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凡庸雑記「鹿児島旅情」
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撮った写真や、思い出を書いてみる。この間、鹿児島までお仕事で行ってきた。が、何をとち狂ったのか(いつもとち狂っているが)熊本空港に降りてしまった。
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鹿児島なのに熊本空港までのチケットを買ってしまったのだ。考えとは裏腹に、意識が熊本に吸い寄せられていたのか。愚かだ。つくづくそう思う。どうしようもなく、空港からバスで久しぶりの熊本駅。そして、新幹線に乗って、本来の目的地、鹿児島中央駅へ。熊本も味わえたのだから2度美味しい。と、思わなきゃやっておれない。
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残念なのが、そのせいで鹿児島での滞在時間が激減し、楽しみにしていた鹿児島の街並みを、大して撮ることができなかった。再び来ることもないだろうに、心惜しい。
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とにかく土地勘が全くないので、適当に駅の周りをふらつき、撮り歩いた。時間がたっぷりあれば、足を延ばして、目ぼしい観光スポット行けたのにと、歯がゆい思いをしつつ、1時間ほどの時間、無心にシャッターを押す。
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今回、それなりに期待と、気合を入れて来たので、本当に久しぶりにS LineのNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを着けてきた。腐っても鯛。じゃないが、キットレンズなのにキレのある良い写り、存分に鹿児島を写したおすつもりだった。
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それなのに、超絶余裕で訪れる予定が、何をとち狂ったか熊本に降りてしまったので、腰を据えて撮る時間が消滅してしまった。もう、泣くしかない。
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諦めきれずに、限られた時間で歩き、かろうじて望めた桜島はビルの間に見え隠れ。情けないったらありゃしない。
こんな感じで、どこでもあるような、市井の風景を、線路の高架や川にかかる橋、くたびれた路地の隙間、生活が垣間見える店々の装飾などなどを、写真で収める。別に鹿児島じゃないといけないものではない。
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良くも悪くも、僕はこんな薬にも毒にもならんもんを撮っているのが、一番身の丈に合っているのかも知れない。
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そうだ、鹿児島に来た目的は、仕事をするためだった。すっかり忘れてはいないが、気分は写真旅。本末転倒甚だしい。
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さて、本業で今回、車を運転し帰ることになった。流石に、九州の鹿児島から、九州を走り抜け、本州を駆けて関東までは辛い。したがって、フェリーで帰ることになった。
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フェリーでの移動は、長時間になる。つまりは暇になる。電話もメールも繋がらない。久しぶりにデジタルデトックスとして、延々寝て過ごすのも悪くない。船旅を写真に収めるのが写真愛好家としては、順当な対応かもしれないが、どうにも能動的な気力が消耗している。それに、延々と同じ風景が続く大海原を撮っても、とってもつまらぬ。船の旅の風景を撮影するという、風流は早々に捨ててしまった。
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そこで、当たり前の如く、自堕落に時間を過ごす術として、延々と動画配信ジャンキーになる。
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iPhoneとMacにNetflixとAmazonブライムビデオの映画とアニメ、ドラマをダウンロード。準備万端。20時間以上の船の旅。どこからでもかかってこい!ってやつ。
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船は新門司港から出港し、横須賀へ到着する「東京九州フェリー」(着くのは横須賀なんだけど?)船内の大きさは、小さくもなく、大きくもなく、超豪華でもなく、貧相でもなく。いい塩梅。
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過ごす場所は、ツーリストA。カプセルホテルのようにベッドだけがある。カーテンを閉めればそれなりに個室気分。嬉しいことに、上も前も人がいなかったので、人の気配に乱されず、存分に船旅を楽しめた。
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個室もあるが、それは結構値がはるので、さすが仕事では使えなかった。個室ならば、もっと快適だっただろう。当たり前だけど。
貴重品は、ロッカーに預けた。このロッカー100円が必要。ロックを掛けるときに、入れる必要がある。ただ、開けると戻ってくるので、実質は無料で使える。だけど、100円玉が無いと使えないので、気をつけないと。ちなみに、風呂のロッカーも同じ。僕は、いざ風呂に入ろうとロッカーに衣服を入れて、鍵を閉めようとしたときに気がつき、慌てて、財布を取りに帰ってしまった。
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食事は、船内のレストランがあるから、基本的には心配なし。お値段も1,000円強がほとんどで、牛丼屋よりは高いが、法外な高級レストランよりは、手頃。普通のお客ならば、旅の土産として何一つ躊躇することない。はず。
でも、お仕事中で、貧相な僕は、事前に食事と飲み物を買い込んでいたので、レストランを使わず済ませてしまった。ちなみに、自販機でカップラーメンやパン、お菓子を売っている。給湯器もあり、買ったカップラーメンも、問題なく食せる。
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大浴場には、露天風呂やサウナも完備。少し肌寒い風に吹かれながらの露天風呂は至福の時。ぼんやりと海を見ながら、長い間、無意な時間を過ごす。結構、風流じゃないだろうか。
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船酔いは未だかつて悩まされたことがないので、メールもネットもない中、いつもはひっきりなしに送られてくるそれらを気にせず、ゆったりと過ごすことができた。たまには、こんなご褒美がないと、仕事も人生もつまらない。
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