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チャンスの女神に後ろ髪はない

『ピンチはチャンス』という言葉がある。

ある日、同僚と話をしていた。
AさんとBさんの異動にまつわる話。

ある日、上司がAさんに声をかけた。
海外勤務に関する異動についての話だった。

Aさんが元々希望していた魅力的な話で、
そうそうあるチャンスではなかったが、
突然の話だったため、時期とか環境とか考えるとそう簡単に出せる答えではなく、
Aさんは「一日時間を下さい」と答えた。

その上司は待てない人で、
同じ日にBさんにも声をかけた。
Bさんは二つ返事で「行きます」と答えた。

その上司はその時点で、
海外勤務はBさんに決めた。


Aさんとは、その同僚で、
映画化されたほど有名な著書の作者だ。

Bさんとは、自分だった。

今になって明かされた真実。
自分はその事実を知らなかった。


同僚は言った。
「あの時、お前はラッキーだった。チャンスの女神に後ろ髪はない。女神の前髪を掴め。」と。

続けて
「今も、だ。今このピンチな状況を、チャンスに変えるんだ。」と言った。

Aさん(同僚)はその後、大ヒットとなる著書を出版した。あの時海外へ行っていたら、書いていなかったであろう作品だったという。

黒縁のメガネを一度外し、Aさん(同僚)は
その汚れを拭きながらこう言った。
「あの時海外勤務のチャンスを逃したことは自分としてはピンチだった。でも、次にやってきた女神の前髪は、ちゃんと掴んだよ。」

チャンスの女神が前からやって来る時に、
少なくとも横を通り過ぎる時にそれを掴まなければ、過ぎ去った後に「あぁやっぱり」と思って振り返っても、女神に後ろ髪はなく、
その髪を掴むことができない。

その時その瞬間にしっかり掴まなければ、
その先の人生でそれを得ることも、
出会うことも出来ないこともある。


チャンスを確実に掴む方法、
それは「今を大切にする」ということ。

ピンチをチャンスに変える方法、
それは「自分の心次第」ということ。

過ぎ去った女神の後ろ髪ばかりを気にするのではなく、前を向いて次に備えるマインド。


チャンスとか奇跡って、意外とその辺に転がっているものなのかもしれないな。
日々、自分が気付いていないだけで。

それに気付くか気付かないか、
生かすか生かせないか、その全ては、
つまるところ、自分次第ということだ。



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