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新型コロナ不況に小売のマーケターはどう向き合うか Vol.4 ウィゴー 園田さま

Pathee(パシー)は「テクノロジーで人々と小売コミュニティを繋げることで社会にインパクトを与える」をVisionに事業をしています。
緊急事態宣言が解除され、ニューノーマルになっていく中、小売のマーケターからいまの状況をどう捉えて、対応していけばいいのかというご質問をいただくことが増えています。最前線で活躍しているマーケターにPatheeのマーケティングマネージャーの原嶋がインタビューをしてこの課題にどう向き合えばいいかをお聞きしていきます。
第4回は株式会社ウィゴー/WEGO CO.,LTD.(以下 WEGO)代表取締役社長 園田さんにインタビューさせていただきました。


リモートワークを通して社内のデジタルシフトが加速

原嶋:
園田さんは販売員から店長、エリアマネージャー、MD、販促を経験して現在代表になられていますが、さまざまな観点から見て今回のコロナの影響で変化を感じて、新しく取り組みをしていったことはありますか。

園田:
アルバイトから入って、生産以外はだいたい経験しましたね。
そうですね、実はコロナをきっかけに新しく特別に始めたことはないんですよ。ECも2006年前後には作っていましたし、全店ブログを利用して情報発信もしっかりやってきました。あるとしたらリモートワークですかね。

原嶋:
ECや販促部の方たちですか。

園田:
いえ、90%以上がリモートで仕事をしていました。管理部門の一部とECのささげ *をするチームがスタジオにいくなど必要最低限のみにして、あとはリモートにしました。

* ささげ業務とは、「撮影()」「採寸()」「原稿()作成」の頭文字をとった略称で、ECサイトで販売する商品の情報制作業務です。

原嶋:
店舗側の人はリモートでどのようなことをされたのですか。

園田:
私からは毎週店舗だけでなく300人を超えるメンバーにZoomで政府から今週こんな発表がありそうだから、こうしていこうと思うとか会社の状況をしんどい部分も含めて発信して、その対応をお願いしていました。
あとは、外部講師の方を招いて様々な社員研修もしていました。

また今後取り組む課題ごとにLINEグループを作ってメッセージやオンラインミーティングなどでディスカッションをしてもらいました。Zoomでのコミュニケーションは今まで以上に会話が増えていましたね。

原嶋:
課題の具体例をお聞きしても大丈夫ですか。

園田:
そうですね、例えばエリアマネージャーには今後の実店舗の意味は何かという課題を考えてもらいました。今までの会社が言うオムニチャネルではWEGOの評価はこれ以上あがらない。もともと店頭のイベントをやったりいろんなことをやってきていたので、普通の小売とは違うやり方をしていたとは思っています。でも今はさらに物を売るだけではない。だからそれをどうしたら良いのかを考えてもらったりしてましたね。最後はレポートにして提出してもらいました。いろんなアイディアがあがってきて面白かったですね。

原嶋:
そのレポートはぜひ読んでみたいですね。笑
普段時間をかけられないことに取り組む時間に使われていたんですね。

園田:
そうですね。
ビジネストレンド的なオムニチャネルとかOMOとかは、横文字にピンと来ていなかったメンバーもいたと思うんですよ。私も一応言葉としては使った方がスムーズなので使いますし、知らない人がいたらまずいなと思うので使っていってますけれども、これを機に何かやりやすくなりましたね、仕事が。みんな必要性を感じているので。

原嶋:
全メンバーで共通言語としてオムニチャネルやOMOとかを考えられているとこれからの事業推進は加速していきそうですね。

園田:
10年くらいかけて変わっていくことが、3年から5年でできるぐらいの世の中にワープしちゃったので、それに対応できるように、その流れに乗って加速していきたいと思いますね。

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時勢を捉えたお客さまとのコミュニケーション設計

原嶋:
先ほどコロナに対しての施策はリモートワークのみということですが、もともとインフルエンサー活用やVtuberを活用したバーチャルマーケットなど、いろいろな取り組みをされてきているなと感じていたのですが。

