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言霊量子論 その6

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

量子場脳理論、その2

前回の言霊量子論で、今回は「脳の高度な本質である量子の世界に迫ってみたいと思います」 とお約束しましたが、その前に、5人のプロ棋士と戦って4勝1敗と完勝したコンピュータ将棋ソフトの記憶(正確にはコンピュータ将棋ソフトが実装されているコンピュータのメモリ容量)と、完敗したプロ棋士の記憶の違いについて、もう少し述べてみたいと思います。 

2007年に渡辺竜王とコンピュータ将棋ソフトのパイオニア「ボナンザ」が戦って、渡辺竜王を本気にさせてから、わずか7年の間に、コンピュータ将棋ソフトは、なぜ、プロ棋士を圧倒する機能を手にすることが出来たのか? 一つには、前の言霊量子論でもお話したように、保木邦仁氏が開発したアルゴリズム(全幅探索と機械学習)でした。そしてもう一つが今回お話しする、コンピュータ将棋ソフトの記憶でした。

2014年の将棋電脳戦で使用されたコンピュータは、メインメモリが64GB、HDDが1TB。2007年当時のボナンザに実装されたコンピュータのメインメモリは1GB、HDDが250 GB。7年間で記憶が数十倍に肥大したわけです。コンピュータ将棋ソフトの棋譜データベースをTB単位で展開できるようになったのです。日本将棋連盟に蓄積された50万局(ボナンザは6万局を網羅)の、すべての棋譜は所詮、文字データです。1TBのメモリ容量があれば記憶として十重二十重に網羅することが可能となります。そのうえメインメモリが64GBもあるのです。1秒間に4000万局面(2007年当時のボナンザは400万局面) の手を読むことが可能になります。

では、プロ棋士の記憶はどうなのでしょうか? プロ棋士も、その能力は恐るべきものです。プロ棋士になるまでに平均10年かかるとして、1年365日、1日中将棋漬けが当たり前のようですから、1日100局以上の棋譜を眺めたり、指したりしているのは珍しくないそうです。ならば、掛ける10年で50万局ぐらいの棋譜を経験値として、脳に焼き付けているわけです。

量子場脳理論的に言うならば、この焼き付けているという状況が「記憶を取り込む」という事象と類比的なのです。記憶を取り込んだからといって50万局の棋譜をすべて覚えているかというと、ほとんど覚えていない。取り込んだという事実があるだけなのです。10年かけて50万局の棋譜を意識しただけなのです。

「記憶を取り込む」の次は、「記憶を想起する」という事象に遷移します。「記憶を想起する」というのは、意識した棋譜を想い起こすことです。例えば「昨日の試合の敗着となった指し手は、何年か前の誰々との対戦の棋譜であった覚えがある」という想起です。 面白いことに、この想起をたびたびすると、たびたび想起された意識は徐々にクリアになっていきます。「記憶が固定化する」 という事象に遷移していくのです。実は、この意識がクリアになっていく在り様の素過程が、ボース・アインシュタイン凝集体として質量を有するエバネッセント光子(隠れ光子) への相転移だったのです。

私たち人間の記憶は一つの状態に無限個の粒子を重ね合わせて格納できるボソン系のn次元の記憶だったのでした。ではコンピュータの記憶は・・・。コンピュータの記憶は、一つの状態に一つの粒子しか格納できないフェルミオン系の二次元の記憶システムだったのでした。ボソン系の主役は「光子」、フェルミオン系の主役は「電子」 です。つまりプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトとの戦いの舞台は、宇宙の真空の場で、無限のエネルギーを生み出している「ゆらぎの場」だったのでした。そして「量子場脳理論」 は、天津神としての言霊と連関していきます。このお話の続きは、次回にさせていただきたいと思います。(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等


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