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人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」3


こんにちは、スペイン産オリーブオイルインポーターの加藤です。

今週から唐突に始めた連載。
いつか、じゃなくて、準備はできていないけど、今書き始めよう!と、半ば勢いだけでスタートした連載です。
今日、初めてこの記事にたどり着いてくださったあなたのために、前回のSERIAL STORY「GRifoll」2に書いた、一部から。

11年前から私がご紹介している、わたしの人生を変えたといっても過言ではない、エキストラバージン・オリーブオイル、その名は「グリフォイ・デクララ・エキストラバージン・オリーブオイル」。
その味わいを、そのオイルの存在を、ひと言で、いや、ひと記事で説明する力量はわたしにはまだないのです。そういうわけで連載に。ぎゅっと2時間の映画にはまとめられないけれど、ドラマなら10話あるから伝えられる、そんな話しです。

人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」2


もし、お時間があれば、こちらから読んでいただければ幸いです。

人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」1
https://note.com/pasiontomoko/n/nee039a185899

人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」2
https://note.com/pasiontomoko/n/n5a3e6b308329



それでは、人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」3、始めます。

「これはサンプルなのか?」商品サンプルと間違われた120本のカミロケ


「これはサンプル?違うなら智子は、120本で仕事になるのか?大丈夫なのか?」
最初、カミロケの注文があまりに少量だったために、グリフォイ・デクララワイナリー当主ロジェールのお父さんであり、カミロケを搾油する組合の理事をしていたジョゼップが心配している。そう、郁美さんから電話がありました。

カミロケの初オーダーは120本。サンプルではなく、販売用として初輸入する数が120本でした。こんなに少量だったのは、深い事情がありました。カミロケの前に、私が2009年から輸入していたオリーブオイルが2011年4月に突然、大手に渡ってしまったからです。


カミロケが生産されるエルモラール村で

エイプリルフールに消えたオリーブオイル。


生産者からは一切の予告もなく、1本の電話がありました。その内容は、「ラパシオンさんが輸入していたオイルをこれから輸入するので、一緒に販売してくれませんか」というもの。
日本で唯一、ラパシオンが輸入させてもらっていたオイルを他社が輸入する。そう理解するのに時間がかかりました。
その日はエイプリルフールだったので、誰かのサプライズ?と、よぎったり、信じられない事実に頭が思考停止したり。
その後、生産者に事実確認をし、他社さんが輸入するのは間違いないことがわかりました。
私は、これから追加発注というタイミングだったので、オイル自体の在庫は約100本弱。そこは、たいしたことがありません。しかし、デザイナーさんにオリジナルデザインをお願いした箔押しのギフトボックス、箔押シール、リボン、パンフレット、レシピカード、ショップカード、名刺(裏にオイルの商品名を掲載していたので)などの備品が大量にありました。商品名が入ったオリジナル備品は、これから使うことができないので、未使用のまま処分するしかありません。
多くの備品在庫の処分に加え、備品ではないものも使えなくなりました。プロのカメラマンに撮影してもらったさまざまな画像です。オイルを手にしたプロフィール写真、フードコーディネーターに料理してもらった写真。それまでのホームページや通販ページの画像は、すべて使えなくなりました。

仕入金は、ゼロ。

そういう事情から、正直なところ、新しいカミロケを仕入れる費用はありませんでした。もちろん、まだ購入したいという新しいお客さんは一人もいません。
お客さんの中で直接連絡が取れる方には、これまでのオイルを私が輸入元ではなく、今後は他社にわたる旨、これまでご愛用くださったことへの感謝の気持ちをお伝えしていきました。
お電話すると「え!どうして!」と事情を詳しく聞いてこられたり、自分のことのように怒ったり、悔しがったり、悲しんだり。最後には「次のオイルが決まったら教えて!あなたの選んだものなら、注文するから」そうおっしゃる方々ばかりだったこと。そんなことを言われるたび、私はぎゅっと受話器を握りしめます。声からバレないように。必死に我慢しても、どうしても頬に流れてくる涙を止められなかったからです。

イタリアンレストラン「アクアパッツァ」日高シェフがかけてくださった言葉。


2009年の輸入スタートから、失った2011年4月の時点でも、インポーターだけでは生計を立てられず、夜と週末にレストランでレセプションをしていました。
ちなみに人生初の2009年入荷のとき、日本でいちばん最初にご購入くださったのがレストラン「アクアパッツァ」の日高シェフです。
すぐにテイスティングしてくださり「うん、うまい!買うよ!」と、ケース単位でオーダーしてくださいました。
さらに、シェフの著書にあるお気に入りの調味料にも掲載してくださって。「加藤さん、今度の新しい本で紹介したから、テキストだけ確認して」と。カラー印刷された原稿に掲載されているオイルの写真と名前を拝見したときの感動は、今でも忘れられません。
失ったご報告をしたときには「辛いと思う。でも、加藤さんが自分で見つけてきた味は、大手が欲しくなるほどのすごいものだったんだよ。それをスペインまで行って、一人で引っ張ってきたことに自信をもって。すごいことをしたんだよ。また、新しい味をみつけてみたら」と。ディナータイムの準備が整った開店5分前の静かなレセプションで伝えてくださったシェフの表情、その向こうに見えた店内の優しいライトの色まで目に浮かべることができるほど、鮮明な記憶として残っています。


不安たっぷり。怖くて目をつぶったままの、小さな一歩。

しかし失ったオイルとは、真逆の味わいのカミロケ。
似たような味わいならお言葉に甘えて注文をとらせてもらうこともできましたが、まだ味見もしていないのに、正反対の味わいをお勧めすることは、私の性格的に無理でした。
今思えば、オイルを失ったことで自信喪失していたのだと思います。「もし、全然違う味わいを選んでもらえなかったら・・・」そんな心配や、費用のことばかりを考えていました。
たとえるなら「突然、彼を奪われた!」そんな状況なので、偶然、出会えた新しい彼とのこれからを安心することができず、「またいきなり誰かに奪われたらどうしよう・・・」と、心配になる。不安が止まらない。
でも、一歩を踏み出さないと、昨日までと同じ。私を信じてくれたお客さんとシェフからいただいた言葉。いろいろな考えと思いが頭の中でぐるぐるするような、まさにそんな状況でした。
長くなりましたが、そういうわけでカミロケ120本の発注となりました。

人生を変えてしまうほどの出会い~SERIAL STORY「Grifoll」4へつづく。



人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」1

https://note.com/pasiontomoko/n/nee039a185899

人生を変えてしまうほどの出会い〜SERIAL STORY「Grifoll」2


カミロケから進化したグリフォイオイルはこちら


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