ひろジーサン

神戸を拠点に、ときどき信州、たまにイタリア。    アートのある暮らしを考える お気楽…

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神戸を拠点に、ときどき信州、たまにイタリア。    アートのある暮らしを考える お気楽アートサポーターです。 アートな話題にプラスして、サッカーと 料理を愛するジーサンの日常をお送りします。 http://www.paxrex.jp/

最近の記事

明日香村と王子動物園

耳成山、畝傍山、天香久山の大和三山を眺める甘樫丘(あまかしのおか)は飛鳥の中心にある標高148mの緩やかな丘です。蘇我蝦夷と入鹿親子が築いた邸宅(宮殿?)があったところで、彼らが絶頂を極め、滅亡にむかう古代史の舞台。激しい権力闘争の場、明日香村はのどかな田園地帯です。 甘樫丘は思っていたより、細長く広い。万葉集、古事記、日本書紀にうたわれた40種の万葉植物が植えられている全長2.3kmの植物園路を散策。そして石舞台古墳へ向かう。ここは蘇我馬子の墓ではないか、と考えられている

    • 横尾忠則と言えば、Y字路 です

      2000年に故郷の西脇市から始まった、Y字路シリーズ。自分の過去に深く沈溺する内省的な表現から、場所を変え、表現手法を変え、変幻自在に多彩なバリエーションを生み出しながら、ライフワークとなっていく。 NYのワールドトレードセンターにジェット機が突入した日、TVニュースで大きな衝撃を受けた横尾。翌朝アトリエに入ると、書きかけの作品を見たらビルの瓦礫に見えたという。それ以上は描けなくなって、制作途中でありながらそこで完成とした。それが『暗夜光路 2001年9月11日』です。

      • Y字路、始まりは故郷の西脇

        すっかり横尾忠則の代表作になったY字路シリーズ。始まりは2000年、故郷の西脇市。思い出の場所をレンズ付きフィルムカメラ「写ルンです」でストロボ撮影し、それを現像したら、思いがけない画像が立ち現れたという。いま横尾忠則現代美術館で『横尾忠則 ワ―イ!★Y字路』が開催中です。 かつての通学路の見慣れた景色が、まるで異質な風景へと様変わりしていた。ストロボの光が届く中央の建物は白く現れ、左右に分かれた道は闇へと溶け込んでいく。この写真からインスピレーションを得た横尾さんは、市内

        • 奈良美智の立体作品を2点

          「粘土を握ってグニュグニュしていたら、おもしろいカタチが出来てきた」と奈良美智さんが語っていました。アルミニウムやブロンズを素材に、こねた粘土をどんと拡大して、白くウレタン塗装を施した彫刻作品。ひとつ目は角川武蔵野ミュージアムの『Peace Head』。高さ約2.5mです。 2Fの角カフェに面して広がる水盤のなかには、頭だけの少女が穏やかな表情で佇んでいます。裏側から見ると、作品名が示すように「PEACE 」の文字とピースマークが穴で刻まれている。ここには挑戦的な眼をして社

        明日香村と王子動物園

          武蔵野でダリのアタマに潜り込む

          『サルバドール・ダリ 永遠の謎 Endless Enigma』という没入アート体験。角川武蔵野ミュージアムの1階グランドギャラリーで、ピンク・フロイドの楽曲が鳴り響く中、ダリのシュールで幻想的な世界に全身を委ねました。イマジネーションを刺激され、独特な世界に没入し妄想する幸せ。 32台のプロジェクターが周りの壁や床にシームレスにつなぎ合わせたイメージを映し出す。ぐにゃりと歪んだ時計や細長い脚の象。聖人や虎や女神の像。青空に浮かぶ深紅のバラ。テレビジョンに映し出された目。脈絡

          武蔵野でダリのアタマに潜り込む

          角川武蔵野ミュージアムを遊ぶ

          JR東所沢駅から歩いて10分ほど。異様な岩塊が見えてくる。隈研吾さんがデザインした角川武蔵野ミュージアムです。建築家が言うように、足元深くにある地層から冷え固まった古代のマグマが地表にせりあがったイメージ。約2万枚の石板で覆われた力強い建造物は、直角の面が一つもない。 中身はというと、知的好奇心を満たす楽しい仕掛けが散りばめられた複合文化施設。図書館・美術館・博物館などを「まぜまぜ」にして、角川が新しく提案するテーマパークです。本棚劇場、EJアニメミュージアム、エディットア

