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源氏物語とフラワーエッセンス〜空蝉



与えられた人生の中で

空蝉(うつせみ)、この言葉の響きと、彼女が空蝉と言われる所以となる『光景』がとても儚く美しく、10代の頃から登場人物としての彼女より、この言葉の響きと、彼女の物語の美しさに、わたしは心惹かれてきました。

今回空蝉に手渡すエッセンスを選ぶにあたり彼女の人生やそこにあった葛藤に思いを馳せることで、与えられた人生の中で自分が選択できるベストを選択する、あるいは今生の己の人生が自分に求めている方へ進もうとする心の強さについて、改めて考えることができました。


空蝉はどんな女性?

空蝉がどのような姫君だったのかについての詳しい説明は以下リンクの外部サイトを頼らせていただきます。

彼女の人生が幸せだったのかはなんとも言い難いですが(源氏物語に出てくる女性はみんなそうですが・・)、個人的にはとても魅力的だと感じますし、光源氏が忘れられなくなるのも無理はないなと納得です。自分をとても大切にしている、自尊心のある女性です。

また、紫式部が、最も自分を投影させたのがこの空蝉で、光源氏に藤原道長を投影させているという話もよく聞きます。

彼女は光源氏に強く恋心を抱きながらも、生涯彼を拒み続けます。

なんでも『裏腹な思い』を抱え続けることは、かなりエネルギーのいることですから、愛する人に行かないでと心のままに縋るより、愛していても拒む方が心の消耗が大きいこともあります。その苦しみを一人抱えながらも、空蝉は光源氏への強い恋心と裏腹に、生涯彼を拒み続けたこと、その意志の強さに感心します。


それで良かったのか、あるいはもう愛人になってしまった方が幸せだったのか、見当もつきませんが、彼女は自分を大切に、自分の気持ちに正直な選択をしていたの思います。
そして結果的に拒み続けたことで光源氏の忘れられない女性になり、出家後も光源氏の庇護のもと落ちぶれることなく静かに生きていったことを思うと、彼女の選んだ人生は彼女にとってベストだったのだと信じたいですね。

彼女がただ穏やかに自分の人生を後悔することなく生きてほしいという願いを込めて、今回は『出家後』の空蝉に渡すエッセンスを選びます。

空蝉に手渡したいフラワーエッセンス

 そんな彼女に手渡したいフラワーエッセンスは「スターチューリップ、ハニーサックル、フォーゲットミーノット」です。

スターチューリップ

わたしは朧月夜にも浮舟にもこのエッセンスを選んでおり、出家をした女君たちに(全員ではないですが)、このエッセンスを手渡したくなってしまうよう傾向があるようです。

© Morgan Stickrod https://www.inaturalist.org/photos/127114939

空蝉は出家後、光源氏の庇護のもと、色々思い煩いありながらも、仏行に勤しむ静かな日々を送るのですが、『玉鬘』の帖で光源氏が自分の妻や愛人や庇護している女性たちそれぞれに似合う装束を与える描写があり、空蝉に関して以下のように描かれています。

ずっと源氏の君のお世話を受けている、あの空蝉の尼君には、青鈍色の織物の実に趣味のいいのをお見つけになって、ご自分の召料の中から梔子色のお召物に、薄紫色のをお加えになります。

この青鈍色、や薄紫というのがスターチューリップの色を彷彿とさせ、俗より聖の生活の中深いところで仏という聖なる存在と近づこうと生きる空蝉から、このエッセンスを連想してしまいます。

心穏やかで静謐な時のなか、空蝉が御仏と対話できるよう、スターチューリップのエッセンスは静かにそこにいてくれるのではと思います。

これぞ鈍色!本で読んで想像していた鈍色の衣装が映像化され感激でした。

ハニーサックル

このエッセンスについて、上野七歩子さんの『フラワーエッセンスヒーリング』のなかに以下のような説明があります。

ハニーサックルは、過去に生きている人々のためのエッセンスといわれています。昔の幸せだった時代の思い出に浸ってしまったり、実現することができなかった望みの中に生きてしまっている状態です。

フラワーエッセンスヒーリング 上野七歩子さん著


Observation © Ahmed Mujčinović
https://www.inaturalist.org/observations/44601040

「自分が人妻ではない、もっと若い頃に光源氏と出会えていたら、どれだけ嬉しかっただろう、もっとただ恋の激情に身を委ねることができたのに」と葛藤し続けながら光源氏を拒み通し、年老いた夫に忠実でありつづけた空蝉にとって、光源氏と過ごした一晩は忌まわしいものであるというのもありつつ、煌めく時間であったと思います。

仏の道を歩むことは、彼女の中の叶わなかった、いや願うことさえ許されなかった想いを成仏させていく道のりでもあったのではないでしょうか。

実現することができなかった望みの中に生きるのではなく、仏道を歩む中でその望みをより高尚なものに昇華させていく空蝉にハニーサックルはそっと寄り添ってくれたに違いありません。


フォーゲットミーノット

こちらはFESのエッセンスで、いわゆる忘れな草ですね。
直感的に、空蝉に渡したいと思いました。
あのなんとも言えない哀しみを含んだ美しい青色と、可憐な感じ、わすれな草という名称から感じる切なさが空蝉にピッタリな気がしました。

Observation © Tatyana Zarubo
https://www.inaturalist.org/observations/66538971

またこのエッセンスはこの世とあの世を結ぶエッセンスで、大切な人の死を乗り越える、ということが大きなテーマのひとつですが、この世における関係についても魂の繋がりを信じていくようなことを手助けしてくれることまで広がって手を差し伸べてくれます。

バランスのとれた状態:個人的な関係におけるカルマのつながりの認識、微妙な領域と超個人的な関係に対する知覚的な注意力

不均衡なパターン: 精神世界における魂とのつながりの欠如、愛する人の死による孤独と孤立

FESのホームページより

「わたしを忘れないで」

行動とは裏腹に、ずっと空蝉が光源氏に願っていたことだと思います。

出家し俗世の人間ではないことになっている空蝉。かつて苦しんだ光源氏との関係を、深い精神的な繋がりに昇華していって、何より彼女自身静かな幸福のなか生きてほしい。

そんな願いを込めてこのエッセンスを送ります。

最後に

わたしは、主たる女性の登場人物は全て紫式部の内面の分身ではないか、という説に同意しているのですが、その中でもやはりこの空蝉は紫式部自身の投影がとりわけ大きい人物なのかなと改めて強く思いました。

源氏物語の中で彼女の最期は書かれていません。

冒頭にも書きましたが、源氏物語に登場する人物全てに漏れなく言えることですが、空蝉は「結局どう生きれば幸せだったのか」の答えがもっとも出にくい人物の1人ではないでしょうか。

でも自分を大切にし、その中で自分の気持ちに正直であろうとした意志強きこの女性の生き方はつくづく美しいなと、改めて感じました。

現代は1000年前より自由とは言え、まどまだ社会のしがらみの中、魂の願いのままに生きられる人は少ないのが現状だと思います。

誰もが心からこ深い幸福のなか、自分の魂を輝かせて生きられる世界になりますように。


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