マネジメントと社会

昨今、ネットでの誹謗中傷が世界中で問題となっています。それにより、Netflixやフジテレビの責任問題が取り上げられています。まさに彼らは社会的責任を問われているのです。


でも、そもそも…

社会的責任はいつ生まれ、何のために発生したのでしょうか?そして、それを守らないとどうなるのでしょうか?

このnoteでは、「社会的責任」について、まとめさせていただきます。


▼1960年代以前の社会的責任

1960年代以前、社会的責任の定義が扱っていたのは、①倫理の問題、②従業員の問題、③地域社会の問題という3つの問題です。

当時はそれらが守られていなかったからこそ、問題視されており、企業にも守ることが求められていました。つまりこういうことです。

①「倫理が蔑ろにされていた時代」だから倫理を守る。
②「働く者に対する責任が守られない時代」だから働く人を守る。
③「地域社会に生かされる時代」だから地域社会に貢献する。

現代の大企業はこれらを社会的責任として掲げる企業はありませんよね。これら3つのことは当たり前のことになったからです。わざわざ社会的責任の定義として扱わなくなったのです。


▼現代における社会的責任

しかし、1960年代以降に事情は変わりました。

企業に求められる社会的責任はよりシビアになります。倫理を守ることは当たり前、従業員の権利を守らないと罰せられ、国境を超えて地球に貢献することが求められるようになりました。

現代の社会的責任の定義を端的に示しているのが「SDGs」と言う言葉です。

「貧困を無くそう」「飢餓を0にしよう」「全ての人に福祉と健康」と地球規模での課題解決が企業に求められており、多くの企業が共鳴して参加しています。

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▼社会的責任を守らない企業が非難される理由2つ

昔から今まで企業に求められ続ける社会的責任ですが、これを守らなければ企業は非難されます。テラハの問題は正にその典型です。社会的責任を守らない企業が非難されるのは「企業=利益を貪る敵」ではありません。正しい理由は、2つあります。


理由①:企業が多くの成功を収めてきたから

「社会的責任を守らない企業」が非難されるのは、企業が多くの成功を収めてきたからです。

第二次世界大戦後の日本を思い浮かべればわかりやすいです。敗戦後の日本には十分な物資がありませんでした。そのため人々は生活に必要な「物資の量」を求めます。企業はそれに応えました。やがて「量」が満たされた人々は、「生活の質」を求めます。企業はそれにも応えて「質の良い物やサービス」を提供しました。すると今度は企業に「要求」するようになります。「環境にも配慮してほしい、人権をもっと尊重してほしい」など。そのような要求が行き過ぎた結果、人々は企業を批判してしまいました。

つまり、人々は企業に期待するがゆえ、企業を非難してしまうのです。


理由②:政府が期待に応えられないから

もう一つの理由は、政府が期待に応えられなかったためです。政府への期待値が低下したことで、相対的に企業に期待するようになったのです。

戦時中を考えればわかりやすいです。人々は国に期待し、国なら世界をもっと良くできる、国を信頼すべきであると思ったでしょう。でも蓋を開けてみれば期待通りに行きません。人々は国を信頼したにもかかわらず裏切られたのです。しかし、企業のおかげで生活は良くなり続けます。

「政府に期待するよりも企業に期待した方が良い」

そう気づいた人々は次々と企業を信頼するようになります。政府が凋落したことによって、企業が躍進したのです。


▼社会的責任を果たしても非難される理由3つ

社会的責任の必要性はわかった。人々が社会的責任を企業に求める理由をわかった。そう思って、社会的責任を果たそうと行動した企業でも非難されることがあります。


理由①:社会的責任の定義は曖昧だから

社会的責任の定義は時代とともに変化するほど曖昧です。当時は雇用を生んだことで社会的責任を果たしたと称賛された企業でも、10年後に環境問題で非難されることがあります。


②社会的責任には政府が関わるから

社会的責任を果たそうとする行動も政府によって潰されてしまうことがあります。政府は大衆の行動をコントロールして、政府に都合が良い結果を生むために企業を潰すことがあります。


③同じ企業でも全員が社会的責任を支持しないから

社会的責任を果たそうと思っても、同じ組織の中で意見が異なることがあります。1つの組織内で様々な意見が飛び交うからこそ、意思決定を統一する必要があるのです。



▼社会的責任をマネジメントする

これら3つの理由から、社会的責任は曖昧かつ危険なものであることが分かります。間違って行動した企業は潰れる危険さえあるのです。

あらゆる企業にとって、社会的責任は、自らの役割を徹底的に検討し、目標を設定し、成果をあげるべき重要な問題である。社会的責任はマネジメントしなければならない。

「環境を守ればいい」「人権を守れば良い」そんな単純な問題ではなく、しっかり検討して企業としての方針を明確に提示しなければ社会的責任を果たすことはできません。社会的責任はしっかりマネジメントしなければならない重要なものなのです。


▼まとめます

社会的責任の定義は時代とともに変化します。かつては、倫理、従業員、地域だけを意識して守ることがミッションでした。しかし現代ではもっと広く、地球規模での貢献が求められます。

企業もそれをわかっていて、社会的責任を果たそうとします。

そうは言っても難しいものです。社会的責任の定義は曖昧で、政府が関わり、社員全員が共感するわけではないためです。生半可な覚悟で達成できるものではないのです。

でも、だからこそ、

社会的責任を果たすためにはマネジメントが必要です。

マネジメントによって、目標を設定し、成果を上げられるようにすること。それが今、企業に求められています。


▼補足:企業のCSRランキングから考える

毎年発表されるCSRランキング。これをみれば、今何が企業に求められていて、何が評価されるのか知ることができます。

例えば、2020年版で第1位に選ばれたKDDIは「しまものプロジェクト」というプロジェクトを行っています。これは離島の活性化を目指して、離島の特産物を全国的にアピールするプロジェクトです。「喜界島の宝石箱 黒糖・黒糖ナッツ詰め合わせ」「活き〆冷凍くるまえび」「喜界島産の白胡麻油」など聞いたことのないものを全国にアピールしています。

こう言った行為が評価される背景には、世の中的に地域活性化がキーワードになっているんだろうなと考えることができます。社会的責任の定義は曖昧だからこそ、CSRランキングは考えるきっかけになります。


ここまで読んでいただきありがとうございました!






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