春画流布の罪で獄門に処せられた絵師が漫画家の職場にタイムスリップ
逢坂総司郎は江戸時代にご禁制とされた藩で春画を描き、こっそりと売り流していた。
この逢坂という男、少年の時に巫女と龍の絵を見て、画に生涯を捧げた。家を捨て、流れ着いたその地で画を書いていたが、春画しか描けなくなってしまう。
いつか、あの画に見た龍を打ち倒す表現ができるまで、その牙を研ぐ。
大名、鶯谷寛喜は春画師を禁じた本人であり、自分が見られないから春画師を死罪にすると決めた暗君であった。
ある日、いつものように春画を描く逢坂。伸び悩むことに悩んでいたところ、御用改に捕まってしまう。
晴天の城下に裸体で亀甲縛りでさらされる逢坂。鍛え上げた肉体をあらわにその肌を日差しが焼き付ける。
老中が打ち首の沙汰を挙げると、逢坂のもとに熱心に通った者たちも多くの見物人と混じって、彼の書いた春画を忍ばせて眼を潤ませていた。
無念、無念なり 逢坂はもっと、もっと画を…
漫画家、宮上裕樹はいつものように商業誌の作品の制作作業をしているところだった。
その仕事場のある空間から、おかしなゆがみを見つけると、突然そこには全裸の亀甲縛りされた武士らしい若い男が現れた。
逢坂総司郎、未来にて漫画に出会う。そして、どこでも「その辺」に春画が手に入るこの世の中に涙が止めどなくあふれた。
ど真面目なエロ絵描きというギャップだけで、もう面白いキャラクター。そこにくわえて、ジェネレーションギャップどころか、世紀を超えたセンチュリーギャップ。倫理観のすれ違いが楽しい。
逢坂の己の表現力へのこだわりは中学生の情欲並みに上向いていて、ひとつまたひとつと刺激を受けては成長していく。
いつか、少年の頃に見たあの画を超えるそのときまで見届けたいもの。
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