写真のおっちゃん
小学校で学校行事があるたびに、写真を撮ってくれるおじさんがいた。使い捨てカメラではなく、もちろん携帯電話のカメラでもない(携帯電話で写真が撮れる時代ではなかった)、立派な一眼レフだった。行事が終わった後、おじさんは写真を何枚も現像して1枚1枚丁寧に袋に入れて、校門の前へ立って欲しい子どもに配ってくれる。おじさんは子ども達に人気だった。おじさんは、誰の親でもなかったし、学校関係者でもなかった。
おじさんに対する大人達の反応は様々だったように記憶している。「あの人から写真をもらうな」と子どもに言いつける親もいた。「タダなんやから、もろとけ」という親もいた。わが子が持ち帰ってきた写真を見て「返して来い」と言う親もいれば、「よう撮れてるな」と褒める親もいた。
大人達の反応をよそに、おじさんはずいぶん長いことこの活動を続けていた。もしかすると、私がこの学校へ入学する前から、おじさんは校門で写真を配っていたのかもしれない。彼は何者だったのだろう。「写真のおっちゃん」以外の呼び方を知らないまま、私は小学校を卒業した。
大人になってから「そういえばあの時のあの人、何してる人だったんだろう・・・」と不思議に思うことって、ありませんか?
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