見出し画像

ベストエフォート

予期せぬトラブルに見舞われたとき、ひとはどう行動するのだろう。
呆然とする、嘆く、敢然と立ち向かう…?

SNSなどを見ていると、大きな病気になって経験したことを何かに役立ててもらおうと一生懸命に発信する人が一定数いる。
私も一時期はそうしたことを考えたことがあった。ただ、その頃に知人から主治医の言葉として伝えられたのは「それを始めるなら5年経ってからにしなさい」ということだった。
5年?そんな先?今すぐ困っているひともいるのに…と思ったが、今になってやはりそれは正しかったと考える。

まずもって、自分は医療者ではない。
そして治療中もしくは集中的な治療が終わった直後である意味ハイになっている。(死んでしまうかも知れないので、何かを残したいという気持ちもある)

一度サポートを始めたら継続的な活動が必要であり、正しい情報発信をしなけれはいけない。そのアップデートをし続ける覚悟はあるか。
私が当時受けた治療も薬の投与の期間が変わったり、新しい薬が承認されたりしている。
自分の経験のみに基づいて何かを伝えるのは危険なことだ、こと医療に関しては。
副作用対策などのアドバイスは、同じ経験をした者として共有しても良いと思うけれど。

5年以上の時間が経って見渡すと、その当時の面々でいまだに発信を続けているひとはほとんどいない。みんな病を得る前の生活に戻っている。残っている人は、再発したり、最初からステージⅣでエンドレスな治療を続ける必要があるひとだ。

私はもう治療が終わったから、これで発信は終わります〜バイバイ!ではとても無責任な印象になってしまう。
そこまで考えて続ける覚悟はありますか?
それが、知人の主治医が5年くらい経って落ち着いてから…と言われたことの真意だったのだろうと今ならわかる。

そのとき出来る、すべての力を振り絞って良い結果を出そうとしてしまいがちだけど、ベストエフォートって必ずしもそういうことではないのだな…と今更ながら感じたのだった。

帰省中の友達とランチ。
彼女は私と同じ病の先輩で、病気がわかったときに惜しみなくアドバイスをくれた。病ときちんと向き合えたのは、彼女のおかげだ。
お互いに元気で日々を楽しめることを嬉しく思う。
色々あるけど、なんとか乗り越えて行こう。

日々のよしなしごと、好きな音楽のことなどを書いています。 楽しんでいただけたら、サポートしてくださると嬉しいです。