縄文・旧石器時代の祭祀と黒曜石 Vol.3:黒曜石は「黒燿岩」だった!?
リレー連載・執筆:ラボラトリオ研究員 G
この度は「黒曜石の謎解きツアー」にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
参加者の皆さま、こんにちは。
本ツアーのコンダクターを務めます迷探偵Gことラボラトリオ研究員Gです。
その後、ご無沙汰しており誠に申し訳ありませんでした。
実は「謎解きツアー」のロケハン中「考古学界」という異界の境界で、しばらくの間、気を失っておりました……^^;
どうやら「考古学界」が発する「猛毒」に当たってしまったみたいです。
< 締切破りの常習犯の疑惑も arimasuga …… >
日本の「考古学界」は、門外漢の私にとっては、証拠捏造、学閥闘争、利権争奪など人間が発する「猛毒」に満ちた危険で未知なる世界でした。
もしかすると「黒曜石を巡る謎解きツアー」は
古代人が残した遺物をめぐって現代人が発する
「猛毒 = 穢れ」をツアー参加者が「祓い + 鎮魂」していく、そんなツアーに発展していくのかも知れません……(-_-;)
<Vol.1+Vol.2をお読みになっていない方は、こちらからお読みください>
■リレー連載「縄文・旧石器時代の祭祀と黒曜石」
▼Vol.1:研究員竹内健レポート
https://parole.laboratorio.ltd/n/nfef3c06dc6a9
▼Vol.2:研究員Gレポート
https://parole.laboratorio.ltd/n/ne57319afc4e6
■前回のまとめ
前回(Vol.2)は
「黒曜石」謎解きツアーの経緯と目的
「黒曜石」との初対面
「黒曜石」の「名称の謎解き - 前半戦」でした。
「名称の謎解き - 前半戦」の結果、通称「黒曜石」には漢字表記が3種類あることが判明。
考古学界における「黒曜石」の漢字表記ルールが分からなかったため、漢字表記の違い →「曜」「燿」「耀」の旁(つくり)と偏(へん)の成り立ちについて調べてみました。
▼「曜」「燿」「耀」の旁 = 「翟」の成り立ち
▼翟( テキ / タク )の意味
・意味-1.鳥の種類 = 「雉(キジ)」
・意味-2.鳥の種類と部位 =「 雉(キジ)の羽」
・意味-3.「雉の羽」で飾った衣類
・意味-4.中国の北部民族の名 = トルコ系遊牧民族「丁零(ていれい)」の「翟氏」
※トルコは黒曜石の世界的な産地
(こちらの謎解きはまた別の機会に)
▼「曜」「燿」「耀」の偏(へん)の成り立ち
漢字の偏(へん)の成り立ちを比較しますと、次のとおり違いがあることが判明しました。
▼「日」と「火」と「光」の成り立ち
「日」= 太陽の陽の光
「火」= 燃える火
「光」= 燃える火の光
▼「偏」の違いと漢字の成り立ち
「名称の謎解き - 前半戦」は、ここで一時停止。
続いて「黒曜石」には、日本各地に様々な名称があることをご紹介。
ここまでが、第1回目の「謎解きツアー」の内容でした。
■「縄文・旧石器時代の祭祀と黒曜石」
▼Vol.2:研究員Gレポート
https://parole.laboratorio.ltd/n/ne57319afc4e6
■第2回目の謎解きツアーのテーマ
そして、ここからが第2回目の謎解きツアーになります。
今回の「謎解きツアー」のテーマは、ズバリ!「黒曜石」の最適な漢字表記とは?です!!
★ツアー参加者の心の声……!?
「漢字表記を謎解きして、何の意味があるの?」
「漢字表記の違いなんて、めっちゃ地味……」
「漢字表記が気になるなんて、性格細かっ!」
参加者の皆さんから、そんな心の声が聞こえてくるような……^^;
■漢字表記にこだわる理由
皆さんのご反応は、全てごもっともデス。
実は「黒曜石の謎解き」をスタートするまでは、私自身もそう思っていました。
しかし「黒曜石の謎解き」が進んで行くほど、漢字表記にこだわるべき理由が明らかになってきたのです。
その理由は、大きく次の3つです。
☑理由-1.考古学&教育界による意図的なミスリードを見抜くため
☑理由-2.漢字表記は謎解きのための重要な情報であるため
☑理由-3.言葉の解釈や認識を間違えるとゴールを間違えてしまうため
「理由-1」については、ツアー参加のモチベーションを下げてしまうほどにネガティブな内容なので、ツアーの一番最後で解説することにします。
ですので、ここでは「理由-2」と「理由-3」についてのみ、ご説明させてください。
「理由-2」については、とても簡単です。
一言でいえば「漢字表記」に関する情報は、ツアーの謎解きのために重要な情報だということです。
もしも「黒曜石」の名称が……
英語名の「オブシディアン」だけだったら?
