すごい行列!あのお店おいしいらしいね 〜それって本当?渋滞学と行動心理学〜
はじめに
世界的にsocial distance が求められる昨今ではあるが、その多寡はさておき渋滞や行列がなくなることは決してなさそうだ。
どうして渋滞が起きるんだろう。
小さいころ皆が車の中で思いつくであろう純粋な疑問。例に漏れずわたしも同じように不思議に思っていた。乗り物酔いが激しいこともあり人一倍問題解決を求めていたのかもしれない。
大人になってもそのことを追究し続ける方々がいらっしゃるおかげで「渋滞学」という学問があるそうだ。科学的・数学的観点から交通渋滞のメカニズムを解明、都市設計に活用しており、確立された理論を今後は流通の効率化に活かすとのことだ。喜ばしい限りだ。正確には第一人者であるところの先端科学技術研究センター 西成活裕教授の著書などに詳しい。
さて、以前の投稿でも少しだけ触れたが、わたしは渋滞・行列やそれに伴う行動心理に関心がある。実験や研究等をおこなったことは無いが、今回はそのことについて記事を書かせて頂きたい。
わたしと行列
交通渋滞を除いてみても、人気店での食事やテーマパークなど並ぶ機会というものは決して少なくない。より小さな行列で言うと駅のホームで電車を待つ際にも列に並ぶという行動は欠かせない(これも交通に関する行列であるが渋滞ではない)。毎日顔を合わせる事象足りえるのだ。
並ぶことそのものは心地よいものではないし、極端に並ぶことが嫌いな人たちがいることも知っている。また逆にタイトルの通り、行列の長さを無意識的に評判・信頼へと置換してしまう人たちも多いのではないだろうか。
こう書くと少し面白いと感じてもらえたかもしれない(?)
とはいえわたしが「渋滞・行列に興味がある」といっても何を言っているのかよくわからないと思う。
具体的にどういうことなのか。
・交通渋滞が起こる理由
・人々にとっての行列や渋滞の意味と認知、行動への影響
なぜか昔からこれらの事項に興味があった。
前者が数学的モデリングによる解決が進められていると知ったわたしは、特に後者に着目することにした。というより自然と後者へ興味が傾いていく中でいつのまにか前者の研究は大きく進んでしまっていた。解決には至っていないが。。
したがって「我々にとって行列とは」という意味での渋滞学、行列学を学びたいと考えている。違う職業に就くとしたらこの分野の研究も良いかなといった軽い感じで。
ただ困るのは「渋滞学」という名は先述の既存領域を指すし、「行列学」ではいかにも数学の特定分野を指すに違いない。
やんわり調べたところわたしが興味を示している分野はどうやら「文化人類学、行動心理学」のといった分類がなされるようだ。
はぁ。なるほど、、、
行列行動心理学!
既存の研究分野なのかはよく分からないがわたしなりの解釈を。
行列が人々に与える印象にはどのようなものがあるだろうか。
〇テーマパーク・・・長時間の行列となることが多い。行列(待ち時間)が短いことが選択において魅力的であることが一般的だ。
〇レストランなど・・・同分野の近接店舗であっても行列ができる店、できない店がある。ある人にとっては行列が長いことが魅力的で、ある人にとっては短いことが魅力的だ。
〇駅のホーム・・・位置によって乗車待ち列の長さが異なることが多い。A駅で列が短い(結果的に客数が少ない)乗車位置であっても隣のB駅でとんでもない混雑が推定される乗車位置なのかもしれない。つまりその時点の行列の長さでは何も判断できない。
これを整理するとどうやら行列は2種類に分かれる。
「行列が長い」ことに意味があるかもしれない積極的行列とその他の行列だ。
【積極的行列】
こいつこそが面白く、考察しがいがあるのではないかと考えた。
再びタイトルの話であるが、行列店はさぞ良いに違いない。と考えてしまい行列の長さをプラスに捉える心理がある。そして並ぶという行動に移す。
つまり人にとって、我々にとって行列の長さそのものが評価軸へと変わってしまう瞬間があるのだ。質の評価を知らないうちに他者に任せる瞬間だ。
人が人を呼ぶ。
それである。
(この、行列店に並びたくなる心理はバンドワゴン効果と呼ばれるものだそうだ。)
しかしながら
「行列が長い」ことに意味があるかもしれない
と書いた通り、かもしれないに過ぎず、長さに意味がない=質が伴わない場合がある。
あえて極端な例でいうと、混雑した神社で一人が何でもない木に向かってさもありがたそうに手を合わせる。後ろの人、その後ろの人も「あの木はありがたい木に違いない」と考え手を合わせる。人流が滞り、その木を拝むための行列ができてしまう。行列心理でさらなる行列が。。。しかし意味は伴わない行列だ。
これは困った。おいしいお店のスクリーニングに「口コミの数」や「行列の長さ」を用いることができなくなってしまう。
覚えておかなければならない。行列の長さが意味をなさない場合もあるということを。
ここでわたしはさらなる疑問を持った。
「もしかして、わざと行列ができる仕組みにしているお店がある?」
まとめ?
なるほど、世に聞く人気店のうちいくつかは「評判が高く人気がある」のではなく単に「行列ができる」店でしかないのかもしれないということか!
行列を作る。本稿でいう積極的行列を店主側が積極的に生み出すことは人気店創出の一つの手段となり得る。
これも一つの答えだ。
おいしいご飯を食べるために日々精進せねばならない。改めてそう思った。
追記:学生のうちにこう思ったわたしは将来お店を開くときのために自らの待ち時間と満足度の関係を記録し続けることとした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?