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メイドインアビス深き魂の黎明、ボンドルドについて

ネットを見て鬱展開・グロテスクのイメージはあったものの、アニメもマンガも知らず、いきなり劇場版を見たネタバレ込み感想を書いておく。あらすじとかは飛ばすので見ていない人向けではない。(ちなみに見出し画像はAIピカソにメイドインアビス風風景をオーダーして作った)

ボンボルドはマジで酷い奴だけど紳士的な悪役だという情報だけ知っていて、ビジュアルと敬語が多分好みだろうなという予想はしていた。
仮面と格好と倫理観のズレと尻尾で人外っぽく見えるのが個人的にポイント高いし、実際アビスに生物外判定されてるから元人間とはいえもう人外だよな。(殺人鬼というパーソナリティは人外に近い、って元々思っているし……)

映画の感想

一周目はとにかくボンドルドの戦闘のカッコ良さ(ぬるぬるのレグも好き)にときめき、一度やられて復活するシーンの無茶っぷりに笑いそうになった。レグとナナチの反応も、倒せなかった絶望感や圧倒的な強さに対する恐怖より予想外の復活にドン引きみたいな顔付きしてるからよりギャグっぽい(たぶんギャグじゃないんだけど)。
それからネットで見てた語録が本当にあった&このシチュエーションで出てくる??の連続だった(男の子ですね、とか心外ですよね、とかパパ棒!とか!)。
意外と鬱展開じゃないというか、鬱だと思ったら次の瞬間予想外の方向に吹っ飛ばされるので何とも言えなくなる。悲しむ暇のないテンポの良さ。情緒が色んな方向に引っ張られて、後から思い返すとじわじわ効いてくる。そんな映画だった。

ボンドルドについて

そして、ボンドルドは……、どう位置付けたらいいのかあれこれ思って、とりあえず画面の向こうにいる分には楽しい敵役だな……と思った。
なんで神々しいBGMをバックに復活したりやられたりするのか! なんで敵対してる相手にお茶目な台詞を吐くのか! なんでその場面で主人公を諭す立ち位置の人みたいな良い台詞を言うのか! おもしれー敵!
作中であんまり畏怖の対象とか尊敬されてる感じとかがあんまり無いのも好きだな。見る前はなんで逃げたはずのナナチに「ボンドルド」ってフランクに呼ばれてるのかとか、周りに様付けされたりしてないのか不思議だったけどあいつは呼び捨てでいいよってなった。

プルシュカの回想

これ、本当に挟み方がずるい。
あっ、ボンドルドによってプルシュカが酷い目に遭うシーンが始まったかな?と身構えさせておいて、実は幼いプルシュカがボンドルドに救われ抱きしめられるシーンのスタートだったもん。
あと、この回想には映画前半であっさりモブっぽく死ぬとこ見せられたずっと後で初めてキャラ立ちするグェイラという手下(祈手)もいるし……。
ともかくボンドルド(プルシュカにとってのパパ)とグェイラとプルシュカのほのぼの回想が繰り広げられ、そりゃほのぼの二次創作も出るな!って納得した……。BGMも相まって、ジブリが作ったプルシュカの小さな大冒険ってタイトルの映画の序盤のシーンかな?という錯覚をした。

そんなプルシュカの回想の最後は、リコ達と冒険に出かけたい、パパがリコ達と仲直りしてほしい…という願いだった。
この願いが出てくるシーンがまたギャップがある。リコ達とプルシュカが楽しく冒険に出かける、実際には叶わなかったイメージ図が出てくるのだが。……リコ達の後ろに普通にボンドルドが悠々とついてきてるっていうね! プルシュカ視点なら確かにボンドルドついてきててもおかしくないんだけども?
しかも、仲直りしてほしい……って台詞をバックにボンドルドは火葬砲にて倒される。何という皮肉。

回想シーンを更に深読み

↑と、皮肉めいた演出に思えたのだが。このシーンを何度も見るうちに、別の解釈もあり得るのかなって気になってきた。

、この後プルシュカは白笛となり実際リコ達と共に冒険に出かけるので、姿は違えどこのイメージ図は叶っている。やったねプルシュカ!
、このイメージ図はプルシュカのものであると同時にボンドルドのイメージでもあった。ボンドルドもリコ達と一緒に冒険する未来を描いていたのだ(※姿は問わない)
、このイメージ図は二枚あり、一枚目はリコ達のすぐ後ろにボンドルドがいて、二枚目はリコ達とボンドルドの間に距離がありボンドルドは両手を僅かに下ろしている。→二枚目ではボンドルドがもうリコ達と冒険にはいけないことを悟った諦めを示す
、→二枚目ではボンドルドがこれからはずっと後ろから密かにリコ達を見守ろうと新しく決意したことを示す(ボンドルドはナナチの視界に干渉出来るため、リコ達にすでについていっている、と考えることもできる)。
それとボンドルド判定ではレグに倒された(もしかしたら倒されてあげたのかも)→リコ達と仲直りした、って思っているのかもしれない……。じゃあプルシュカの願い叶ってるんじゃん!

倒された後のボンドルドの言葉があまりに慈愛に満ちているから、4番まであり得るなぁ……と思った次第。

というわけで、歪んだハッピーエンド感のある……「劇場版メイドインアビス深き魂の黎明」の感想と考察でした。



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