地域名の「トカチ石」だけだったら?
アイヌ語の「アンチ(ジ)」だけだったら?
漢字なしの「コクヨウセキ」だけだったら?
おそらく、謎解きは困難を極めたことでしょう……。
つまり「漢字表記」は、とても重要な「手がかり」=「証拠」=「ヒント」であるということなんです。
続いて「理由-3」についてです。
意味的には、言葉の解釈や認識を間違えると、ゴール(行き先)を誤る可能性が高くなってしまうということです。
分かりやすい事例を幾つかあげてみましょう。
■同一名称の市区町村
最初にご紹介する事例は、同一名称の市町村の事例です。
皆さんご存知のとおり、日本国内には同一名称の市町村が数多く存在しています。
例えば、私の本家は山形県西置賜郡の小国町にありますが、熊本県阿蘇郡にも小国町が存在しています。同じ小国町でも、当然ながらその場所はまったく異なる場所です。
ちなみに、日本で最も多い同一名称の市町村は「池田(いけだ)」だそうです。
市町村レベルでは6箇所、大字と町名まで含めますと20箇所を超えます。
▼池田(いけだ)の地名=1市6町
・大阪府 池田市
・北海道 中川郡 池田町
・福井県 今立郡 池田町
・長野県 北安曇郡 池田町
・岐阜県 揖斐郡 池田町
・徳島県 三好市 池田町(現・三好市 )
・香川県 小豆郡 池田町(現・小豆島町)
当たり前のことですが、最新のカーナビでも地名の入力を間違えると、当然ながら行き先も間違えてしまいます。
だからこそ、カーナビの事例と同様に「黒曜石」の謎解き(行き先)も、名称の漢字表記を正しく理解(入力)してから、スタートした方が良いと私は思うわけなんです。
■同音異字苗字
次にご紹介する事例は、同音異字苗字についてです。
同じ読み方で、漢字が異なる苗字(名字)のことを同音異字苗字といいます。
例えば「佐藤さん」と「佐東さん」は、読み方は同じ「さとうさん」でも、実際には別のお宅(家系)の「さとうさん」です。
病院の待合室で看護師さんが「さとうさん」と呼ぶと、同時に複数の「さとうさん」が返事をしてしまう、というのは同音異字苗字の「あるあるネタ」です。
日本人であれば、誰もが一度は似たような経験をしたことがあるのではないでしょうか?
▼さとうさんの同音異字苗字の事例
・佐藤
・佐籐
・左藤
・佐東
・砂藤
・左道……他
同音異字苗字の間違いもカーナビの事例と同様、漢字表記を間違えますと、接するべきお相手を間違えてしまいます。
と同時に、お相手の御先祖様の家系を間違えるということでもあります。
当然ながら、謎解きには、お相手の間違いも、家系の間違いも、致命的な間違いであり、迷走するリスクが高くなるばかりです。
■漢語とやまと言葉の違い
次は「謎解き」の精度を高めるためにも、漢字表記の問題について少し掘り下げてみましょう。
本居宣長(もとおりのりなが)が『古事記』※1の注釈書である『古事記伝』※2を執筆した時、国学的な思想から、漢字=漢語=漢意=中華文明の表記の違い、読み方(やまと言葉)、解釈(国学=道)の違いに徹底的にこだわりました。
※1-2.本居宣長の読み方
※1.『古事記』(フルコトフミ)
※2.『古事記伝』(フルコトフミノツタエ)
その結果、『古事記』写本原本は上・中・下の全3巻しかないのに、註釈書の『古事記伝』は全44巻の超大作になってしまったのです。
膨大な註釈の中から、ほんの一部をご紹介しましょう。
例えば……
▼高天原
・タカアマハラ ◯ → 天津神に通じる
・タカマガハラ ✕ → 禍津神に通じる
▼天地
・アメツチ ◯ → 日本の天地
・テンチ ✕ → 西洋の天地
この事例は、漢字の読み方、解釈の違いによって、その先に通じる世界、神の階層(霊統)までもが、大きく違ってきてしまうことを意味しています。
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