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回復体験が得られる身体活動は幸福感が増す

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ロックダウン中もアクティブに-身体活動がもたらす幸福感の回復力

C Ginoux, S Isoard-Gautheur, C Teran-Escobar, et al.: Being Active during the Lockdown: The Recovery Potential of Physical Activity for Well-Being. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(4):1707.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景] 2020年春のCOVID-19ロックダウンにおける回復体験(ロックダウンからの離脱、リラックス、習得、余暇時間のコントロールなど)を通じて、身体活動と個人のウェルビーイング(欲求充足、主観的活力、ストレスなど)との間接的な関係を検討する。

[方法] 405名の参加者が、身体活動、回復体験、主観的活力、知覚されたストレス、基本的な心理的欲求の充足に関する質問を含むオンライン調査に回答した。構造方程式モデリングにより、身体活動が回復経験を予測し、それが幸福感を予測するという完全媒介モデルを検証した。

回復体験
心理的離脱:(例)現在の状況から自分を遠ざけた体験
リラックス:(例)ほぐしてリラックスできた体験
習得:(例)新しいことを学んでいるという体験
コントロール:(例)自分の予定をコントロールできているといった体験

[結果] 身体活動で感じた回復体験は、共変量をコントロールしつつ、幸福度(心理的欲求充足度、主観的活力、ストレス)と正の関係にあることがわかった。また、本研究では、ロックダウン中の身体活動と幸福度の関係に、回復体験が間接的な唯一の媒介効果を持つことが明らかになった

[結論] より多くの身体活動を行い、身体活動の結果としてより多くの回復体験をした人は、高いレベルの幸福感を報告する可能性が高いことを強調している。すなわち、COVID-19のロックダウン期間中に定期的に行われた身体活動は、回復体験を通じて幸福度を正に予測した。本研究の結果は、回復体験や幸福感が脅かされる時期に身体活動を維持または増加させることの重要性を強調するものであった。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

身体活動によって、何故幸福感が得られるか。そのメカニズムがよく分かる非常に興味深い研究だ。

この結果から、私たちはどのような身体活動を提供すれば良いか。回復体験が得られやすい身体活動を提供することができれば、幸福感の向上にも繋がるかもしれない。

では、どのような身体活動が回復体験を得られやすいのか。本研究では明らかにされていない。この情報は療法士にとって非常に有益と思われるので、既に研究がなされているか調べてみたい。例えば、エクサゲームは”習得”の回復体験が得られるため運動によって幸福感が増す、かもしれない。

身体活動、運動ってどこまでも奥が深い!そう思わせてくれる研究である。

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