アイルランドの今

池上彰の2020年初解説という番組を見ました。その中で最も注目する国として取り上げられていたのはイギリスです。最近、イギリスのブレグジットが正式に決定しました。テレビで報道されるのは経済的問題や移民問題ばかりですが、実は人の命を奪うテロ行為にも関係しているのです。

イギリスの歴史の基礎の基礎をみればより深く理解できます。

イギリスの正式名称は?

イギリスの正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国。下記の図のように4つの地域が連合して1つの国として存在しているのです。だから連合王国と言います。

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この中でEU離脱のカギを握るのが「北アイルランド」です。アイルランドは同じ島国にも関わらず国が異なります。アイルランドの中でも2つの国に分断されています。

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2019年のラグビーW杯で日本と激闘を繰り広げたアイルランド代表は北アイルランドとアイルランドが一つになったチームです。ラグビーはワンチームにも関わらず、なぜ国は別々なのでしょうか?

アイルランドは南北に分かれた理由

まず、アイルランドの歴史を見ていきます。

1801年:イギリスに併合される
1919年〜1921年:アイルランド独立戦争
1949年:イギリス連邦から独立して「アイルランド共和国」成立

このように1949年に一度は一つの国になることができましたが、宗教の問題が残りました。この国には2つの宗教が混在して存在していたのです。

北アイルランドはイギリスから移り住んだ人が多いためプロテスタント系住民が多く住んでいました。しかし、アイルランドには一般的にカトリック系住民が大半を占めていました。アイルランドが独立をするときにプロテスタント系が多いため、北アイルランドだけはイギリスに留まったのです。

アイルランドの壁

アイルランドにはキリスト教プロテスタントとカトリックを隔てるための壁が存在しています。この壁は1960年代から1998年まで続いた北アイルランド紛争をきっかけにたてられました。アイルランドの統合を主張するカトリック系住民とイギリス統治を望むプロテスタント系住民が対立したのです。3,500人以上が犠牲になりました。

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EUのおかげで平和になった?

イギリス領北アイルランドとアイルランドの国境を車で移動すると、あるのは標識だけです。まるで日本の県境のように関税もなければ検問もありません。その標識も見なければ特に意識することがないほどです。なぜこのように自由に行き来できるのか?

理由は、EU加盟国だからです。

1993年にEUが設立されてイギリスもアイルランドもEUに加盟しました。EU加盟国であれば人やモノの行き来は自由となります。そのためイギリス領北アイルランドとアイルランドの国境の意味合いが薄れたのです。

アイルランドの人々の気持ちとしては、「北アイルランドと一体になることができた。本国と一体になれた」と思えたのです。

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EU設立から5年後の1998年、カトリック側とプロテスタント側は北アイルランド紛争の和平協定に合意します。

でも、2020年イギリスはEUを離脱します。

イギリスがEUが離脱することで・・・

2020年、イギリスはEUから離脱することが正式に決定しました。それはイギリス領北アイルランドとアイルランドの間に国境が築かれることを意味しています。アイルランド人は再び「アイルランド統一したい」と言う気持ちを強く持つことが考えられます。

実際、アイルランドではイギリスに対するテロ活動が今も続いています。

2016年3月:刑務所職員への爆弾テロ
2017年1月:警察官銃撃事件
2019年1月:自動車爆弾による爆発
2019年4月:ロンドンデリーで暴動

これらのテロ活動は新IRAが関与されていると言われています。新IRAとは、北アイルランド紛争時にアイルランド統一を目指して活動した組織(IRA)が穏健になったことをきっかけに、そこから発生した過激派組織です。

アイルランドではテロ活動が激しくなっています。しかし、日本ではほとんど報道されていないのが事実です。

最後に

アイルランドの国旗はフランスの国旗をもとに1937年に作られました。
緑はカトリック教徒を表し、オレンジはプロテスタント教徒を表し、間の白はカトリックとプロテスタントとの平和と友情を表しています。

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アイルランドの紛争は宗教対立とごちゃ混ぜにして語られることが多いですが、アイルランド人にとってみれば宗教対立は関係ないのかもしれません。宗教の違いを理由にイギリスに占領された北アイルランドを返して欲しい。アイルランド人の願いはそれだけなのでしょう。

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