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動画の演出って何? 料理に例えてみました

動画スクールPAVIOSの講師をしている、大林です。
現役テレビディレクターとして、最近ではNHKの医療番組なども作っています。

ここでは、動画制作に関する様々な話題を取り上げていますが、
今回は、『動画の演出』についてお話ししたいと思います。

私が、長らく映像ディレクターとして演出のお仕事をしてきたので、
スクールでは、『動画の演出』を軸に教えていきます。

ただ、『動画の演出』とは…なんて話をつらつら書いたところで、
なかなかわかりにくいと思います。
そこで、いろいろ考えて、料理に例えて話してみようと思います。
私は料理が好きですが、常々、料理と動画制作の共通点を感じているので、
話しやすいと思ったからです。

例えば、食卓に並ぶ料理、ハンバーグや唐揚げは、動画制作でいうところの作品です。

料理の調理過程を追って、動画制作となぞっていきます。

①メニューを決める→『企画』

まず、料理をする上で最初にする工程は、メニュー決めです。
例えば「明日はカレーにしよう」と決めたとします。その決定は、自分ですることもあるかもしれませんし、子どもが「カレーが食べたい」と言うかもせん。
 演出の仕事として大切なのは、「カレーに決める」ことよりも、むしろ、「どんなカレーにすればよいか」を考えることだと私は思います。ビーフカレーか、シーフードか、それとも、キーマカレーか…その時に、様々なことを考えます。昨日のご飯のメニューや、給食のメニュー、家族の好き嫌いなどなどです。これは、常に視聴者を意識することに似ています。

②レシピを作る→『台本作成』

メニューを決めた後に、レシピを作る…なんてことは、普段しないかもしれませんが…
料理の工程を考えれば、次にくるのはレシピ作りでしょう。
レシピを作れば、その料理にどんな食材がどの程度必要か分かります。
ここで料理のアウトラインを掴んでおくのは大切な作業です。
動画制作においても同じ事が言えます。
企画の後、企画を具現化する台本を作成します。
台本作成が演出の範疇か議論が分かれるところです。
大きな番組では放送作家が入ることも多いですが、少なくともNHKの場合、作家が入ったとしても、
元の原稿はディレクターが作ります。

作家は、取材をしていないのでゼロから原稿を書くことは出来ません。
(バラエティなどは別かも知れませんが)
そう考えると、私の認識では台本作成は演出の仕事と考えています。

③買い物→『撮影』

買い物が撮影にあたるものでしょうか。それとも、狩猟や農作業、漁業でしょうか。
いずれにしても、素材を得る行為が、動画制作における『撮影』となります。
事前にレシピがないと、やみくもに食材を買うなどロスが多いのも、撮影に似ています。
より新鮮でおいしい食材を仕入れることが、料理にとって大切なように、
動画制作においても、よりよい素材が撮影出来るように様々な創意工夫を懲らします。
カメラの角度(アングル)、台数、動き(カメラワーク)、サイズなど…これらをどのようにするか決めるのが『演出』です。

④調理→『編集』

 そうなると、調理にあたるのが『動画編集』になるでしょう。
素材の味を活かして、腕によりをかけて料理を作っていく。
よりおいしくなるためには、あるいは、よりおいしく見えるため効果的に盛り付けていきます。
同様に、動画編集の作業は、演出そのものです。
撮影した素材の中から厳選して選び、きちんときりとりつなぎ合わせる。
料理でいう盛り付けは、テロップやCG、BGMや効果音にあたるかもしれません。

さて、私が料理になぞって動画制作を説明して、
言いたかったことは、一つです。

調理をするだけが料理人ではないように、
動画編集をすることが動画制作ではないということです。

メニュー、レシピ作りから、仕入れも全て正しい選択をしていかなければ、
おいしい料理はできません。

それと同じように、動画の演出は全ての工程で総合的に携わり、目指すべき正しい方向に導く仕事です。
動画を制作するうえで必ず必要なスキルなのですが、教わるところがほとんどありません。

だから、私は動画の演出を教える場所を作りたかったのです。

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