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自己犠牲という誘惑

「自分が我慢すればいい」

そうやって、自らに自己犠牲を強いる人がいる。

一見、自己犠牲は人に迷惑をかけていないようだが、必ずしもそうではない。

以前、テレビの仕事で終戦番組を担当している時に、ディレクターから、

「もし、戦時中に生きていたら、特攻隊に志願していたか?」

と聞かれたことがある。

そのディレクターは、間違いなく特攻隊に志願していた、と言っていた。

その話を聞いた時、きっと自分も特攻隊に志願していただろうと感じた。


お国のため、家族のため、愛する人のため、世界の未来のため。


そう言われると、自分の命を犠牲にしてもいいかと思うことがある。

しかし、周りはそれを望んでいるだろうか。

ただの自己満足ではないか。

また、特攻される側にも生活や人生がある。

その人たちの生活や命を奪うことが本当にいいことなのだろうか。

自分には大義名分が与えられ、ヒーロー気取りでいいかもしれない。

自己正当化による自己犠牲。

自分の中にその誘惑に負けそうな自分がいることに気づく。

自己犠牲は強さなのか、弱さなのか。

日々自分に問い続け必要がある。

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