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ミラノサローネ往訪記〜parkERsデザイナーが見るデザインの「いま」〜

初めまして、parkERsデザイン室の二反田 彩です。

今回は、ミラノデザインウィーク・ミラノサローネ2019の視察情報をお届けします。
個性あふれるメンバーで構成されるparkERsならではの目線を楽しんでいけたらと思います!

ミラノデザインウィーク・ミラノサローネって?

ミラノサローネとは、世界中の2000以上の企業が家具を発表する最大規模の見本市のこと。
それと同時に、ミラノの街全体がデザインウィークとして盛り上がり、至る場所でインテリアイベントが開催されます。

多くの人で賑わう街並み

歴史あふれる芸術的な街並みと新しいデザインが混ざり合い、世界中のデザイナーとアーティストが集まる心躍る一週間。
私たちがよくお世話になっている企業も多く出展していたので、張りきって見てきました。

初めてのミラノサローネで見た、インテリアデザイン

実は私は、デザインを学んだことはなく、美術大学でコンテンポラリーアートに近い制作活動に勤しんでいました。
絵画学科で油絵を描いていたのですが、主にインスタレーションの方が性に合っていたので布や音や木など様々な媒体を活用して作品を作っていました。
なので、デザインを仕事の生業にしているのには驚かれることもありますが、アートをしていた自分だからできる考え方を武器にしています。

今回、そんな目線で見たミラノサローネで感じたことは、とにかく各ブースの世界観のぶつかり合い!笑 ということです。

世界中の家具の見本市というだけあり、圧倒的なデザインの物量、多種多様なプロダクト、ブースの演出も魅力的でした。

FRITZ HANSEN の展示ブース

もちろん、家具の収まりや仕上げ、演出の仕方とたくさん勉強になりましたが、
世界観が交差するなか、やはり気になったのは、色使いの豊かさと、人の生活と自然が混じり合ったデザイン。
日本の空間ではなかなか見ることのない色使い、海外の人から見た木や石、砂などのマテリアルの使い方が美しかったです。

木彫りのテクスチャーの椅子

 木彫りのテクスチャーのテーブル

そして、どのブースにも必ずと言っていいほどあるのが、「植物」。
人が作り出すデザインの美しさもありますが、人は潜在的に、植物の持つ自然美を
求めているんだなと確信しました。

ミラノデザインウィークで見た多種多様のあり方

ミラノサローネの開催にともない、ミラノの街全体が多くの企業やデザイナーによる展示で人々で賑わうミラノデザインウィーク。

見に行った中で印象に残ったのは、 Spazio Rossana Orlandiと呼ばれる、ロッサーナ・オルランディ氏のギャラリーです。

オルランディ氏は、20年以上、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)、ダナ・キャラン(Donna Karan)、そして彼女の一族の会社のコンサルタントとして働いた後、デザイナーの作品を集めるために、2002年、個人のギャラリーを設立した、ミラノのインテリアの目利きとして名高い人物です。

デザインやライフスタイルに関するオルランディ自身の感性によるショーケースと言われていて、芸術作品なのかデザインなのか曖昧な存在のものがたくさん収集されています。

展示されているアート作品の数々


彼女は美に対する愛によって培った情熱を持っているが、芸術(arte)とデザイン(design)を区別することは難しいと語っているらしく、そんな思いをひしひしと感じる宝箱のような空間でした。

実際、ここだけではなく様々なデザインが点在する街を歩いていると、これどう使うの?どんな意味があるの?と思ってしまうもので溢れていたように思います。

デザインとアート・植物・これからのparkERsで作り出す空間

冒頭で少し触れましたが、私はデザインを学んだことはありませんでした。
しかし、アートもデザインも共通して言えることは、その物の強さの大切さ、コンセプトももちろん同等に大切ですが、そのものやことに込められた想いが形になったときに初めて人の目に止まることができ、心に残ると思っています。


私は、アートの目線で生きてきたので、想いから生まれる美という観点が強かったためか、デザインは機能美という観点があり難しい存在だと感じていました。


『機能ってなんだろう、機能からくる美とは?』と試行錯誤の毎日でしたが、そうして結果今たどり着いているのは、parkERは、[デザイン×グリーン]であり、そこに人と植物という有機物同士のぶつかり合いから起こるデザインは、想いから生まれる美でも機能美でもない、いい意味の曖昧さを持っているということ。この面白い概念は、parkERsに入社して得ることができました。

今回の視察で、強く心に残ったのは、やはり自然から享受する美は美しいということ、そしてもっともっと自由でいいのだ!ということです。
parkERsが曖昧な存在であるかのように、デザインもアートもだんだん境目が曖昧になっているのではないかと感じています。


それに付随し人のあり方も多種多様、空間づくりも、ものづくりも一気に表現の枠が広がっていると思いました。
parkERsは、デザインに植物が加わることでデザインの中に曖昧さを作り出し、
気持ちの余白を作り出すことで、なんだか気持ちがいいな、綺麗だなと感じる心の連鎖が空間づくりに繋がっています。

私は、そこにデザインの枠にとらわれない、今以上の植物の豊かさ・美しさ、人の心に染み渡るような曖昧な美を表現していくぞ!と強く思えた視察となりました。

最後に、今回の視察で一番心に響いた空間

今回の視察で一番心に響いた空間は、街で見つけたAesopの店舗です。

店舗の中に地層が作られていて、砂が盛ってあります。
固めているだけで、容器はなし。


自由ですよね。日本ではハードルが高そうですが、こういった自然ならではのラフさを表現できることが、本当に美しいものとは何か?と今問われ求められているのではないかと思いました。

以上、ミラノデザインウィーク・ミラノサローネの視察情報でした。

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この記事を書いた人
parkERs デザイン室  二反田 彩


美術大学で、絵画を専攻しながらインスタレーションを修士まで学ぶ。
卒業後、アートで培った感性を生かすべくparkERsへ。
植物の美しさや強さを再確認し、
新しい見方を発見していただけるような空間を表現したい。