つきに対して、批判したり馬鹿にしたりする行為が「ボディシェイミング」。自分が相手の外見に対して意見を言っただけでも受け取り側に不本意な思いをさせれば、屈辱的な気持ちをさせるだろうし、そうなってしまえばボディシェイミングという過ちを認めなければいけない。
よく、この標的にされるのは骨格や顔かたちに対するものだったり、身体の膨らみ方に対するものに対してというのを耳にする。
 最近、自分の身体をポジティヴに捉えようとするムーブメントとしてボディポジティヴという運動があり、「美しい」という表現の範囲を従来の「美しさ」の範囲から更に広げるというムーブメントで、さらに表現の多様性を狙った好ましいムーブメントが見られている。このムーブメントは、受け取り側に対してコンプレックスを刺激せずなおかつその身体的な負のイメージを罵る被害を少なくする防犯にもなっている。

2.スラットシェイミング

 「スラット」は、辞書によると「だらしない/下流だ 、またはそういう人」という意味の英語で「女性(らしさ)に対する蔑視」に使われた言葉、「スラット」な人による「シェイミング」ではなく、「スラット」と扱って「シェイミング」するという意味である。
 ボディシェイミングと重複するものもあるが、ここでは性的な因縁をつけて非難したり相手に「自分にとっての純潔」を無理強いさせるような行為がそれにあたる。
 身体的特徴と結びつけられるのでは筋肉・胸・腰・お尻などが標的にされやすく、服飾やファッションに対してもよくその標的にされやすい雰囲気がある。しかも、前述の説明の通りもともと「スラット」という言葉が「女性」を標的にした蔑視語であるためか被害を受ける対象が身体の性別による大きな差がある問題もある。
 実在の人物がこの被害に会うどころでなく、絵や小説・ドラマに対してもスラットシェイミングがあり、それらの表現者に対し表現に対する誹謗中傷ともいえるような事案も度々発生している。
 スラットシェイミングから身を守るために、性に対して前向きに考える運動も始まっていてそれと同時に表現の多様性を見出し、あらゆる広汎的な表現を「許そう」というムーブメントも起こりつつある。

 VTuberのみならず、いろんなところで自分から表現して発信することは、ネット社会が進んでいくたびに表現や人格の多様性を感じて、なおかつ見えなかったマイノリティを見える部分にすることができるようになった。
 それに対して「表現や人格を許せない」というような言葉の刃が飛ぶようなことも残念ながらあるのが現状だし、今回のVtuberが起こした訴訟は自己表現や人格に対する憎悪を戒めたひとつのきっかけを作ったことでもある。
 表現や人格でもし、存在が許さないような気持ちになっても直接その憎悪の言葉をしつこく発信したり、罵ったりすることを控える義務があると感じさせられた。ネガティブな感情を打ち込むよりも、ポジティヴなことを発信していこう。これだけでも防犯になるんだ。

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