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物々交換という実験から見えてきた価値と質とコミュニティ

広告の世界でキャリアを積んできた自分にとって、新しいものを次から次へと売り出すマーケティングの日々は、ある種の矛盾を孕んでいた。そんな葛藤、あるいは贖罪感のようなものから、一転して物々交換イベント"ツコテナ"を立ち上げるに至りました。資源の大切さ、ゴミ削減への意識向上と地域コミュニティの活性化を目指し、全国で広がる「ぐるり」プロジェクトの流れをくんで、9月に第1回目を開催し、昨日その第2回目を終えたところです。

初日の様子 これ全部無料

このイベントは、ただの交換市ではなく、私たちの消費行動に対する一石を投じる試みとして取り組んでいます。物を大切にする心、そして人と人とが物を通じて繋がることの喜びを再発見する場として、試行錯誤しながらブラッシュアップしていきたいと思っています。

さて、今回このイベントを通じて、いくつかの面白い現象を目の当たりにしました。そこには喜びもあれば、課題も。今日はその体験と、そこから得た意外な教訓をシェアしたいと思います。

まずは何と言っても、「まちのコイン"やおやお"」を導入してわかったゲーミフィケーションの魔力。最近八尾市が力を入れているこの地域通貨は、多くのユーザーを獲得し、ある意味物の交換以上の意義を生み出していました。今回の開催では実験的に、モノを持ち込んで代わりに何も持ち帰らない場合に300やおやおを進呈するということを告知してみたのですが、多くの方がそれ目的で来場されました。
参加者の中には、お子さんが他の方が持ち込んだアイテムを欲しいと言っていても、それをもらうとやおやおが貰えないからと制する方もいたりして、この地域通貨がいかに効果的な動機付けとなっているかがわかります。

”まちのコイン”サイトより

また、想定内のことではありますが、持ち寄られる物の質に明確なばらつきがあることも浮き彫りになりました。一定数来場される「ゴミ」としか思えないような物を持ち込んで価値あるものを探し出そうとする人たちに、正直少しもやもやしてしまう瞬間もありました。一方で、仮にその人の"人となり"を知っていたら、(ごみの持込みはともかくとして)積極的に良いものを持って帰ってもらいたいと思うんだろうなと考えると、知り合いかどうかで変わる人間の心理や、我々のコミュニティにおける繋がりのあり方についても、改めて考えさせられることとなりました。

そして、時間が経つに連れてブースに並ぶモノの質が低下するのは避けがたい現象であり、持ち寄ったものよりも良いものを持って帰ろうとする参加者の自然な行動から生じていました。ある程度これをコントロールするため、受付での物の選別が欠かせないことがわかりました。コミュニティとしてのコミュニケーションもまた重要で、互いに何を持ち寄り、何を求めているのかを理解することが、交換の質を保つ鍵であることを学びました。

さらに、交換物を持たない人たちがイベントに参加することへの遠慮があることも新たな課題として浮かび上がりました。今回のイベントは告知が十分できたわけではなく、当然何も交換物を持たず、会場に来て初めてブースを発見する方も多くいらっしゃいました。そんな参加者に対しては、積極的な声掛けが有効だと分かりましたが、それでも足を踏み入れるのを躊躇する人々がいることも事実です。この点においては、イベントの本質と目的を明確に伝えるためのメッセージングの改善が必要だと痛感しました。誰もが交換する物がなくても気軽に参加できるということ、そのこと自体がコミュニティにとって価値ある行為であることを、もっと明確に伝える必要があるでしょう。

また、物を持ってきた人たちに「なぜこれを持ってきたのか」「どんな人に使ってほしいのか」を語ってもらうことで、ただの物々交換ではなく、物に込められたストーリーを共有することの重要性を認識しました。それによって、持ち寄られた物に新たな命が吹き込まれ、それが他人の手に渡る喜びを共有することができるようになります。良いものを手に入れた人が、その喜びや実際に活用されているシーンをInstagramなどで発信してくれると、手放した側としてはこれ以上のことはありません。

この経験から導き出される教訓は、交換される物自体よりも、その交換を通じて生まれる人と人との繋がりや物語が、コミュニティにとってはるかに意義深いということでした。これに基づき、物が引き取られた際に感謝のメッセージとともに「やおやお」のポイントが付与される「時間差交換」的な仕組みが実装できれば、この活動は更に意義深くなりそうです。これは、単に物を捨てるのではなく、その物がどのような価値を他者にもたらすかを考えさせるものになり得ます。

最後に、このイベントの成功には明確で客観的な基準が必要であることが明らかになりました。現在は「友人に自信を持ってあげられるくらいの状態のもの」としていますが、あくまでも主観。人によってその基準は違うでしょうし、他の人にとってはごみ同然でも本人にとっては思い入れがあるものかもしれません。あまり考えたくはないですが、意図してごみ寸前のものを持ち込む人がいても拒否しづらいレギュレーションです。持ち寄る物の質に対する基準は、参加者の感性に任せるだけではなく、ある程度客観的に判断できるガイドラインを設けることで、他の人に渡せないようなものを排除し、質の高い交換を促進することが可能になるはずです。

今後の物々交換イベントは、これらの学びを活かして、さらに参加者にとって魅力的で、意義のあるものに進化させていく必要があると感じています。私たちの試みが、物と人、人と人をつなぐ新たな文化の芽生えに寄与することを願いつつ、次回のイベントに向けて、さらなる改善を重ねていく所存です。

※本エントリーの文章はChatGPTと人間 6:4でお送りしました


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