仕事は丸投げしてくれた方が良い

取引先の男の人の手が綺麗だった。
釘付けになっていたら、その手はタイピングを始めた。
パチパチと上手だった。
小指の使い方がクセになったよ。
見惚れた。
好きな人の手がこんなのだったら、ずっと手を絡めていたいし、頭を撫でてほしい。
なんてことを、まぁ、、ソフトウェア改良の打ち合わせの時にずっと考えていた。

私はソフトウェア改良チームで1番の下っ端だから。
責任なんてこれっぽっちもない。
2週間ほど前から話についていけてない。
あんまり上司が内容を共有してくれていない事にも原因はあるんだけどね。
私が意見しなくとも、話は進んでいく。
わからないところを調べる気力もないや。
作業の効率を上げるためのソフトウェアの改良なんてどうでもよくなってきた。
自分が責任者でない時のやる気のなさは酷いもんだ。
どこかで誰かがやってくれるという安心感。

ともかく、責任がないから打ち合わせ中に、その目の前の手に興味が湧くんだ。
触りたい衝動に駆られ、見ている事がバレないよう、違う所に目をやってみたりさ。
私はわかりやすく目が泳いでいたんだろうか。

「え〜どうですかねぇ〜?どう思う?」
私の顔を見て上司が質問してきた。

あ、やべ、話、全然聞いてなかったや。

その時になって初めてその手に夢中になっていた事に気がついた。

それっぽいこと言ってみたけど、
その後の話を聞いてる限り、トンチンカンな事を言ってしまったらしい。

ある程度、仕事は丸投げしてくれた方が私には合っているヨ。
このnoteを上司が読んでいたら、コレからはそんな感じでよろしくお願いします。
あと、手が綺麗な取引先の方は、私の会社メールアドレス宛にタイピングの動画を送ってください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?