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若気の至りとエッセイと
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ある雑誌を読んでいたら、エッセイのことを書いたエッセイがあった。いったいなんの雑誌だったのか、すっかり頭の中から消えてしまったのだが、その内容はうっすらと記憶に残っている。
確か……..。なっだったけ、そう、「エッセイは若い人には書けないだろう、年を重ねた人間に残された文学」と、書いていた。
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とりあえずエッセイは、年を重ねた人間が書いた方がコクがあるということだ。
なんだか、気分的に楽しくなった。僕もまだまだ創作者として名をあげるチャンスがあるんじゃぁないだろうかと、勝手にほくそ笑んだ。
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それに、もっと嬉しかったのは、エッセイの本番は五十半ばからとのこと。いよいよ、エッセイ作家として、日の目を見る時が訪れた!と、心の中で飛び上がって、ベートベンの歓喜の歌をがなりあげる。
前に、エッセイが好きだなんだということを書いた。
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人柄や経験を適当な具合でつまむことができるエッセイは、読んでいて胃もたれしない。何よりも、多少のがっかりも消化することができる。
何日もかかる小説を読んで、最後の最後でがっかりと肩を落としてしまった日には、僕の人生を返してと、デモをしたくなる。
文学作品をこんな思いで接してはいけないとは思っているが。
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エッセイを読むのも好きだが、こうしてエッセイを書くのも好きだ。(これがエッセイ?とのご指摘は別として)
ひらめきや、喜びや、もどかしさや、憤慨など、自分の思いの丈を、手っ取り早く自分の中で練り合わせ、形を造り、Macで火入れし固めて、世の中に陳列することができる。
小説だとこうはいかない。何日も、何ヶ月も、もしかしたら何年も、考えを積み上げ、結果が見えない行末を案じながら、ただ、ひたすらに進まねばならない。
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こんな、勇気も忍耐も、僕にはありゃしない。
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そんなんで、書きたいことは空中に真夏の藪の蚊のように漂っているが、藪蚊の元を絶つ造成工事をする力量も資産もないので、手っ取り早く殺虫剤で身の回りを駆除しているように、パッパと日々エッセイ(エッセイがどうかは別として)を書いている。
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あれ、こんなことを書くと、エッセイが手っ取り早い自己満足の術みたいだ。これでは、本気でエッセイを書いて、世の中を変えるぐらいの意気込みでいる作家たちに、とんでもなく失礼なことに違いない。
これではいくら年を取っても、良きエッセイなんぞ書けやしない。まるで、若気の至りの様な考えだ。よく家人からお頭が小学生レベルと言われるが、まずは年相応のお頭にならなくてはならないのか。哀れだ。
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そのために、いったいどうしたらいいのやら。途方にくれて終わる今日の僕のエッセイ(もどき?)だった。
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