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【神経細胞への「乗り物」としての寄生虫】トキソプラズマが治療用タンパク質を脳に届けるぞ

神経細胞と巨大分子:トキソプラズマが挑む新たな挑戦

最新の研究では、神経細胞に巨大分子を送り届けるために、寄生虫であるトキソプラズマ原虫を使うアイデアが注目を集めているようだ。普段、巨大なタンパク質を脳に運ぶことは、血液脳関門という厄介なバリアのせいでとても難しい。でも、トキソプラズマ原虫はこの障壁を乗り越えられる可能性がある。なぜなら、この寄生虫は自然に腸から中枢神経系へと移動し、宿主の細胞にタンパク質を届けることができるからだ。この研究では、ドイツ航空宇宙センターのチームが、培養細胞や脳オルガノイド、さらには生体内で、この原虫を使って100kDa以上の治療用タンパク質を神経細胞に送り届けることに成功したと報告している。

Rhoptries vs. Dense Granules:トキソプラズマの二大分泌システム

トキソプラズマ原虫には、宿主細胞にタンパク質を送るための二つの分泌システムがある。その一つがrhoptries、もう一つがdense granulesだ。rhoptriesは「キスアンドスピット」というユニークなメカニズムでタンパク質を送り出す。まるでドアを一瞬だけ開けて、外にタンパク質を吐き出すかのようだ。そのため、複数の細胞に一気にタンパク質を届けることができるが、送達のレベルは少し低めらしい。逆に、dense granulesのシステムは、一度宿主細胞の中にしっかり入り込んでから高いレベルのタンパク質を送り届けることができる。長持ちするけど、少し時間がかかるのが難点かな。

トキソプラズマの宿主脳への旅路

この研究では、操作されたトキソプラズマ原虫が、宿主の脳のどこにタンパク質を届けるのかを明らかにするために、Ai6レポーターマウスという特殊なマウスが使われた。結果、皮質が一番多くタンパク質を受け取った場所であることがわかったようだ。脳の他の部分、例えば海馬や視床下部などもターゲットになったけど、皮質が一番大きな役割を果たしたみたいだね。

GRA16とtoxofilin:どちらが優れたキャリアか?

トキソプラズマの分泌システムの効率を上げるために、研究者たちはGRA16toxofilinという二つのキャリアタンパク質を試した。結果、GRA16の方が、特に宿主細胞の核にタンパク質を送るのに効果的だったようだ。toxofilinも頑張ったけど、やっぱりGRA16の方が一歩リードしているみたいだよ。

実験の舞台裏:どうやってトキソプラズマを投与したか?

この研究で使われたトキソプラズマ原虫は、腹腔内注射という方法でマウスに投与された。注射されたトキソプラズマは、宿主の体内でどのように分布するのかを確認するために、さまざまな時間軸でマウスの脳を透明化して観察されたんだって。その結果、操作されたトキソプラズマがマウスの脳全体にタンパク質を届けることができることがわかったようだ。

「最近、トキソプラズマに脳へタンパク質を届けてもらったんだけど、途中で迷子になったみたいで、いまだに皮質のどこかでウロウロしてるらしいよ。GPSでもつけてあげればよかったかな?」


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