心のなかの見えない愛の証
私の命はもうすぐ尽きてしまうでしょう。せめて、あの世への大切な思い出として、私の命が尽きる前にもう一度だけ、あなたにお逢いしたいものです。
恋多き女として有名な和泉式部の歌。
彼女はこの歌を詠んだあと、体調回復したとのことですが(笑)でもいつの世も変わらぬ人の願いを、これだけ儚げにどこか艶っぽく美しく表現していることに感嘆を禁じ得ません。
これは恋の歌だけれど、恋に限らず(なんなら相手が動物でも)この世を去る前に会いたいと切に願うような存在。そんな存在に今この世で巡り会えること、そして実際会うことができるというのは、人間にとって大きな人生の喜び。
でももう2度と会えないということになれば、その存在が自分にとって大きければ大きいほど、大切であれば大切であるほど、どうしようもなく哀しいこと。そしてそういう哀しみは消えることはないのだと思う。
でも自分が生きることを支えてくれる、会いたいその人の大切な記憶たちが心に根付いているなら、その記憶がそっと自分の心に優しい光を灯してくれるなら、それはやっぱり愛の証で、ただ哀しいだけではないのかもしれない。
というより、そのとてつもない哀しみは愛の証に昇華されることで、人は優しく強くなれるのかもしれない。
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