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パラリアの二次会 第14夜の解説

おはようございます。今回は第14夜の解説です。


今回は比較的短く、かつ内容も自動車学校や時事問題と身近で、キーワードも「関連性」とわかりやすいです。これまでなんか難しそうで嫌だなと思っていた方でも、とっつきやすい回になっています。


音声はこちらです。



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【内容の紹介】

まずオギタ氏が免許合宿で「ブレーキが遅いのは髪が長いからだ!」というような、問題点とあまり関係ないようなところを注意されたところから始まります。こういう指導の仕方は、いわゆる「窓割れ理論」と言われるもので、小中学校の生活指導でよく使われています。
窓割れ理論の問題点というのは、改善すべき点と改善策との間の関連性が薄い点にあります。そのため、問題を解決するために失われる自由が大きすぎるので、「できていれば手段は問わなくてもいい」という視点も一方では大事だという指摘がなされます。

「関連性」つながりで話は移り、英語民間試験のゴタゴタが話題に上がります。英語ないし教育の専門家の意見は試験の成否と関連性があるのに無視され、他方で文科相の舌禍事件は、発言それ自体としては関連性がないのに世論が盛り上がり、新試験を中止に追い込むことになります。このように「関連性」の有無と現実にとられる措置が一致しないケースが多々あります。

また、「関連性」をどのように評価するかが問題となる例として、東京医大の男子優遇入試の話がされています。女性医師の離職率が高いことと、医学部が実質的に医師のリクルート期間となっていることを考えると、男性優遇と医師の確保との間には関連性があることになります。しかし、公的機関から補助金を受ける大学としての側面を踏まえると、男性優遇を続けると病院の不平等な体質は改善されないので、むしろ「負の関連性」があります。

最後に、むしろ関連性がない方が良い場合もあるという話になります。例えば教養教育のようなものは、今後専門にすることと関連性が強すぎるとあまり機能しません。関連性がないことで、却って特定の目的から自由になる、ということもありえます。

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【用語の解説】

3分ごろ「茶色の小瓶」
NS統治下で、浮浪者が収容所送りにされたのを「自分には関係ないから」と放っておいて、同性愛者が送られたのも放っておき、ユダヤ人が送られても放っておき、隣人が送られてようやく危険に気づく……というような雰囲気の話は、私も聞いたことがあるが、どこで見聞きしたか覚えておらず、「茶色の小瓶」で検索してヒットしなかったので、出典は分からなかった。


5分ごろ「レレヴァンシー」

関連性。例えば、テストの点が悪かったのと今日の夕飯がカレーなのとはレレヴァンシーが低い。12分ごろに説明が入る。

14分ごろ「身の丈発言」
萩生田文科相が英語の民間試験に関し、(裕福な家庭の子は何度も受けられるというのがあるかもしれないが)「自分の身の丈に合わせて頑張って欲しい」と発言したのが、格差の容認ととられて炎上した一件のこと。

37分ごろ「能力の個人主義」
能力は集団的なものではなく、個人的なものであるという考え方。当たり前のように思えるが、例えばプロ野球のピッチャーは、どんなに早い球を投げられても、キャッチャーにちゃんと受ける能力がないとエラーを連発するダメなピッチャーと言われてしまうように、能力にはある種共有されている側面がある。この辺りが気になる方はこちらを参照。


39分ごろ「物象化論」

近代日本最大の哲学者、廣松渉(ひろまつ・わたる)がマルクス解釈を通じて練り上げた概念。

ごく簡単に言うと、ものごとの関係が、まるで物の性質であるかのように意識されてしまうということ。ここでは、能力がある程度共有されているということを前提に、人との関係がうまくいっていること(上の例で言えば、バッターを抑えられているという関係)が、まるでその人が備えている能力(相手に点を与えないピッチング能力)であるかのように考えられているということを指して言っている。



以上になります。次回もまたよろしくお願いします。

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