見出し画像

音楽と子どもの脳

息子は約3ヶ月前から近所にあるリトミックの教室に通っています。

息子が生まれるまで私は「リトミック」という言葉すら知らなかった。

リトミックは、楽しく音楽と触れ合いながら、基本的な音楽能力を伸ばすとともに、身体的、感覚的、知的にも、これから受けるあらゆる教育を充分に吸収し、それらを足がかりに大きく育つために、子どもたちが個々に持っている「潜在的な基礎能力」の発達を促す教育です。リトミック研究センターウェブサイトより

コロナ禍以前のことですが近所の児童館のイベント欄に「リトミック」という文字があり「なんやそれ」と思ったのが一番初めだった気がします。でもその時は生後3ヶ月にも満たない息子との日々で精一杯でいつか参加できればいいなくらいで日々は過ぎていきました。

ちょっと前置きが長くなるんですけど、まずは私の個人的な経験のお話をさせてください。

私は音楽に対して、少し後悔があります。

何か楽器を習っていれば良かったな、という。

幼稚園の頃、両親はピアノを習わせようと試みてくれたことがありますが大泣きして嫌がったそうです。小学生になってから地域の合唱団に入り、それはそれで楽しんだし、カラオケは今でも好きです(別にそんな上手くないけどね笑)。

でも楽器をやっていれば良かったな。

そう強く思うきっかけは、海外に暮らした5年間にあります。

音楽は言語を超えたコミュニケーション

そして音楽は教養

それを心から痛感したから。

留学した当初、英語すらも上手く操れなかった私。

今でもよく覚えています。

授業が始まって3日目の大学の食堂で、留学生グループでランチをしていました。

同じクラスの数人とかろうじて一緒に行動していたけれどなかなか上手く会話すらできない私に、スイス出身の今では大切な友人が話題を振ってくれました。

「日本の伝統的な歌ってどんなのなの?日本語でいいからちょっと歌ってみてよ!(なんとか聞き取れた)」

突然の質問に、え、伝統的な歌?!えー!演歌?!

と咄嗟に口をついて出たのは「津軽海峡冬景色」

とりあえず覚えている一節を歌ってみました。

こんな分からない言語の歌を聞いて、誰か反応してくれるのかな...

と内心不安いっぱいの私。

意外にも、そこにいた5,6人は私が歌い終わると拍手してくれ、良い歌だねと口々にポジティブな反応を返してくれたのです。

正直なところ、急に歌い出した人を目の前にして、そういう反応をするのがマナーだろうとは思いますが(笑)、お世辞で言っているようにも聞こえず、津軽海峡冬景色に心から感謝しました。そして英語に長けていない当時の私でも入れる話題を振ってくれた友人の機転にも。

これは一つのエピソードに過ぎませんが、異国の地で異なる文化的背景を持つ人々が集う時、音楽は人々を繋げてくれる素晴らしい存在だと何度も感じる経験をしました。

楽器が弾けることで会話が弾んだり、一緒に演奏する機会ができたりと自分のコミュニティが広がる手助けになるだけでなく、私が留学していたヨーロッパでは特にかもしれませんが仕事関係の社交の場でも音楽の素養があることは強みに見えました。個人の教養の一つとして。

だから、子どもが出来たら何か一つでも生涯付き合っていけるような楽器をさせてあげられたらいいなとなんとなく思っていました。

リトミックのことを知ってからしばらく経ち、私も息子との日々に少し余裕が出てきた頃、自宅近くにリトミックの教室があることを知ります。気軽に音楽の楽しさに触れることができるかもと息子と参加することに決めました。その頃はコロナも少し落ち着いていた時期で、ぽつぽつと体験教室が再開されていました。

これから先、何か楽器をやるかどうかはもちろん息子次第ではあるけれど、リトミックの教室で生のピアノやバイオリン、チェロの音を聞かせてもらう機会があるのは息子にとってもすごく良い刺激だと思います。この3ヶ月だけでも鍵盤を触って音を出してみたい、木琴をひきたい、という「音」を奏でることへの興味が育っていることが目に見えて感じられます。

前置きがものすごーーく長くなってしまったけれど、リトミックを始めてしばらくしてから、音楽が脳の発達に良さそうなのは分かるけど、具体的にどう良いの?と思い始め、少し調べてみました。

そして音楽が子どもの脳の発達に非常にポシティブな効果をもたらすという幾つかの研究結果があるということを知りました。妊娠中から胎教として良い音楽を聞かせてあげることに効果があることも聞いたことはあったけど、自分でちゃんとエビデンスを調べることまではしておらず、じゃあ具体的に何が良いのかというと、脳の発達に良いらしいくらいしか知りませんでした。

英語の記事になりますがUnicef (ユニセフ)が研究結果を参照しつつこんな発信をしています。

これによれば、赤ちゃんが音楽を聴くと、その前後で聴覚や認知機能を司る脳のそれぞれの部分が発達する様子が観察できるそう。また人格形成に好影響をもたらすことが分かっており、特に他人と協力・協調するという点で音楽は効果的なのだそうです。

音楽を聴くことに加えて、自分で演奏することは更に良い効果をもたらすということも分かってきています。演奏するには、楽器等を掴み握力をかけるスキルや言語・数学的な正確性・創造性が必要となり、それが脳の発達に与える影響は非常に大きいようです。

記事ではその他にも音楽が子どもの成長にもたらす利益に触れており、例えばいわゆる理系科目(自然科学分野)、特に数学、工学やコンピューターサイエンス、建築学のような分野への興味の基礎ともなる空間的な理解の発達にも効果があるとされています。

ワシントン大学ウェブサイト内のこちらの記事には実験の様子とその結果、乳幼児の脳の発達が観察されたことがより詳細に記述されており興味深いです。

親子で音楽の演奏を行うグループとそうでないグループに分けて脳の働きを調べたところ、音楽の演奏を行ったグループの乳児は明らかに音のパターンを認識していたそう。これは音楽に限らず対象に法則や決まりを見つけ、物事を素早く予測する力に繋がっていくものと記載されています。

なかなか奥が深い、子どもの脳の発達と音楽。

音を楽しむと書く日本語の「音楽」という言葉は本当に素敵だなと個人的に思いますが、音を楽しむことで、こんな発達に効果があるという音楽。できるだけ続けられたらいいなと思います。

#音楽 #リトミック #幼児教育 #知育 #子育て #脳科学  









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?