【ダニも恐れる足跡】害虫のハダニは芋虫の足跡を嫌うことを発見したぞ
ダニとはここずっと無縁の生活を続けてきたので、だにがどんな形をしていたのか、思い出すことができない。何かのラジオの当初でパンツの中でマダニにかまれてしまったという話を聞いて、ちょっとぞっとしてしまったことがあり、ダニにはなるべく会いたくないなという気持ちがある。
ダニは寄生虫ではメジャーな部類で、様々な病気を運んでくるし、やはり清潔にしていないと、かゆくなるだけじゃすまないかもしれないし。
犬の耳たぶにダニが密集した写真を見つけてしまって、なかなかショッキングだったけれど、そこまで密集できるものなのかとかえって感心してしまった。一つ一つピンセットでつまみとりたい。素人がやると顎が残っちゃうから、やっちゃいけないんだけど。
京都大学農学研究科、京都工芸繊維大学教授の研究グループは害虫の世界王者のナミハダニと近縁種の管沢はだにが、鳥や蛾の幼虫の足跡を避けることを世界で初めて発見した。
ハダニが肉食性のアリの足跡を避けることがわかっているけれど、なぜか草食性の芋虫の足跡避けてしまう。その理由は体長が0.5ミリ以下であるハダニにとっては、とにかくでかい芋虫に出会うと命はおろか子孫や財産を失う可能性があるから。
ハダニと芋虫との大きさを比較するとハダニから見たら、200倍近くの体格差なので巨人を目の前にしているようなもの。芋虫は一日に数十枚の葉っぱを食べるので、葉っぱにハダニがついていたところで一緒に食べてしまう。
ハダニを捕食するカブリダニはハダニの卵を1日に十数個食べる程度であるけれど、芋虫は数十個のハダニの卵がついた葉っぱを10分で完食してしまう。芋虫に出会ってしまったハダニは自分も食べられるだけでなく、反省をかけて築いた巣網や卵や子孫をすべて失ってしまう。
そこで、最大の天敵である芋虫を避ける術を持っていると研究チームは予測した。
ハダニの雌成虫は、足にあるにおいセンサーで植物を吟味して巣にする葉っぱを決める。そこで、網を作ってその中で子どもが育っていく。雌成虫がハダニの居場所を決めるので、この雌成虫が芋虫の葉っぱを避けるのか調べた。
分類上の科が違う4種の芋虫にインゲン豆の葉面を歩かせ、芋虫が歩いていない葉っぱとも並べて、その境界にナミハダニ、もしくはカンザワハダニの雌成虫を入れて、どちらの葉っぱに定着するか調べた。
すると、両種のハダニはすべての芋虫の足跡を避けた。捕食者であるアリやカブリダニの足跡も避けるが、ハダニを食べないアブラムシの足跡は避けないことがわかった。このことから、ハダニは芋虫と出会うことを避けていると考えられている。
カンザワハダニが蚕の足跡を避ける効果は二日以上続くこともわかった。しかも、葉っぱについた足跡だけでなく枝についたものも嫌った。つまり、えだに足跡をつければ、その先の葉っぱを食べることはしなくなる。
そして、芋虫の足跡の正体を明らかにするために、蚕の足跡抽出物を片方の枝に塗り、反対側だけ溶媒だけを塗った。すると、カンザワハダニは足跡抽出物の塗った枝を避けて別の枝を選んだ。これにより、ハダニが草食性動物の足跡物質を避けることを発見した。
害虫を忌避させる、新しい農薬が開発が期待できるところ。薬剤耐性の強いハダニを農作物から追い払うのが難しいと言われていたが、これによって、画期的な薬剤ができるだろう。しかも、天然物質なので環境にも優しい。
昔は農薬も悪者扱いされていたけれど、日進月歩で新しくなっていく。虫が居着かないような手段ができればいいんだけれど、まだまだ人類は土とともに生きていくようだし。
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