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音読をして眠る。

小学生の音読の宿題を思い出した。家族の人に聞いてもらってサインをもらう。聞いているんだかいないんだか分からない反応だったが、サインをもらわらないと宿題達成にはならないから、「ねえ聞いてる?」と文章の合間合間に確認したり、ちょっと心を込めたりなんかして教科書を開いていた。

国語の授業で、机の並んだ順に、句点ごとに音読する時間がすきだった。当時は恥ずかしくて言えなかったけれど、わたしはあの時間がだいすきだった。「ああ、ここ読みたいなあ」と思った文章を目の前の席の人に読まれてしまったときの悔しさ。一文ごとにそのことばたちががわたしの中に入ってくるようだった。

最近、寝る前に蝋燭をひとつつけて、糸井重里さんの『ボールのようなことば。』『ふたつめのボールのようなことば。』『みっめのボールのようなことば。』をランダムに開いて音読してから眠る。糸井重里さんのことばが心地よくて、声に出して読むとちょうどよい精神安定剤になる。

今日もすこしだけ、ページを開いて音読してから眠ろうと思う。昔のように家族からサインはもらえないけれど、「ねえ聞いてる?」ともう誰かに聞くことはない。わたしがわたしの音読を、ちゃんと聞いている。



最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。