見出し画像

睡眠前のタンパク質摂取が筋肉関連の成果に及ぼす影響

▼ 文献情報 と 抄録和訳

睡眠前のタンパク質摂取が筋肉関連の成果に及ぼす影響 - システマティックレビュー

CEG Reis, LMR Loureiro, H Roschel, et al.: Effects of pre-sleep protein consumption on muscle-related outcomes - A systematic review. J Sci Med Sport. 2021;24(2):177-182. 

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 1日のタンパク質摂取のタイミングが、筋量や筋力の向上に及ぼす影響は、文献で関心を集めている。そこで、このシステマティックレビューの目的は、睡眠前のタンパク質摂取が夜間の筋タンパク質合成に及ぼす急性の影響と、筋量と筋力に及ぼす慢性の影響を評価した臨床研究を分析することである。

[方法] PRISMA声明に基づいて2020年6月までの文献検索を行い、9つの論文を解析対象とした。

[結果] 睡眠の約30分前に20~40gのカゼインを摂取すると、若年男性と高齢男性において、その後の一晩の間に全身のタンパク質合成率が刺激される(それぞれレジスタンス運動が先行する場合としない場合)。また、睡眠前のタンパク質摂取は、若年男性ではレジスタンス運動を10-12週間行った際の筋適応反応(筋繊維断面積、筋力、筋量)を増強することができるが、高齢男性ではそうではなかった。

[結論] 現在のエビデンスによると、健康な若年成人男性において、睡眠の約30分前にカゼインを20-40g摂取すると、一晩の回復期間中にタンパク質合成反応が改善され、長時間のレジスタンス運動後の筋量と筋力に良い影響を与える可能性がある。高齢者では、睡眠前のタンパク質が夜間の筋タンパク質合成量を増加させるという初期のエビデンスにもかかわらず、現在入手可能なエビデンスは限られており、骨格筋量や筋力に対する慢性的な影響を結論づけることはできない。これらの結論は、実験群間のタンパク質摂取量にばらつきがあるため、慎重に判断する必要があります。したがって、睡眠前のタンパク質を効果的な栄養介入としてさらに検討する前に、より多くのデータが必要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

「運動後にタンパク質を摂る」ことは一般的にも知られているが、「就寝前にタンパク質を摂る」ことのメリットは知らなかった。特に入院患者においては、「就寝前にタンパク質を摂る」ことの方が管理がしやすいのではないかと思った。「運動後にタンパク質を摂る」ことももちろん重要であるし、リハビリ後に摂取を促している施設も多いと思う。しかし、どの程度の運動の後に摂るのか(運動後は毎回摂るのか)などの差異によっても効果にバラツキが生じてしまうだろう。その点、「就寝前にタンパク質を摂る」は非常に分かりやすいし、実践しやすい。今回の研究が期待される。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。