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お盆休みに思う。

ベランダの窓を開けたらお線香の匂いがした。

ポストに手紙を出しに外へ出ると、近所のお寺から車が2台出てくるところだった。世の中はお盆休みである。

父から盆飾りの写真が送られてきた。見慣れた仏壇に祖父の遺影。小ぶりに編まれた真菰の上には、形の良いナスとキュウリの精霊馬が向き合ってちょこんと並んでいる。今年も野菜が豊作だったらしい、奥には赤いトマトが飾られていた。

実家で暮らしているときは、お盆になると毎年祖父と祖母の家に泊まった。真菰は父か祖母が編み、精霊馬はわたしが作った。畑から新鮮なナスとキュウリを取ってきて、前足と後ろ足をバランスよく取り付ける。これが結構むずかしい。ススキで尻尾を作ってあげると、何とも可愛らしい牛と馬が出来上がる。

当たり前のように家族でお盆休みを過ごしていたのに、それが当たり前でなくなったのはいつからだろう。実家から足が遠のいても、家族は変わらずそこにいて、変わらない景色がある。それはわたしの心の支えで、消えない傷で、懐かしくて今でも鬱陶しくまとわりついてくる。

お盆が過ぎると少しだけ暑さが和らぐ。今年の酷暑も、あと数日経てばすこしは穏やかになるだろうか。

8月の後半から、仕事復帰に向けて少しずつ動き出す。自分ではちょっとゆっくりし過ぎたように思うけれど、焦っても仕方がないので、少しずつ身体を慣らしてゆこうと思う。わたしがわたしを急かしても、よいことなんて何もないのだから。

他人と同じでなくてよいから、いきなり人並みにがんばれなくてもよいから、わたしはわたしの生き方で一日一日を積み重ねてゆきたい。そんなことを思った、2023年のお盆休み。

最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。