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【酔っ払い失敗談】心もパンツも脱ぎ捨てて!泥酔新入社員歓迎会

新卒で入った会社は飲食業の会社だった。新入社員はみな、研修期間で都内の店舗を周り、それを見た店舗責任者たちがドラフト会議で配属先を決める。そんな制度だったと記憶している。

16歳の時から接客業を渡り歩いてきたわたしは堂々のドラフト1位だった(記憶が改ざんされていなければ、の話だが)。

配属されたのは銀座の花形店舗。正直鼻高々だった。マネージャーは仕事のできるイケメンで、お店はおしゃれな京料理のダイニング。田舎育ちのわたしは有頂天だった。そしてとにかく「仕事ができる女」として頑張らなければと思っていた。制服は紺色のシャツで、紺色のソムリエエプロン。ボタンを多めに開けて襟なんか立てちゃったりして、なんだかしらないけれどおしゃれだった。

勤務初日、だっただろうか。それとも配属が決まった時だっただろうか。お店のメンバーがわたしの歓迎会を開いてくれることになった。場所はもちろん銀座。東京の中心、いや世界の中心ともいうべきGINZAでわたしの歓迎会は開催された。都会の女デビューへの第一歩が銀座だ。興奮して鼻血が出そうだった。

歓迎会ではしこたま飲んだ。そりゃあもうたくさん飲んだ。なんであんなに飲んだのだかわからないけれど、当時のわたしは大学時代の名残で「酒は飲むならべろんべろんになるまでが礼儀」だと信じて疑っていなかったし、飲食業界の人の常で、周りのみんなもたくさん飲んでいた。

テーブルの上に並ぶジョッキ。上司のグラスの空き具合に合わせて飲む後輩。焼酎、ワイン、ウイスキー、枝豆、唐揚げ、生春巻き、そしてなんかおしゃれなやつ、おしゃれなやつ、おしゃれなやつ……歓迎される側のわたしが一番飲むべきだと判断したであろうわたしは(記憶がないから、本当にそう判断したかは知らない)とにかく飲んだ。

その結果、わたしはそりゃあ見事につぶれた。途中でいなくなって、発見されたときは女子トイレだった。トイレに行っただけ偉い。でも発見されたときには下半身丸出しだった。新調したばかりのストッキングを脱ぎ捨て、スカートも脱ぎ捨て、トイレに座っていたらしい。丸腰とはまさにこのこと。

下半身生まれたままのわたしを発見した人はいかほどの衝撃だったろう。想像する度に身もだえるのだが、個室の中にいたであろうわたしをいかにして発見したのかはいまだに聞けずにいる。ドアを乗り越え中を覗き込んだのか、はたまたわたしがドアを開けっぱなしで眠りに落ちていたのか……後者だったとしたら、その間にトイレに来た人が不憫でならない。

その後わたしが意識を取り戻した時には、ストッキングもスカートもはいていた。一体どうしてかわからないけれどはいていた。きっと心優しいだれかが泥酔したわたしにそれらを履かせてくれたのだろう。あああああああ!まじで想像したくもない、恐ろしき光景よ!!!

とにかくわたしは銀座の女初日から、やらかした。心をオープンにしていい関係を築きましょう!とはよく言うけれど、わたしはいろいろとオープンにしすぎた。結果みなとは急激に仲良くなれたけれど、それでもいまだにあの時の後悔は忘れない(その後も何度も同じような失敗を繰り返すのだけれども)

今はただ、トイレに座っていたわたしの足だけはオープンになっていなかったであろうことを願うばかりだ。

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