【塗るだけで傷を治す】体温で固まる医療用接着剤を開発したぞ

子どもの頃のように無茶な行動をしなくなったから、生傷を作ることが殆ど無いわけだけど、数年に一度くらいは生傷を作ることがある。覚えている限りで、かなり痛い思いをしたのが、駐車場の車止めに躓いて思いっきり転んだことがあって、膝をめちゃくちゃすりむいた。

このとき、雨も降って路面が濡れていたので、びしょびしょになったまま痛みを抱えて屋内に逃げ込む。ズボンも破けてしまって、なんとか雨具を着るとゆっくりと家に帰った。

家にはキズパワーパッドが置いてあったので、傷口に泥を少し落として、貼り付けてみた。数日後にはある程度治癒があったけれど、残念。傷跡は少し残っていた。擦過傷はさすがに無理か。

痛みもそうだけれど、傷口も早めに癒えてほしい。従来の絆創膏では出血が漏れ出ることがあって、服を汚してしまうことがあるから。

切り口のひどい傷口には針と糸で縫合するのもあるけれど、場合によってはホッチキスが手早く縫合できる。これ、痛そうなんだけれど。


国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は温めて塗るだけで手術後の傷を治す医療用接着剤を開発した。取り扱いが容易であり、組織接着性、生体適合性、手術後の合併症の予防効果が高いという。

手術後の合併症とは、癒着や出血、炎症や感染などなど、手術部位はむき出しな部分をさらしているので、そういうリスクを背負うことがある。

ただ、こういう手術部位を塞ぐ製品というのはあって、シート状材料や液混合型スプレーが用いられている。しかし、シート状材料だと凹凸のある場所ではきれいに張ることが出来ないし、内視鏡手術では扱いが難しい。
一方、液混合型スプレーは手術部位の形状に特に関係なく皮膜することが出来るし、内視鏡手術とも相性が良い。しかし、化学反応によって、炎症反応が起きる可能性がある。

この研究ではゼラチンのゾルーゲル転移温度を制御することで、温かくなると固まるゼラチンを設計した。32℃でゾル化するブタ腱由来のゼラチンから、ウレイドピリミジノン基を導入することで作られたUPy腱ゼラチンは体温でゲル化する接着剤が出来た。

ゾルとゲルに違いはどちらもコロイド溶液の一種で、ゾルは流動性のある牛乳やジュースの類い。ゲルは流動性のない羊羹や豆腐などになる。

体温で傷を塞いでくれる液体。しかし、加温してないとゾルとして扱えないから、緊急では扱いづらいかも。

でも、外傷が起きやすい現場なら、温めておいてすぐに使うなんてことが出来るだろう。たとえば、ボクシングや激しいスポーツの現場では、燃しきってしまった時でも、ワセリンの代わりに速やかな止血が出来るかも。


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