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ぱりんこ、という正体不明な名前が役に立った日 #25


昨日、生まれて初めて、喫茶店の取材に同行させてもらった。落ち着きのある先輩ライターさん(ご本人は自分はダメダメだというが、全くそんなことはなく、わたしは終始スゴイスゴイ、と思っていた)がほぼ質問進行してくれたので、わたしはそれを見たり、トーストをかじったりしていた。(これも記事に味の感想をのせるための仕事よ?)


1軒目は、人から「新潟で1番好きな喫茶店は?」と聞かれた時に、とりあえず答える有名店。お客さんとしては、数えきれないほど訪れている。しかし昨日は、お客としてではなかったため、とてもとても緊張した。ただの喫茶店オタクだったのに、取材する側として訪問する日がくるなんて……!感慨深い。 

2軒目で奇跡は起きた。アポ取りなどは全部先輩ライターさんがやってくれたので、マスターやお店の方に、わたしの素性はまったく知られていない状態で訪問。


見た目は厳しく怖そうなのに、話してみると優しくユーモアのあるマスターが、急に「そういえば、この前ネットに載ったんですよ。それでその人がこのケーキが好きみたいで。しかも普段は苦い珈琲はすきじゃないのに、うちのは飲みやすいんだって。」と言う。


思わず、『あ!それ、わたしです!!笑』と伝えた。


すると、マスターが、急いで他の従業員の方に、「ちょっと!この人、ぱりんこさんだって!また手厳しい方にきてもらっちゃったなぁ〜!」と言いながら、ガハガハ笑う。(こんなふざけた名刺渡していいのかな〜?)と思いながらも名刺を渡すと、「かわいい!かわいい!デザインセンスもあるんですね!このイラストもかわいい!」と恐縮するくらい褒めてくれた。

「ぱりんこさん、いい感じなので、質問してみますか?」と先輩ライターさんがコソッという。1人でやればきっとサクサク取材も終わるだろうに、わたしの負担にならないよう配慮しつつも、できそうなことは任せてくれる、さりげない優しさがステキな方だ。静かなのにホワンとしてる、そして落ち着きもある壇蜜さんと似たようなオーラを感じるので、ここではシヅカさん(壇蜜さんの本名)と名付けよう。


しかし、わたしは、いかんせん雑談ができない。『すみません、質問をすすめるのはシヅカさんにお願いして、わたしも気になることは追加で質問する感じだと助かります』と伝え、甘えさせてもらった。

横に、シヅカさんがいてくれたから、わたしも気になったことは好き勝手聞くことができた。ひとりだったら、言葉遣いちゃんとしなきゃ!とか、全部のリスト項目聞かなきゃ、とか考えてパンクしていたと思う。とにかく、ライターの取材というのは臨機応変さが求められる。相手の話を、つまりこういうことですよね?とまとめつつ、広げつつ、聞きたいことは聞きだす。頭の回転が早くないとできない。

マスターは、正直、Webサイトなんて見そうもないように見えた(失礼)ので、ぱりんこという存在を知っていること自体が意外だった。そして、ぱりんこさん、ぱりんこさん、となんの違和感もなく呼んでくれることにもツボった。こんなふざけた名前で、活動していいものなのか?と不安だったのに、マスターは、シヅカさんの本名の名刺をマジマジと見つめて、「この名前は何と読むんですか?」と不思議そうに質問していた。(いやいや、どう見ても読めるでしょ!笑)と思える名前だったけど、何が普通で何が変なのかなんてないんだ、と思った。


「それで、エッセイスト、というのはそういう勉強をしてきたんですか?」と真剣にきくマスター。しっかりブログのプロフィール欄まで頭に入っている…笑  

いえ、特に専門の勉強はしていませんが、ずっと書き続けて発信しています。』と答えた。

(勝手に名乗ってるだけだけど…毎日文章とエッセイを書いていることには違いないもんね。)

詩を書いていれば、本を出してようと出してなかろうとその人は詩人なんだ、となにかの本で読んだ。だから、堂々とできた。普段だったら、『え!すみません、全然勉強してないです…』みたいな感じだったと思うけど、このお暇中に色々な本に触れたことと、会社員の枠にはまらず色んな生き方をしている人に出会えたおかげで、堂々と答えることができたのだ。わたしは、きっと本を出す。

マスターは、わたしの好みを覚えていてくれて、これも食べてみて、と色々出してくれる。「ぱりんこパワー、すごい…笑」とシヅカさんも喜んでくれて、少しは役に立ったことを実感できた。わたしは、喫茶店を愛している。居場所がない時、いつも受け入れて、静かにそっとしてくれた場所。後継者不足で、どんどん減っていく新潟の喫茶店。廃れていく古町。そのために、何かできることはないか?とずっとずっと考えて、とりあえずブログを書いていた。


その気持ちが、ひとつのお店の人に届いていたことにジンワリした。心の奥底から、何かがこみ上げてきた。ちっぽけなことかもしれない。それでも、わたしは本当に嬉しかったんだ。ブログを読んで、こうして声をかけてくれたライター(シヅカ)さん、ブログの名刺が作りたいなぁ…と呟いていたらデザイン会社を教えてくれたフォロワーさん兼同志、ぱりんこのブログや noteを見てくれている人たち、毎日書きなよと言ってくれた坂口恭平さん、そしてずっと書き続けてきた自分に、感謝したい。


前職をやめてから、出会った人々を思い返してみる。ライターさん、面白いマスター、個人経営のサロンのオーナーさん。なんかみんな紆余曲折しながらも生きてる、どこか独特で、自分と似た感性の持ち主さん。そしてなんといっても、今まで恥ずかしくて隠していた本当の気持ちや考えを打ち明けても、決して否定しない人たち。


わたしは、これからも一貫性がなく、何をしているのかよくわからないひと。フラフラして、ちゃんとしてないひとなんだろう。あっちゃこっちゃとさまよいながら、自分にとって心が楽な職場や適職を探し続けていく。色々やってみる。少なくとも今は、ちゃんとしてる(?)仕事をしていた時よりもずっと精神が穏やかだ。

今日は朝からずっと、インタビューの音声を聴きながら書き起こしをしていた。気がつけば、夕方になっていた。(うわっ、やっぱり、音声だと自分の声とか話し方って本当気持ちわるいんだよね!)とか思いつつも、夢中で聴いていた。珈琲への想いとか、今後の喫茶店文化について語るマスターの声を、長時間同じ姿勢で聴いていたら、足がつった。バカだと思った。でも、楽しかった。これがもし仕事と言うならば、わたしは本当に楽しい仕事をしている。

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