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憶えた振り #01 | 写真家・三輪卓護

​​“ 同じ日は二度と無い ” なんて言われたら、いや、薄々気づいては居たんだけど。写真に残すとなぜだか安心するのは僕だけでしょうか。写真に頼りきりな僕が、なんで写真に頼りきりなのか、言葉にしてみます。 (三輪卓護)

#01

​自分の中の写真を見てもらう『個展』は、今回が初めて。
​​今回の写真展は、東北の町に暮らす祖父の姿が一つ大きなテーマになった。

​​少しずつ淡くなっていく姿を、写真につかまえておいて。
僕は安心したかったんだと思う。

​​写真を仕事にしてからもう少しで5年目になる。​​仕事で撮る写真も好き。でも最初にカメラを持った10歳の僕が撮りたかったものは何だったのか、或いは10歳の頃の僕に撮れた写真を今でも撮れるのか、確かめる必要があった。

​​​​実家の窓から、赤城山の向こう側に沈む夕日を何枚も撮った。近所の幼馴染と遊んでいた日の様子を、何枚も撮った。そこに居る自分がそうするように、真っ直ぐに見つめたり、ちょっと引いたところから、フィルムに焼き付けた。

​​自分がそんな日を過ごした事を憶えておきたかった。僕は安心したかったんだと思う。
​​
​​​僕が育った家にはもう他の人が住んでいるけど、僕はいつでもそこに戻っていい。​​あの窓から見る夕焼けは、僕がいつか見る走馬灯の最初の方で、暖かく僕を迎えてくれるだろう。


三輪卓護


写真家・三輪卓護 個展『Dilute』
2024年2月14日(水)~2月25日(日)
場所:PARK GALLERY(東京・末広町 / 湯島)
東京都千代田区外神田3-5-20
営業時間:13時〜20時 | 入場無料
定休日:月・火曜


三輪卓護(みわたくご)
1993年 埼玉県出身。
イギリスの大学を卒業後、母の出身地である秋田に移住後、フォトグラファーとして独立。写真を中心としたクライアントワークの傍ら、映像制作や地域のアートプロジェクトに参加。
https://www.otan-photography.com
https://www.instagram.com/otanphotography

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