園田:
とにかく早くやるというだけです、私は常にそれなんです。時勢を読みながらやるべきことを早くやる。それが新しいことをやっているように感じられているところなんだと思います。
アパレルが好きで仕事をやってきているので、客観的にみれていないかもしれませんけど。

原嶋:
アパレルのトレンドはSNSなどのプラットフォームが変わるよりも早いですから、当たり前になっているのかもしれませんね。
WEGOは各店舗スタッフさんが情報をしっかり発信しているなという印象ですが、どのように会社にその文化を根付かせたんでしょうか。

園田:
基本は定期的にお願いし続けて、自主性に任せるしかないと思います。
ブログがトレンドの時はブログで、そのときのトレンドに合わせて Twitter、Instagram、YouTubeなど 変化に合わせて対応してきたことと、積み重ねでお願いし続けたことだと思いますね。

あとは効果を可視化していくこともやっています。
半年に1回ある全国店長会議とかで表彰をしたりして評価をしていくこともあるとは思ってます。

原嶋:
会社として発信の文化を長期的に築いたことで店舗スタッフのインフルエンサー化ができてきたんですね。

園田:
そうですね、今だとWEGO に入社するとTwitter のフォロワー数がすごく伸びるというのがあって、インフルエンサーから働きたいといってくるときもあるぐらいです。WEGO出身のインフルエンサーは結構いますよ。

原嶋:
フォロワーが増えるから入ってくるっていう世界観を作れるって理想的な形ですね。
ECの方もはやくから取り組まれていると冒頭ありましたが、最近だとバーチャルマーケットをやられていたかと思います、外出自粛の中だといつも以上にもりあがったとかはありましたか。

園田:
そうですね、バーチャルマーケットはあの世界で慣れてる人たちにコミュニティを形成してもらうことがメインなんです。

原嶋:
販売促進ではなくてコミュニティを作っていくことが目的なんですね。


これからは店舗もECも人気(ひとけ)を感じてもらうことが必要


原嶋:

コロナの前後で買い物体験が変っていくと言われていますが、小売業界としてはその変化の中でどのように対応していくと良いと考えてますか。

園田:
店舗もそうですけれども EC も商品も「人気(ひとけ)の感じられる」が大事になると思います。正確にいうとよりその傾向が強くなるだろうという事です。だから、商品の機能面、何がいくらだから買うというのも当然あると思うんですけれども、人気(ひとけ)が大事なのかなと思います。

原嶋:
人気(ひとけ)というのは例えばECならその商品のストーリーなど背景まで見せる形ですか。

園田:
そうですね、売り方とか伝え方とか見せ方とかに人気(ひとけ)を感じさせるようにしていくですかね。WEGOは昔からずっとその感覚を地で行ってきているのですが。
ECサイトはストーリーもそうですが、ガチャガチャしていて面白い作りも意識していてそこも人気(ひとけ)を出していると思います。

原嶋:
リアル店舗のほうは人気(ひとけ)はもともとあるように思うのですが、店舗においてはよく言われている体験型にするというイメージでしょうか。

園田:
イベントとかはよくやっていて、そこは一つだと思います。
最近新店がオープンしたのですが、その時に思ったのはなんとなくWEGOの店舗は結構うるさい感じのお店で…ECと同じでガチャガチャしていて、明るい感じで、あえてそういう雰囲気のお店作りをしています、それも人気(ひとけ)だと思っています。
もちろん他社には落ち着いたお店作りをしているところもあり、それもブランディングで人気(ひとけ)の出し方の違いなんだと思いますが、うちは元気な感じのお店にできているのはいいなと感じています。

原嶋:
個性がないと今後はあえていかなくていいよねとなってしまうのがウィズコロナの時代なのかもしれないですね。
そう考えると人気(ひとけ)はそのお店のブランディングそのものということですね。

今回はお忙しい中、お話しさせていただきありがとうございました!


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