見出し画像

言霊よもやま話 【特別編】 〈祭るものと祭られる者〉 其の一

原典:『世界維新への進発』(小笠原孝次 著)
編集:新谷 喜輪子 / 監修:杉山 彰

言霊五十音は形而上の道理としての、 伊勢神宮の天照大御神の実態である

高天原は神を祭らず、神を信ぜず、神に祈らず、神に頼むことがない。神を祭らずして人を祭る。神自体である五十鈴宮の言霊五十音八咫鏡を祭り掲げて、その鏡の上に全人類の霊魂を、すなわちその思想を祀る。言霊五十音は形而上の道理としての伊勢内宮の天照大御神の実体である。更にその内宮の五十音言霊の基盤の上に世界のすべての個人、団体、民族、国家の思想を架けて祀った宮が外宮である。

スクリーンショット 2020-11-26 19.18.04

此の世のすべての禍の源は個体が自己の考えや行動に関して、その世界の全局に於ける時処位を自覚しない所に起因する。個々の人間が独自の努力を以て安心と立命を得る事は不可能であって、努力の結果は必ず個別的な主観に陥り、如何なる哲学も宗教も結局は個人のもの、すなわち一学派、一宗派であるに止まる。

外宮に祀られて五十鈴の操作である布斗麻邇によって整理禊祓される時、その思想精神は宇宙的世界的時処位を得て安心立命し、成仏成道する。各々が独自の時処理に安堵した精神が全局として組織運営される社会が極楽であり、天国エデンの楽園である。伊勢の内宮外宮は以上の形而上の道理と形而下の世界の組織経営法を教示し象徴し黙示してある施設である。この道理は実はすべての人間の生命の中に生まれながらに内在しているものであって、この本具の人間性が内在者としての神(仏)である。

人間を離れて超越した神秘の神が有るわけではない。神を超越者、神秘と見る事はその個人の魂がまだ究極の五十鈴宮に到達しない為であって、宗教上の神や仏はなお遍歴の途中を彷徨している人間の魂を指導するために樹てられた方便としての仮切めの目標であるに過ぎない。

(つづく)


・・・・・・・・・・

【小笠原孝次(おがさわらこうじ)略歴】
1903年 東京都にて生誕。
1922年 東京商科大学(現在の一橋大学)にて、
吹田順助氏よりドイツ文学、ドイツ哲学を学ぶ。
1924年 一灯園の西田天香氏に師事し托鉢奉仕を学ぶ。
1932年 元海軍大佐、矢野祐太郎氏および矢野シン氏と共に
『神霊密書』(神霊正典)を編纂。
1933年 大本教の行者、西原敬昌氏の下、テレパシー、鎮魂の修業を行う。
1936年 陸軍少佐、山越明將氏が主催する秘密結社「明生会」の門下生となる。明治天皇、昭憲皇太后が宮中で研究していた「言霊学」について学ぶ。
1954年 「皇学研究所」を設立。
1961年 「日本開顕同盟」(発起人:葦津珍彦氏、岡本天明氏ほか)のメンバーとして活動。
1963年 「ヘブライ研究会」を設立。
1965年 「ヘブライ研究会」を「第三文明会」に発展。
1975年 「言霊学」の継承者となる七沢賢治(当時、大学院生)と出会う。
1981年 「布斗麻邇の法」を封印するため七沢賢治に「言霊神社」創設を命ずる。
七沢賢治との連盟で山梨県甲府市に「言霊神社」創設する。
1982年 79歳にて他界。

【著書】
『第三文明への通路』(第三文明会 1964年)
『無門関解義』(第三文明会 1967年)
『歎異抄講義』(第三文明会 1968年)
『言霊百神』(東洋館出版社 1969年)
『大祓祝詞講義』(第三文明会 1970年)
『世界維新への進発』(第三文明会 1975年)
『言霊精義』(第三文明会 1977年)
『言霊開眼』(第三文明会 1980年)


この記事は素晴らしい!面白い!と感じましたら、サポートをいただけますと幸いです。いただいたサポートはParoleの活動費に充てさせていただきます。