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商品の値段は原価と単純には比例しない

こんにちは!
パティシエの鈴木です。

オンラインでケーキ屋を運営しています。

チーズケーキ専門店 パティスリーベル

ガトーオペラ専門店 クインテットドペラ

毎日忙しく過ぎてしまってなかなか更新できてないですが、先日友人からこのnoteを読んだと連絡があってとても嬉しかったです。

頻繁にではないですが更新していきますのでぜひフォローいただけると嬉しいです!

先日ガトーオペラ専門店 クインテットドペラを開店しまして、今先行販売分の商品を製作している真っ只中です。

一般販売はまだ先になりそうですが、5種のアソートセットで税込み3,800円で販売しようと考えています。

製品の価格ですが、単純に原価に何%乗せてという設定では考えていません。

ホテル務めの時は目標原価というのが決められていて、全体で26%にしてほしい、28%にしてほしいとファイナンスからリクエストがあります。

「全体で」なので、アフタヌーンティーやグランドメニューのデザート、宴会、ウエディングのスイーツ、全体をならして目標原価に近づけます。

なので例えばコース料理のデザート原価が少し高くても、他で調整できれば全体の目標原価は達成できます。

ただ、宴会やウエディングは月に何件と確定している訳ではないので、なるべく全てのデザートが目標原価に近くなるようレシピ開発、仕入れ、製造を行います。

さて、現在はというとオーナーシェフになって自分で経営してますので原価も値付けも自分のサジ加減ひとつでどうにでもなります。

それでも運営していくには指標が必要ですし、長く続けられなければ意味がないので、よくよく考えて値付けを行いました。

製品価格の根拠を書き出してみます。

・原価

・梱包材

・同梱物、チラシ

・ 1個あたりの製造コスト(人件費)

・ 製品ロス

こんなところでしょうか。

ガトーオペラの製品ロスは、実は結構あります。

キレイな長方形に仕上げますので、カットした半端なところは全部ロスになります。

今のところガトーオペラに関しては、製造の数が限られているので、ロスになった分はスタッフで試食したり、近所に配ったりしてますが、
何千という数を製造するとなると、この製品ロスがとんでもない量になって捨てることになるんだと思うと悲しい気持ちになりますね。

そうならないような販売方法も検討したいと思ってます。

話しがそれてしまいましたが、
製品ロスも加味した販売価格にしないといけないということですね。

仕入れコストと人件費はかかってますが、製品にはできない部分が一定量出ることも考えて、価格に反映させないといけないです。

また人件費の計算については、自分の時給も入れた上で考えています。

チーズケーキと比べてガトーオペラは人件費が3倍以上かかります。

製造工程がとにかく多く、製作に時間がかかるのもそうですが、ベテランで技術があるパティシエが必要なため人件費も高くつきます。

そうした諸々の費用を考えて、ざっくり販売価格を決めて製品一つあたりの粗利を出します。

その粗利に対して、今度は借りている工房のレンタル費、事務所の賃料、光熱費、宣伝広告費などを踏まえ、何個売れたら儲けが出るのかを計算します。

幸い自分はガトーオペラ専門店とチーズケーキ専門店の2つのショップ、さらにコンサルティング業務の売上げがありますので、固定費の部分についてはリスク分散ができます。

最後に競合他社の製品価格と比較検討し、このくらいの価格なら選ばれて購入いただけるだろうというところで販売価格を決めました。

ガトーオペラについては3,800円です。

原価もそこそこかかっていますが、製品価格と原価は単純には比例していません。

チーズケーキが2,300円から販売してるので、比べると高く感じますが、優れた技術を持つパティシエが時間をかけて製作していること、製品ロスも含めて見た目にも美しい製品であること、大変な分、ガトーオペラの専門店は希少であることなどを考えると、自分は決して高くはないと感じています。

あとは、市場がどう反応してくれるか、というところでしょうか。

多くの人にこの価格を払う価値があると感じてもらえたら嬉しいです!

一般販売まではしばらくお待ちください。


2021年10月14日
パティシエ 鈴木 崇志

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