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日々太る私へ

先日風呂の鏡をふと見たら、そこに知らないデブが立っていた。
私が尻をボリと掻くと、そいつも尻を掻くのでそいつが私であるとようやく認識した。鏡の中のデブは私の鏡像認知能力を一瞬狂わせる程インパクトがあった。
私が熊ならそいつに襲いかかっていただろう。


会社員勤めも1年が過ぎ、日々あくせくと働いていたら、知らぬ間に激太りしていた。一日中デスクに座り、昼にランチで中華を食べ、夜も労いを込めて丹精のつくものを食べていたら、ベルトの一番右の穴とはご無沙汰になっていた。今は5つ目の穴と懇ろにしている。

腹囲のみならず胸囲も増大し、今なら初対面の人間でさえ、私の乳首の位置を当てることは容易であろう。高校時代に乳首当てゲームが流行っていたと記憶している。両耳から胸に向け垂直線を引くと、ボーダー上に乳首が位置するという法則があったが、今の私の乳首はそのボーダーから偏差値でいうと70あたりに位置している。


このままでは取り返しのつかないことになると思い、ダイエットを決意した。食事を野菜中心に変え、ジムまで契約した。


が、なかなか痩せない。


10年前なら少し食事を減らしただけで直ちに骨と皮だけになる代謝能力があったはずなのだが、齢27となると食事を少し変えた程度では脂肪は撤退してくれない。


加えて、20時に仕事を上がろうとすると、『今日はやけに早く上がるね、用事か何か?』といわれる労働環境じゃ、疲れ果てているので家に帰ってジムに行く気力も湧かない。日本のジムは、私のようなジムに行きたくても行けない星の元に生まれてきた連中に支えられて繁栄していると言っても過言ではない。



デブになる道をただひたすらに爆進している。不確実な世の中だが、終身雇用が消え去ることと、私がデブになるということだけは疑いの余地はない。


もう少し太ると、初対面の外国人から、『日本のsumo wrestlerはちょんまげしてないんですか?』と質問されるに違いない。あればカツラなんだよ、と返そうと思う。


恐ろしいことにもうすぐ夏がやってくる。夏が来る前になんとか痩せる必要がある。夏と引き締まった身体は必要十分条件だと高校数学で教わったと記憶している。



さて、今日も美味しいラーメンを食べてしまった。明日の自分がジムに行く事を期待して、これからアイスを食べて眠ることとする。



ではまたそのうち会おう!

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