          角川武蔵野ミュージアムを遊ぶ

          麻布台でオラファー・エリアソンを観る

          麻布台ヒルズギャラリー開館記念は『オラファー・エリアソン展』。サブタイトルに「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」とありますが、正直よくわからん。でもエリアソンの作品は好きで展覧会があるたびに足を運んでいます。話題のスポット見物も兼ねて『テート美術館展』以来のエリアソン。 ギャラリーに入る前にいちばん高層の森JPタワーへ。玄関の吹き抜け空間に吊り下げられた4点の彫刻作品が、まさに『相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』。再生金属でできた11面体のピースが繋がりうねって、より複

          麻布台でオラファー・エリアソンを観る

          代々木八幡宮の近くでトイレ巡り

          また映画『パーフェクト・デイズ』の舞台となった渋谷区のトイレプロジェクトから。役所広司さんが毎日昼食を食べていたのが代々木八幡宮の境内。ご神木からの木漏れ日を見上げ、写真を撮るルーティーンが印象的でした。 東京メトロ千代田線の「代々木公園」駅から坂茂さんの2つの公衆トイレを見ていく。オレンジ、ピンク、薄紫の代々木深町小公園トイレ。そして水色、黄緑、青緑の、はるのおがわコミュニティパークトイレ。公衆トイレのイメージを一新する、お菓子や化粧品のような美しい色ガラスの壁面です。

          代々木八幡宮の近くでトイレ巡り

          恵比寿駅の近場でトイレ巡り

          JR恵比寿駅西口に佐藤可士和さんデザインの公衆トイレが出来ている。交番の隣に現れた白い箱。THE TOKYO TOILETのひとつです。役所広司さんが主演したヴィム・ヴェンダース監督『パーフェクト・デイズ』の舞台になった渋谷区内17ヵ所のトイレプロジェクトから、いくつかをご紹介します。 30年にわたるヒルサイドテラスの建築と、代官山の街づくりで有名な槇文彦さんがデザインしたのが、恵比寿東公園トイレです。赤いタコ形の滑り台がある通称タコ公園に生まれた、明るく軽やかな通称イカト

          恵比寿駅の近場でトイレ巡り

          ある清掃員の美しき日々

          役所広司さんがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞して話題になっている作品を観ました。ヴィム・ヴェンダース監督が渋谷区の公衆トイレの清掃員の日常を、ドキュメンタリーのように撮った『PERFECT DAYS』。寡黙な男の日々がとても豊かで美しく、感動しました。これは名作です。 朝起きて、空を見上げ、缶コーヒーを買って、渋谷の公衆トイレに向かう。車内で聞くのはカセットテープでアニマルズ「朝日のあたる家」。仕事場に着くと、黙々と手際よくトイレ内を掃除する。一ヵ所が終わるとまた次へ

          ある清掃員の美しき日々

          テート美術館展、「光」の最先端は?

          ターナーから印象派、カンディンスキーやマーク・ロスコなどの絵画作品を経て、『テート美術館展 光』はキャンバスを離れて次の展開へ。「光」そのものを直接扱う作品です。直島の南寺や地中美術館でおなじみのジェームズ・タレル。初期の代表作がLEDライトを使った「レイマー、ブルー」。 次にアート界の最先端を走るオラファー・エリアソン作品を。サイエンスとアートの高度な融合から生まれた「星くずの素粒子」。天井から吊り下げられた原子模型のような球体が回転。透過光と反射光、そして影が展示室に映

          テート美術館展、「光」の最先端は?

          2024年の初めに

          チームが発足し、さぁ初練習という日の早朝 阪神淡路大震災が街を襲いました。 スポンサーの撤退、2部降格、チーム消滅の危機 さまざまな苦難を乗り越え、29年目にして Jリーグ初優勝。 ヴィッセル神戸の快挙は神戸復活の象徴だ と感慨を覚えました。 共に傷つき 共に立ち上がった 街と人とチーム。 新たな時代へ向かって、共に船出しよう! そんな気持ち改まる新年です。

          2024年の初めに